カインと王
翌朝
王宮、玉座の間で
「陛下!今朝、我々の軍基地にこのようなメッセージが」
玉座の間に3名の兵士がバタバタと焦り名がら、入り込んできた。
「何だ?騒々しいな・・まぁ、いい。見せてみろ」
少し怠そうにしながらも、国王ダリオン・カルセリオは兵士から手紙を受け取る。
「いかが致しますか?隊長の提案では、この差出人の人物を特定し、家宅捜索を行う方針のようですが・・」
「う〜む、そうだな。ただのいたずらと考え、終わらせることもできるが、警戒を怠るわけにもいかない!家宅捜索を許可する!早速、向かえ」
王は立ち上がり、兵士たちにそう命じる。
「はっ!」
「フンッ!今度はあの盗人か。(別に重要なことは書かれてないから、見逃してやったが。牙を向くとはな。まぁ、これで始末できると考えれば上々だな)」
3時間後・・カインの屋敷では
「カイン様!」
セラがカインの執務室に駆け込んできた。
「どうした?セラ」
カインは優しい口調で問いかける。
「ちょっと、セラ!カイン様の部屋に入る時はノックを!」
「今回ばかりは別に構わない。ノックを忘れるほど、大変な事態なのは伝わったからだ・・それで、どうしたんだ?」
「陛下が来訪されています。それも少し・・表情が重苦しく」
「何!分かった、すぐに準備する・・・はぁ〜(今度は何だ?ただでさえ、王から預かった研究所から連絡が来ず・・・いや、そのことについて怒りに来たのか?)」
「カイン様・・大丈夫ですよ。今回も私が同席しますので。いくら陛下と言えども、カイン様に手を出そうものなら容赦しません」
「それは嬉しいが、あまり大きな声で言うことじゃない。誰が聞いてるかわからないからな」
そして・・
「陛下!お待たせしました。向かい側、失礼します」
「ああ!早速、本題に入ろう」
カインは軽く頭を下げ、反対側のソファーに座る。
「もしかしなくとも、研究所の件のことですか?それに関しては、申し訳・・」
「いや、そのことではない!それよりも重要なことだ、これを見てみろ」
そう言い、一枚の紙を机の上に置いた
「んっ?(え〜と・・なんか色々書かれているな)」
ー宣戦布告ー
これより48時間後・・
私達は国王タリオン・カルセリオ政に反乱を起こす。
ここ数日の研究所襲撃の主導者は、私。
そして、その行動により、多数の証拠を掴むことに成功した。
48時間以内に国民に告発し、辞任、自首するのであれば、反乱を起こすのはやめておこう。よくよく考えておくことだ。
一通り目を通し終えたカインは、手紙をテーブルに戻し、一息ついた後。
話し始めた。
「・・一大事ですね」
カインは表情は変えず、声だけで焦る様子を見せた。
「ああ!そこでだ!お前に今回は協力してもらおうと、お前の重力魔法には苦戦させられたからな。味方になれば、心強い。もちろん、協力してくれることを望むが」
カインには分かっていた。
言葉だけ見れば優しいが、目と口元が・・協力しなければ、分かっているな!とでもいうかのように脅しにかかっている。
「分かりました」
「なら、具体的な作戦内容を後ほど、送ろう。目を通しておけ」
「はい」
カインが静かに返事をすると、王はソファーから立ち上がり・・
「話はこれだけだ・・(相変わらず、読めない奴だな。まぁ、裏切ろうとも何とかできるがな」と言うと、兵士と一緒に部屋を離れていった。
そして、王が帰ってからの数分間、カインはソファーに腰掛けながら、思考を張り巡らしていた。
「カイン様、どうなさいますか?」
マドレーヌがようやく話し出す。
「う〜ん、マドレーヌはどうするべきだと思う?少し、迷っているんだ。参考までに聞かせてくれ」
「私は・・」と続けて考えを言おうとしたが、「いいえ、私の勝手な発言でカイン様の心を変えてしまうわけにはいかないかと」
マドレーヌはゆっくりと首を横に振り、発言を拒否してしまった。
「いい。正直に言ってくれ。どうするべきだ?」
カインが落ち着いた声でもう一度問い返す。
「分かりました。でも、言っても、怒らないでくださ・・・カイン様が怒ったことなんて、一度もありませんでした。すみません」
「そうだったか?少しくらいはあるんじゃ?って、そんなことより、話を続けてくれ」
「この反乱に乗じて、再びカイン様の野望を叶えるべきかと。考えます」
と冷静な声で回答を出した。
「僕もそうしようと思ってはいた。だが(また失敗したら、今度こそ王に・・)」
「カイン様」
この星での物語は、いよいよ終盤に入ります。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!そして、引き続きよろしくお願いします!
ただ、コスモスたちの旅はまだ続きます。
次の星では、また新しい出会い。さらに、コスモス達の活躍の場が盛りだくさん。
楽しみに待っていてください!




