真相
見ていく内に、段ボール箱の棚の中から気になる場所を見つけた。
隅の一つだけが、違う表記になっていて、たった2つだけ段ボールが乗せられていた。
『機密書』と書かれている。
「これ・・。箱ごと、全部持って帰ってもいいかな〜」
空間にしまえば、荷物にもならないし。
なんて、考えていたら。最初の部屋の方から叫び声が聞こえてきた。
(始まっちゃった。まぁ、大丈夫だよね)
聞こえてきてはいるけど、気にせず、段ボールを開けてみる。
え〜と、本が3冊に。タブレットが1枚。タブレットの裏面には、ローマ字で『オービテック・カンパニー』と彫られている。
「会社?ここも後で調べる必要あるかな?」
まぁ、そこはキラナかマリアナが教えてくれるよね。
「早くあの金庫のパスワード、教えて!何か精神攻撃耐性を持ってるみたいだけど。嘘をついてるかどうかくらいは分かるんだからね」
「そんな脅しをしたところで言うわけが・・」
男が威勢よく言おうとした瞬間、ドゴッという鈍い音が響いた。
「ウッ!」
「もう、だから言ったのに。それと、いくら痛くても嘔吐はしないでね。仲間にやりすぎないように言われてるけど〜。私が本当にムカついたら、どうなるか分からないよ〜。フフッ!じゃあ、次はあなたに聞くね」
そう言うと、キラナがもう一人の男の前に近づく。
「近づくな!」
「じゃあ、言って。パスワード!」
「痛いのは嫌だ!仕方ない。4・・」
男が落ち着いた顔で言おうとした時だった。
「もう一回言うけど、嘘は言わないでよ」
「・・・」
男はキラナから目を逸らし、黙り込む。
「言わないんだ!じゃあ、5秒後に蹴りいくよ〜」
「そんな脅しをしても言わ・・」
「ゴ〜、ヨン!サ〜ン・・」
「分かった、分かったよ!言うから・・」
そう言いながら、一人の男がジタバタ暴れ出した。
「じゃあ、言って!正直に言ってくれたら、私だって何もしないから」
「おい!言うな!ボスにどんな顔で会えばいいかわからなくなるぞ」
「ねぇ、そっち〜。邪魔しないで!」
キラナが呆れた顔で見下ろすと、もう一発、腹に蹴りを入れ込んだ。
「えっ!やめてくれ、ちゃんと言うから!パスワードは1030だ!」
男は半分涙目になりながら、コスモスにも聞こえるくらいの声でそう言った。
同時刻・・。
(え〜と、この箱は・・)
その他の段ボールを漁っている時だった。
向こうの部屋から、「パスワードは1030だ」と聞こえてきた。
今回は前みたいな事にならなくて良かった。叫び声も聞こえてきてないし・・大丈夫だよね。あっちの部屋に行ったら、血の池になってるなんてことないよね。
まぁ、そんなことは後にして・・開いてみようかな
「(1030・・っと!)あっ、ちゃんと開いた!」
どれどれ、中身は、紙の束が3つに。
これ。なんだろう、数字が書いてある紙の束?・・この星で使われているお金かな?
「やった!パスワード分かったよ・・って。聞こえちゃってた?」
キラナがスキップしながら、部屋に入ってきた。
「うん。それも、かなり大声でね。それで、あの2人は?」
「とりあえず、あのままくくりつけておくよ。今は記憶を消すことも出来ないし」
記憶操作には何らかの機械が必要だったもんね。
まぁ、何日か経てば発見してもらえるだろう。
「それで、それで!その紙。何が書いてあった?」
「今から読むところ・・えっと、読み上げるね」
形態変化の研究
実験1
5回目の検証により。
スルヴァは人間を喰らえば、その体型に変化できることが判明した。
そして、喰らった人間が強力であればあるほど。スルヴァ自身の力も強くなる。
実験2
何度か接触を試みるものの。
スルヴァは手懐けることは現状、不可能だと断定。
3名が犠牲となった。
「一枚目はこんな感じ。やっぱり、研究だったね」
「うん。気になることは山程あるけど、次読んで!」
読めば分かるかも知れないからね。
「オッケ〜」
ーレクト・ヴィスー
王宮に不当に忍び込んだ罪人。
身体能力はそれなりに高いが特殊な力は、なし。
ーナミア・トレイスー
王宮兵の弓部隊の一人。
弓の実力は、部隊内では平均的。
ネイラ・フロル
ノルディアから送られてきた孤児。
コールドレアの血を取り入れ、適応済み。
・・・
「18人もの名前。この人たちが全員・・」
実験に使われていたの?
「そうみたいだね」
「それと、気になったことがあるけど。ノルディアって、どこ?」
この星のどこかの地名かな?
「ううん。ノルディアはこの星から、それなりに離れた別の星の名前だよ!」
違う星か〜。
「どんな星か、キラナは知ってるの?」
「少しだけね。地上は止まない猛吹雪に見舞われていて。住むところがないから、全員、地下に避難しているということと。今では、この国の城壁内の3倍くらいの広さの地下都市が反映してるんだって」
キラナが少しだけ、声が高まっている。
何か美味しいものか、人気な商品でも売ってるのかな?
私も、確かにそこまでの高度な技術がある星は気になるけど。
「なるほど。とりあえず、そこが怪しいっていう情報もマリアナに教えたほうがいいね」
「そうだね、これが証拠でいいかな?」
「でも、これだけでは王がやってるとは言い切れないよね。まぁ、まだまだ資料もタブレット端末もあるから見ていこう」
「じゃあ、私はこっちの資料見ていくよ〜!」




