多対一
「さて、探索の続きを。ん〜」
背伸びをし、翔が再び歩き出そうとした瞬間・・
倉庫の2階から。四方八方、ライトで誰かが照らしてきた。
「やっぱりここか、侵入者。逃げ場はないぞ」
(休む暇すらもないのか・・そりゃそうか。敵のアジトだし)
翔が声のする方を見てみると、案の定、研究員。
ではあったが、その数は4人。
「(この人数。この研究員と同じ強さだとしたら、全然問題ないな・・いや。そんな無策で来るわけがないよな。警備ロボも絶対に引き連れているはず)たったそれだけの戦力なはずがないだろう!」と。
翔は、どうせ、戦うことになる!と考え、見え透いているぞと主張するよう、強気に言ってみることに。
「よく分かったな!」
研究員がそう言った次の瞬間。
上空から、8体以上ものロボが姿を表した。
(この数は少し想定外だな)
「驚いた表情をいているな。それと、一つ言っておこう。もう一人侵入者が居ることも、気づいている!もう別の部隊が対処に向かっている!」
「(助けを呼ぶことも少し考えたが・・2部隊もコスモス一人に相手させるわけにはいかない!なら・・)フンッ、かかってこい!」
そう叫ぶと、4体の歩行型ロボが翔を取り囲むように、上から飛び降りてきた。
(歩行型が6体、飛行型が3体の計9体。3パーティを一人でやれたことはゲームでは一回もない。それに、三重矢は、追撃性能があって、便利ではあるが、それなりに力を消費してしまう。なら・・)『熱光線』!」
弓から放たれた矢が、炎の軌跡を残しながら、部屋の隅まで一直線に飛んでいき。そして、炎の矢は一人の研究員の胴を貫いた。
「なっ!」
「安心しろ!急所だけは避けた、死ぬことはないはずだ!」
まずは研究員を一人づつ、確実に仕留めることに。
そうすることで、これ以上、ロボが増えないと翔は考えた。
「その威勢も、そう長くは続かないぞ」
研究員の叫びとともに、上空のロボが、様々な属性の魔法を一斉に発射しだす。
(ちっ、物陰に隠れないと!だが、隠れ続けることも不可能だな。この階には歩行型もいる。こっちも魔法を出し続けないと)
そう考えている間も、あと少しで壊されそうな勢いで倉庫のコンテナに魔法弾がぶつかり続けている。
「なら、これはどうだ!『電雷』」
放った矢が天井にぶつかり、その地点から、落雷が発生する。
「がっ!」
その落雷は、研究員一人と飛行型ロボ1体を巻き込み、撃破することに成功した。
「ちっ!隠れてないで出てこい!」
まだ残っている一人の研究員が、腰からショットガンのようなものを取り出じ、構える。
(銃!上からあれで狙われるのは不利すぎる!次はあいつを!)
その研究員に弓の標準を合わせ。技を放とうとしたが・・
それまでの間に、翔の真上に飛行型が迫ってきていた。
(まずい!打たれる!)
そう判断し、避けようとした頃には、ほんの少し遅く。
体を少し反らせたことで、直撃は回避できたものの、腕の一部に攻撃がかすってしまった。
「ぐっ!(腕にくらい続けるのはマズイ!弓が使えなくなる!)『熱光線』」
即座に矢を放ち、真上にいたロボを撃墜。
「まだまだ数はいるぞ!その耐えも、そう長くは続かない」
もう一体を撃墜している隙に、歩行型2体に左右を挟まれてしまっていた。
「ちっ、『炎の拳』!」
右手に炎を作り出すと、その炎を宿した拳で歩行型を殴り飛ばし。
そして連続で発動し、もう一体も殴り飛ばす。
「はぁはぁ」
「どれだけ、粘っても。無意味だ」と言い終えると、研究員は翔の2体目のロボを殴り終えた直後の硬直を狙い、銃弾を放ってきた。
「『水障壁』!」翔は、とっさに水の壁を作り出し、銃弾を防いだ。
「ちっ!」
研究員が銃のパーツを取り出し、何かを込め出した。
(今だ!)
翔は弓を構え、『熱光線』を放つ。
だが、その攻撃は・・
「ピピッ!」
高速で研究員の前に割り込んできた飛行型のロボによって、庇われてしまった。
「隙をそのままにしておくわけがないだろう!」
「だが、ロボを消費しちゃっていいのか?最初と比べると、かなり減ってはいるぞ」
苦戦はしてはいるが、飛行型があと2体だけ。研究員も残り1人。
だが、研究員は焦る様子を見せることなく、余裕の表情を見せている。
「フンッ、ロボットくらい壊されたところで、いくらでも作り出せる。惜しくもない」
「でも、すぐに呼び出せるわけじゃないだろ。今このまま、お前を撃ち抜くことも!」
「そうなることは分かっていた。だから・・俺は一時退散!」
残っている2体のロボを見捨て、部屋から出ようとした時だった。
ドガーン!
と突然、2階の壁が破壊され。瓦礫が部屋中に飛び散る。




