一斉行動
メンバーが決まり、私達はマリアナが修復してくれた座標機能とワープを使って、目的地まで移動を開始した。
「コスモス達が見つけたのは山の中だったが。今回はこの谷底か」
「ああ、だが。ロープもはしごも、リフトも設置されてない。そして、付近に下へと続く道もない」
ヴァイスが辺りを観察しながらそう言う。
「だとすれば、この下に行ける人物は、3パターンだけ。一つは、崖をよじ登れる・・だが、この線はかなり薄い。2つ目は、ジェットパックなどの機械での移動。そして、3つ目は・・」
「浮遊魔法を使用だな。そして、我らはそれをマスターしている。マリアナ、こっちを選んだのはそういうことだろ」
「ヴァイス、正解だ。コスモス様は浮遊魔法をマスター出来ていない。その状態で、この場所は危険すぎる」
コスモスもそうだが、翔も使用ができない。
そのことを二人はちゃんと理解している。
「それは、我らも同じだ。下に行く分には良いが・・何か問題が発生した際、逃げ出すのには数秒の時間がかかる。相手も浮遊魔法が使えるなら、なおさらだ!」
「そうだな。さぁ、作戦会議はここまでにして、降りるとしよう」
二人は崖に罠が仕掛けられてないかどうか、を確認しながら慎重に降下した。
「何もなかった・・でいいんだよな」
「よくよく考えてみれば、他の奴らも行き来するんだ。罠なんて仕掛けても、全部覚えきれてない奴がいたら、ただの自滅でしかないからな」
「フッ、確かにな。それはそうとして、この扉の先だな」
マリアナとヴァイスの目の前には、山の研究所と同じ鉄製の扉がある。
「んっ。マリアナ、来たはいいが。この扉、ちゃんと開くのか?」
「あ〜。確かにそうだな。・・開かなければ、破壊すればいいだけだな」
「我もその意見には賛成だ!」
ヴァイスはそう言うと、勢いよく扉のドアノブをひねり、引いてみると。
ギィィと鈍い音を立てながら、あっけなく開けることが出来てしまった。
「普通に開いたな」
「罠の可能性も十分にある。気をつけていくぞ」
「ああ、そうだな!」
マリアナとヴァイスはお互いの目を合わせて、頷き合うと中へと入っていった。
扉の先は、薄暗いランプが天井からぶら下がっている廊下が続いてる。
「人の気配がし・・ないと言おうと思ったが。何かは、いるな」
「ああ。そして、この気配。おそらく、スルヴァだな。コスモス様たちが持って帰ってきた書類を見たがが、本当にそんなものの研究をしているとは。訳がわからないな」
「それもそうだが。なぜ、人の気配がしないんだ!?研究という以上、誰か観察者は必要のはずだが」
ヴァイスが単純な疑問をぼやき、マリアナの顔を見る。
「私にも分からん。それと、私の顔を見るな!」
一方で、コスモスと翔は・・薄暗い浜辺を歩いていた。
静かな波の音しか聞こえない。
水平線を眺めるが船も何も特別なものは見当たらない。時々、小魚が跳ねたのか、水しぶきが上がっているのが小さく見えるくらいだった。
「こんな海沿いに本当にあるのか?」
ノエルが示した場所は、ルーシー達のいる村とは方角が真逆を示していた。
「まぁ、地球でも。こういった場所に廃墟・・なんてこと。ありえてるからなぁ」
「あり・・えるかな、多分。俺達は遭遇したことはないがな」
私もネットの掲示板や、動画で知ったくらいだし・・あり得るなんて、根拠はないけど。
街の中にすら誰も住んでない家があるんだし、辺境の地にもあってもいいよね!
「遭遇率は確かに高くないよね。それはそれとして、あと目的地まで何メートルくらい?」
「あと、5分くらいで着くらしい・・ほら、何かの建物が見えてきてるぞ」
灰色の建造物が、見え始めている。
「あそこで、いいんだよね。他の場所と違って、人気はない場所にしても、なんで隠されてないのだろう」
「そこは俺も・・皆が気になることだろうな」
う〜ん、今回ばかりはどれだけ考えても訳が分からない。
私がまだこの国について、知らないことが多すぎるのが原因だと思うけど・・・
そして、トライアは・・
「ニャ〜。(ここの通気孔を通れば!もう、ノエル様もついているはず。なるべく、早く行かないと)」
狭い通気口を音を立てないように慎重に進んでいく。
「ニャ!」
とある部屋の通気口の穴から、声が聞こえる。
(ここらへんは、他のメイドの部屋のはず。まだ起きているのでしょうか?)
除いてみると3人のメイドが集まって、ゲームをしているのが見えた。
その中には、セラもいる。
(楽しそうですが。今は任務に集中ですね・・はぁ〜。人型になれたことですし、翔様のところに戻ったら。一緒にゲームしたいな〜)
トライアは、それを自分自身へのご褒美と考えながら、足を進める。
更新が遅れています!すみません!
あと、2日お待ち下さい!
(2025年9月18日時点)




