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新技!『メテリクス』

扉が開ききった瞬間、大剣を構えたが。

誰も、襲いかかってくる様子はないみたいだ。

それに、中は真っ暗だ。電気をつけないと・・

「はぁ〜、キラナ。入っていいよ」

「は〜い!」

キラナが両手で二人をズザザと引きずりながら、ゆっくりと歩いてきている。

「それで、その二人はどうするの?どこかに縛っとく?」

何かの罪を犯しているとは限らないし。

その上、犯しているとしても、情報を出させるために殺すわけには、いかないもんね

「そうだね。目覚めても、逃げ出せないくらいにキツくね!この2人には取り調べをしたいし!」

キラナの場合、取り調べって言うより、拷問じゃ?

「んっ?」

そう考えていると、キラナが何か言いたそうな強い眼差しで、私のことを見つめだした。

「あぁ!何でもないよ。さっ!早く奥を見に行こう」

「うん。でも、その前に、電気をつけないとね・・電源あるかな?」

「・・あっ!普通に扉の横にあった。」

カチッ!

スイッチを押すと、天井のライトが次々とついていった。

明るくなった、とりあえず探索を・・と一息つきたかったけど。

奥の方に、3体くらいのスルヴァが移動しているのがはっきり見える。

「ここって、こいつらのアジトみたいなものだよね?なんで、スルヴァがいるの?乗っ取られでもしたのかな?」

「そのことについては、こいつ等から聞けるでしょ!で、どうする?実践訓練って言ってたし、コスモスが片付ける?」

「うん、そうする!私が倒すよ!」

まぁまぁ強い個体がいるといいなぁ。

それなら多少なりとも、修行にはなるし!


「さ〜てと、どうしようかな?」

とりあえず・・普通にいこうかな?

私自身のやり方で!

「『オープン』!」

アルカ・スペースを開き、武器を選ぶ。

そして、いくつかの武器から選ばれたのは、私が元々使っていた日本刀。

「(やっぱり、これが手に馴染むよね!)見ててよ、キラナ!」

「頑張って!」

キラナが片腕を突き上げて、応援してくれている。


そして、私が一歩を踏み出した瞬間、足元の瓦礫を踏んだジャリッという音を立ててしまった。

その音に気づいたのか、3体のスルヴァが奥の部屋から次々と向かってきている。

「まっ!正面からやり合うほうが私としては好きだからいいんだけど!」

バリアを発動させて、剣を構える。

少し前、翔に教えてもらった魔力を武器に籠める方法・・それを実践で使うときが来たってことね!

やり方は、空間バリアより単純だったはず。

「・・よしっ!仕組みは分からないけど、これで籠もったはず」


勢いよく走り、スルヴァの間をくぐり抜けると、勢いよく剣を振るった。

剣の刀身は薄く、スルヴァの頭皮?を傷つけると。

3体がグオォ!と鈍い呻き声を上げながらも、別の見知らぬ異業の姿に変貌すると、再び襲いかかっててきた。

「何に変わったかわからないけど。(突っ込む!)」

3体のスルヴァが口みたいな場所から、炎の玉を打ち出してきたが・・その攻撃は私の目の前で呆気なく消し飛んでしまった。

(フンッ!そんなことしても、どうせ攻撃も喰らわないし!)

そのまま、3体に近づき、再び剣を振るった・・が。さっきと同程度の傷しかつけられなかった。

「なんで?やっぱり、あの炎の剣が正方法なのかな?」

いや、そんなものより、簡単な方法がある 

『オープン・ザ・ディメンション』!」

剣を使い、空間を引き裂く。

前とは違い、巨大な隕石だけは出さない。というより、この広さ的に出さないけど・・

でも、これなら!

「『メテリクス』!」

空間から片手サイズの隕石が銃弾のように、人間の目では確実に追えぬ早さで数発、射出される。

その隕石はスルヴァの胴体?を貫き、瞬く間に3体とも消滅させた。建物の一部が壊れるのも引き換えにだけど。

「余裕で倒せたけど。キラナ・・ここ、崩落したりしないよね?」

自分で穴を開けといて、言うことない気がするけどね

「まぁ、大丈夫じゃない?崖をくり抜いて作られている構造だし、山で地割れでも起こらない限り平気だと思うよ」

「それなら、いいか。気を取り直して、奥の部屋見に行こう!」


1時間前・・

カインとトライアは買い物を続けていた。

「これと、あの肉を頼んだ」

「はい!少々、お待ち下さい」

カインと店員がやり取りをする。

「(暗くなってきました、この星の日周期は、よくわからないですね)・・え〜と、カイン様は何か趣味みたいなものはありますかニャ?」

「趣味か・・読書と音楽鑑賞だ。好きなジャンルは聞いても、意味はない。大体、全部聴くからな」

「僕も音楽を聴くの好きですニャ!読書は・・あまりですが。まぁ、漫画は読みますがニャ」

トライアも活字が苦手な部類の一人であった。

「漫画か。この宇宙には色々な作家がいるが。どれも読んだことはない」

カインがゆっくり首を横に振って、静かに答えた。

「え〜!何でですかニャ?」

「普通に、仕事で読んでいる時間がない。それに、漫画なんて読み出してみろ。気になって、仕事に身が入らなくなるのは確実だ」

トライアからしても、意外と普通の理由だった。

「やっぱり、カイン様は真面目ですニャ!」

「フッ、ありがとう・・おっ、出来たみたいだな。受け取ってくる」



その後、お目当ての物を買えた2人は、ゆっくりと屋敷まで戻ることに。

街灯、店や家の明かりに照らされた薄明るい夜道?を他愛のない話をしながら戻り、20分後。

カインがセキュリティに顔を向け、認証を済ます。

(私も数日間働いていれば、認証登録されるのでしょうか?)

「帰ったぞ!」

「おかえりなさいませ、カイン様」

2階から颯爽と走ってくるのは、メイド長のマドレーヌだ。

「ああ!お疲れ様、マドレーヌ」

「はい、ありがとうございます!買ったものは私が片付けておきます」

マドレーヌは丁寧な口調で買い物袋を預かろうとする。

「ありがとう。全部食品だから、そっちで管理してくれ」

「はい、任せてください」

そう言うと、袋を抱えて一階の右の廊下に向かっていった。

(あっちにキッチンがあるんでしょうか?料理もしたい上に。メイドである以上、場所把握は大事ですよね)

「時間があるなら、さっきの話の続きをしたいのだが。大丈夫か?仕事が残っているなら、また後日にするが」

「えっ・・あ、大丈夫です。お願いしますニャ(これで、やっと聞けますね)」

屋敷に帰ってきてからも、マドレーヌに仕事を言い渡されなかった事から、自由にしてても大丈夫だと判断することにした。

「なら良かった。じゃあ、また僕の部屋までついてきてくれ」


カインの事務室に着いて・・

「あまり長く話すつもりはない。だから、茶は淹れなくていい。座ってくれ」

ずっと変わらない落ち着き・・そして、何処となく優しさも混じった口調でそう命じた。

「は、はいニャ」

「緊張しなくていい。それに、この話は他のメイドは疾うに知っている」

「そうなんですね(だとすれば、あまり貴重な情報は無い可能性が高いですね)」


「さて、どこから話すべきか・・過去の歴史からがいいな。この国で昔、反乱が起こったのは知っているか?」

「はいニャ。詳細は知らないですが、発生したことだけは」

コスモスとキラナが歴史館に言った時の報告内容にあったため、把握していた。

「なら、丁度いい。細かく話すとしようか」

「はい!お願いしますニャ!」

「分かった。まず、結論から言うならば・・その反乱の首謀者。そして、指導者は僕だ」

トライアからしたら、とんでもない情報を単調な声で話している。

「そうだったのですかニャ?」

「ああ!その反乱の結果は今の僕を見れば、分かるはずだ。別に言わなくていい・・」

その低くなった声からも、トライアには敗北したんだ、と察することができた。

「・・・」

「そして、その反乱から民衆の目も激変した。負けた身でありながら、こんな豪華な屋敷に住んで、良い食事もして、11人ものメイドに恵まれている。こんなこと・・普通なら、ありえないことだ」

確かに、とトライアもすんなり納得することができ、頷く。


「何でこうなっているかは・・詳しくは言えない。すまない」

「そんなことがあったなんて、知らなかったですニャ。僕・・歴史関連には無頓着なもので」

一応、知らないふりをすることに。真実っぽい嘘も添えて。

「そうか。今度、歴史館に・・いや、やめておこう。それより、これで僕が町中でああいった事件に巻き込まれる事がある理由が分かっただろう」

「(確かにコスモス様の報告内容に、反乱の歴史があったみたいですからね。その本人が行くなんて、もってのほかですよね)はい、辛い中、話してくれてありがとうございますニャ」

「隠すことでもないからな。それに・・」

口調は変わらないが、俯きながら、何かを言おうとした時・・

「カイン様。今、お話いいです・・あっ!取り込み中すみません!それと、ノックも忘れてしまいすみません!」

駆け足で扉を開けたのは、トライアと同じ掃除担当のミーナだ。

「ノックに関しては大丈夫だ!次から気をつけてくれればいい。それで、どうした?何か問題でも発生したか?」

「業務の確認もしてもらいたかったのですが・・客人が来ていまして・・」

(客人?誰でしょうか?多分、他の貴族でしょうけど)

「ああ、分かった。まぁ、そんな感じだ、トライア。次の業務は、セラが裏口にいるはずだ。その手伝いを頼んだ」

「は、はい。分かりましたニャ(あまり有益な情報は得られませんでしたね。一応、夜にマリアナたちに報告はしましょう)」

そう考えながら、トライアはカインの部屋を離れた。

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