最終会議
2時間後・・マリアナ達も荷物をいくつか抱えながら、宇宙船内にワープで帰ってきた。
「おかえり、マリアナ」
2人とも見たところ、無傷だ。
でも、ヴァイスの方は魔力を消費しすぎたのか、ちょっとだけ疲れているように見える。
「ああ!この量を見る限り、コスモス様と翔様も収穫はあったようだな。私の方も上々だ。それに、今回は敵にほとんど出くわさなかったのも大きいだろう」
「マリアナの方はロボや研究員とか、いなかったんだ」
「コスモス様の方はいたのか?!フッ、なら!そっちのほうが、よりちゃんとした資料が揃ってそうだな」
1時間後に、マリアナと私が主導となって、革命に向けての最後の作戦会議が行われることに。少し前に、トライアから送られてきた(大量の写真で)のも含めた資料で十分な情報が揃ったからだ。
それまでの間、今やれる事前準備を、私達2人で整えることになった。
そして、会議の時間・・
「トライアは明日もメイド業がある。睡眠を優先で欠席だ」
「逆に出席してたら、『寝てくれっ!』って言ってるだろうな」
猫って、たくさん寝る必要があるもんね。
・・そういえば、マリアナも猫っぽいけど、寝なくて大丈夫なのかな?
「どうかしたか、コスモス様。私の顔に何か?」
あっ、やばい。ジ〜ッと見つめてしまっていた。
「ごめん、ちょっと整理してて。まずは、方針確認からで・・いいよね?」
「ああ!最初は私から話そう」
再確認のつもりで、私もちゃんと頭に入れとかないと。
一応、私はこの船のリーダーでもあるんだから!
「まずは、日が昇ってすぐに、王に宣戦布告の手紙を出す。差出人の名前に関しては、ルーシーの父の名前を使うことになった。本人の許可はもちろん取ってある。それに、家族の身の安全のためにも、現在この宇宙船の客室に止まってもらっている」
これが、さっきの準備時間にやったことの1つだね。すんなり(とは言っても、30秒くらいは頭を悩ませてたけど)了承してくれたから、びっくりしちゃった。
「じゃあ、また。ルーシーに会えるってこと?!やった!」
キラナが喜んでいる。
まぁ、そういうことではあるけど。絶対に重要じゃない気が・・
「次だ!この反乱でカインをこちら側に引き入れられるかどうかだ。ノエルの話や、歴史書を見る限り。カインにとっても、またとない機会になるはずだ」
「でも、何らかの誘導は必要じゃない?」
「確かにそうだな。その内容については、明日トライアを含めた上で、また練るしかない」
私がするとしたら、反乱中にカインに裏切るように促すとかかな?
「反乱はいつ開戦されるんだ?明日なら、トライアと連絡する暇なんてないぞ」
ヴァイスの指摘は、かなり的確だ。
私は手紙の内容には関わってないから、何日後か知らないけど。日数によっては、さらに準備を進めることができるよね。
「48時間後だ。これくらいあれば、各自の準備も整うだろう」
「ああ!十分すぎるくらいだな」
私も、ちょうどいいくらいだと思う。
「それは良かった。では、次だ・・反乱時の布陣を、あくまで仮だが決めておこう」
「もちろん、この戦いは私達全員で、向かう。この宇宙船自体は、自動防衛機能で終戦まで放置だ。それなりにエネルギーを消費してしまうが。ルーシー達のことを考慮すれば、けっして無駄ではない」
うんうん、これは当たり前だよね
「というか、防衛装置みたいなのあったんだ。どんなふうに守ってくれるの?」
「機能は2つある。一つは、宇宙船全体を電圧のバリアで覆うことができるものだ。解除方法は内部から。もしくは、外からはこのリモコンで解除できる」
それは凄そう。
守ることもできるし、電気で攻撃にもなる。
「そして、もう一つは、狙撃砲だ。顔登録が出来てないものに対して、炎の玉が無差別的に標準発射される」
良いシステムだとは思う。
「でも、ちょっと危ない気が・・」
「手動でも標準を操作できる。だから、安全ではある・・はずだ。そんなことより、布陣の話に戻るぞ」
マリアナが正面のモニターを操作し、大まかな王国内の地形が映し出された。
「これらの文献から、カインが反乱を起こした時の戦況を分析してみよう」
私も一度は読んだけど、カインの時の陣形は、戦力分散型。
端的にまとめると、大将(この時はリヴィアだったみたい)と一般兵とを正面に。そして、王宮魔術師や近衛兵などの実力者を各地へ分散・・といった感じだったようだ。
「だが、今回の反乱はカインを含めたとしても、少人数・・」
「つまり、分散型で来る可能性は低いということだな。だが、戦いはいつだって多対多だ。少数時の参考文献なんてあるわけがないだろう」
言われてみれば、確かにヴァイスの言う通り・・
「でも、総合的に見たら。戦い方のクセが何通りかには絞り込めると思う」
これが私の考えだけど、安直すぎかな?
「なるほどな。いい考えだな、コスモス様。これより、全員でここ200年以内で発生した戦いを調べる。そんなに量は多くないだろう、すぐに終わる」
まぁ、そんな頻繁に戦争なんて起こるわけないしね。
そして、案の定。見つかったのは2件だけだった・・が。
その分、予想以上の収穫が得ることが出来た




