真相 2
う〜ん。
予想はしていたけど、研究結果の資料ばかり。
「そういえば、いまさらだけど。王の名前って?」
管理者ネームにカイン以外の名前が載ってるけど。
王の名と一致すれば、対抗手段になる可能性は大いにあるよね。
「う〜ん。何だっけ・・思い出すからちょっと待って」
キラナがう〜ん、と唸りながら、思い出そうと頑張っている。
5秒経ったあと、諦めたのか、腕輪をいじりだした。
「えっと〜・・ダリオン・カルセリオだって!」
「じゃあ・・違うね。全然、知らない人だ」
じゃあ、このバルド・ケルンは誰なんだ?あの二人のどちらかの可能性あるかな?
「胸のネームプレートに名前書いてあったけど。40歳くらいのあの人の名前がそんなのだった気がするよ」
「だとしても、もう聞き出すこともないよね。金庫も空いたし、研究内容もこれに全部書いてるし」
それか、あの人を脅して、証言を・・・って、意味ないか。
「それもそうだよね〜。それと、マリアナからメールが来てたよ。座標機能やワープも直ったって!」
「治ったのなら、ここの段ボール、何個か持ち帰る?これから何かの役に立つかもしれないし」
武器やら、薬品、よくわからない精密機器・・宝庫って感じ。
「良いと思うけど、ちゃんと中身を確認して選別しないとね〜!」
「だね。あと、これを見つけたんだけど」
「んっ?ねぇ、カインと王の関係について、その歴史文書に書いてないかな?そのファイル名通りなら、この場所を作った事情や費用くらい載ってると思うよ!」
キラナは金庫の上に私が置いた書類を目にすると、手に取り、開いた。
5年前・・
「『グラビティ』!」
そう唱え、手をかざすと、敵の飛び武器を全て弾き飛ばした。
「隊長!来てくれたんですか!?」
「ああ。もう僕が行かないと後が無い。それに、もっと早く前線に出るべきだった・・・怪我人は動けなくなる前に後方に戻ってくれ」
付近の十数名の仲間にそう命じると、前に進み出た。
「さて、この僕が来たからには・・この戦場はもう終わりだ。あの女戦士もこの僕が!」
「それはどうだろうな!まぁ、それはさておき・・王からの伝言だ。降伏しろ。すれば、もうこれ以上、死人も出ず。その後の身分も保証しよう」
甲冑を身に着けた一人の兵が紙を掲げ、そう読み上げる。
「そんな言葉に耳を貸すつもりはない」
「さらに仲間が死んでもか!今降参すれば、これ以上、死人は出ないのだぞ」
「確かに、それが嘘ではないのなら、良い提案ではある。だが、それを受け入れる必要はないな。なぜなら・・」
落ち着いた声でそう言い、手を突き出す。
「戦闘準備!忠告を聞き入れなかったことを後悔しろ!」
「この僕がいる限り、これ以上は誰も死ぬことはない。『グラビティ』!」
ーーー
「カイン様!」
「んっ、またうたた寝してしまっていたか」
カインが顔を上げると、そこには、マドレーヌとミーナ。
そして、目隠しをした状態のトライアが来ていた
「連れてきましたよ〜!」
「あの〜、もう外してもいいですかニャ?」
「もういいよ」
ミーナがそう言うと、トライアはゆっくり目隠しの結び目を解いた瞬間・・
パァンッと破裂音が5回鳴り響き、その後すぐに拍手が起こった。
「えっ?」
「これからよろしくの、新人歓迎会だよ。ほら!あそこに座って!」
トライアはマドレーヌに手を引っ張られ、中央の席に座った。
「座ったね。それじゃあ、乾杯!」
そして、グラスがぶつかり合う音が響き、パーティーが始まった。
30分後・・
ワープを使い、20個ほどの段ボールを宇宙船に運び入れた。
「かなりの収穫だな!流石、コスモス様とキラナだ」
そして、タブレット型のデータ解析はマリアナとヴァイスがやってくれるらしい。
「この我に任せろ。機械には強いからな!」
ヴァイスが自信満々にそう言ったが。
「確かに強いが。今回、壊したのはヴァイス・・お前自身だがな」
「フンッ、気に食わないが。今回ばかりは返す言葉がない」
楽しそうに会話してるな〜。
「話を遮っちゃうけど。翔はどこ?」
「翔様なら、下の階だ」
下の階・・練習でもしてるのかな?
「行ってみたら?」
「うん。やることも一段落したしね」




