キラナの一閃
「さ〜て、次に・・」
張り切って、先を急ごうとした時・・
急に空が暗くなり始めた。
「もう夜?」
私がリヴィア・・だっけ?そいつと戦った時から、そんなに経ったの?
それでも、まだ地球で言うところの昼くらいのはず。
「ああ〜、まだ言ってなかったよね。この星は、4時間ごとに昼と夜が入れ替わり続けるみたいなの」
「4時間ごとに?う〜ん、仕組みは分からないけど・・」
なんて言ったけど、少し考えれば分かる気がする
まず、恒星とこの星の自転や公転の周期が関係してるんだろうけど・・。え〜と、一日を24時間と仮定して・・
その場で考え続けて、20秒後・・。
あ〜、暗算のしすぎで頭が痛くなってきた。これ以上、考えるのはよそう。
答えなら、あの大量の本の中に必ずあるだろうし。
「やっぱり。コスモスって、凄いな〜。憧れちゃう。私、そういうのよく分からないもん」
「そうかな。でも、私だって・・まだまだだよ」
「もう謙遜しちゃって〜。でも、その向上心が良いところだって、マリアナも言ってたよ」
マリアナが・・いや、彼女なら言いそうだよね。私と翔のことを慕っているみたいだし。
「そうなの?それはそうとして。これから、どうするべきか・・暗くなる以上、探索は危険だし」
キャンプするにも、セットは持ってきてないし・・
「ワープで一旦、戻・・るにしても、故障中だったよね。よし、このまま行こう!この剣、なんとなく明かり代わりになりそうだし」
「コスモスがそう判断したなら、私もそれについて行くよ!」
キラナはそう言うと、可愛らしくも私の手を握ってきた。
「えっ?」
ちょッ!う〜ん、暗いのが怖いのかな?
「手を繋ぐの嫌だった?」
「そうじゃなくて、単純に驚いちゃっただけ」
「なら、良かった〜・・んっ?待って、人の気配がする」
そう言いながら、私の手を引き、側の木々に紛れた。
確かに、十数メートル上から足音と話し声がかすかに聞こえる。
「1,2・・二人かな?」
キラナが耳を研ぎ澄まし、人数を推定する。
「何で、こんな状況下で人が?」
「私にも分からないよ?スルヴァの可能性も考えたんだけど。会話することはできないから、完全に人だと思う」
「じゃあ、このままついていけば。何か分かるかも知れない!」
こんな状況下で入り込むなんて、私達のような目的の人物。もしくは、ノエルが言ってた怪しい廃墟に関係している人物の可能性が高いよね
「うん・・」
視界が悪い。
剣は使えないし、どうしよう?もし、スルヴァに遭遇したら・・
「その時は戦っても・・いや、バレちゃうね」
キラナのの言うことは私も一番懸念している。
でも、あの二人に対応できる策はあるのかな?強いスルヴァに遭遇したら、ただじゃ済まないのは覚えているし。
「あの二人・・魔力から見ても、全然強くないからな〜。ほとんど、一般人と大差ないし」
「う〜ん、ますます分からない。実際にスルヴァに遭遇してる以上、封鎖が国の自作自演っていう線も無くなってるし。あっ!そういえば、会話の内容は分かる?何かヒントが得られるかも」
キラナは、こんな視界の中でも相手の位置が分かっている。だとすれば、心も読めるはず。
「さっきからやってるんだけどね・・少し問題があって」
問題?暗すぎて、単純に対象外になっちゃってる?
それとも・・奴らも精神に何らかの耐性を持ってる?
「たぶんね。でも、全然読めないわけではないよ。ちょっと、待ってね・・・やっぱり、詳しくは分からないけど、ほぼ黒っていうことが分かったよ。その証拠として・・被検体、実験、王という単語ばかり考えているみたい」
確かにそう聞くと、あの2人は黒に違いないね。
王が実験をしているなんて重大なことを、末端の人間が知っているわけないもんね
「じゃあ、このまま後をつければ、何か分かるかも」
なんて言った瞬間、2人の足音が止まった。
「ここみたいだね!鍵を開けた瞬間、不意打ちする?」
「そうするしかないよね・・先導して!その後を追うから」
ここは、相手の位置が分かっているキラナが妥当。
キラナ自身も強いみたいだし、問題ないでしょ。
「わかった!じゃあ、早速・・突撃〜!」
「ちょっ・・はぁ。私も!」
キラナが暗闇の中でうっすらと横に突き出した瞬間。
金色の稲妻が輝き出し、キラナの手に一点に集まると、短剣の形を成し。
周囲の木々を照らし、眩しく輝いている。
「ん?なっ、何だ!」
まぁ、そりゃ。気づくよね。
気づいたところで、もう遅いけど。
「はぁっ!」
軽く剣を横にスッと振ると、2つの落雷が発生した。
こんなものを喰らって、あの2人生きてるのかな?
「まだ息はしてるみたいだから、大丈夫だよ。思考も読めるし。それに、ここの扉は開いてるし」
それなら、問題ないかな?
「キラナ、ここの2人も一旦中に入れるよ。誰かが来ることはないと思うけど。見られたら困るし」
「それよりも、中にもっと沢山の人が居たら?」
「じゃあ、今度は私が先導するね」
死覚から攻撃を受けても、バリアがあるから、当たることもないしね。
そう判断し、鉄の扉をゆっくりと開けた。




