実践訓練
一方で、闘技場内。
「うわっ!コスモスって、こんなに強かった?」
キラナが私の剣技に吹き飛ばされ、尻餅をつく。
「まぁね。でも、マリアナが言うには・・」
私自身もこの腕輪のことは、完璧には分かってないからな〜。
マリアナが言ってたことを言えばいいか
説明をして、2分後。
「なるほどね・・つまり、この腕輪のお陰ってことね」
「うん」
前の持ち主は不明だけど。
「ま!この話はここまでにして・・そろそろ実践訓練しない?私もついて行くし!」
「んっ?実践?」
いつもの親善試合と何が違うのだろう
「まぁまぁ、これ見てみてよ」
3枚くらいの紙の束を、ポンッと私の手元に置いてきた。
何これ?
この世界で言うところの新聞みたいなものかな?
「そんな感じかな?この星の情報ページのトップをプリントアウトしてきただけだけど。まぁ、とりあえず、読んでみて!」
「分かった・・」
食品の定価の変動に・・聞いたこともない人の80歳記念日・・
どれのことかな?
「ねぇ、キラナ。これの何枚目?」
「んっ?二枚目の下半分見てみて」
「二枚目?どれどれ・・」
スルヴァの脅威・・?都市から5キロ離れた山で2匹発見される。民の安全を考慮し、国民の山への接近を禁じる。
これで合ってるよね?
「うん。合ってるよ」
「それで、これが何・・いや。もしかして、このスルヴァを撃退しに行くの?」
別に倒しに行くのは、私としても問題ないけど。
なんか、進入禁止って書いてない?
「別にいいじゃん。それに、国民のって!書いてるから、私達は大丈夫!・・かも」
キラナが自信満々な顔で言い張る。
「いや、駄目じゃ・・ていうより、スルヴァって何?」
この新聞には写真は貼り付けられてない。
姿形も不明なやつを相手するのは、流石にリスクが・・
「説明するね!スルヴァっていうのは、エイリアンの一種かな?それも、人型ではないんだよ」
「エイリアンね。まぁ・・いるって言われても、もう全然納得できるけど。人型じゃないなら、どんな姿をしてるの?」
「え〜とね・・」
キラナが顎に指を当てて、話し始めた時だった。
「その説明なら、私がしよう!」
振り返ると、マリアナが闘技場の階段をゆっくりと降りてきている。
「マリアナ!」
「驚かせたのなら、すまない。それより、スルヴァの話だったな」
「う、うん」
「スルヴァの本来の姿はまだ分かっていない。唯一、判明しているのはモンスター含め何かの姿に擬態し、形を変え続けているということだ」
なるほど、ある意味厄介かも
「ちなみにだけど、そのスルヴァの強さはどのくらいなの?」
「強さか・・個体によって、かなり大差があるが。観測上のトップクラスは十数体の集団だったが。星一つを滅ぼすことができたらしいな」
「星一つを!」
「そんなデータたしかにあったね〜」
この話で一つだけ気になることがあるんだけど・・
その星を滅ぼした集団のスルヴァはどこに行ったんだろう?
「確かに、どこに行ったんだろう?」
「何がだ?」
マリアナが首をかしげる。
それもそうだ。マリアナに心を読む能力は無いもんね。
「その集団スルヴァはどこに行ったのかな?ってこと」
「そういうことか。残念だが。データ上、行方は判明していない。もう既に、死んだかもしれない。もしくは、未だにどこかで蔓延っている可能性も容易にあり得る」
「まぁ、警戒しとくに越したことはないよね」
この星のスルヴァがかなり強い個体の可能性はあるよね。
「説明はここまでにしてだ。本当に行くのか?別にコスモス様のことを止めはしない。何か考えがあるのだろう」
考えね・・私のっていうより、キラナの考えだけど
「実践訓練だよ!スルヴァを相手にすれば、さらに強くなれると思って!」
「なるほどな。コスモス様もいるなら、大丈夫だが。無理そうだったら、ワープを・・いや、判断はコスモス様に任せる」
私の判断ね・・
「分かった。私に任せて!」
「フフッ。それと、そこの山にノエルの発言にあった廃墟があるようだ。見つけ次第、調査しておいてくれ、コスモス様」
マリアナがそう言い終えると、闘技場を去って行った。
「それじゃあ、行こう!武器は持った?」
「うん」
ちゃんと、剣は2本持ってる。
「本当にそれだけでいいの?ほら、このページ。空間魔法は使用者独自のスペース。『アルカ・スペース』を保持することが可能である、って」
独自のね。
確かに、夢で見た人物が多用していたよね。
空間から武器を取り出してはしまってを繰り返して、戦っていた気が・・。
でも、この魔法、まだやったことないんだよね。
「じゃあ、今やってみようよ。その方が沢山、武器いっぱい持っていけるよ」
確かにそう。
武器だけでなく、戦利品も敵の生け捕りにも使える。
「分かった。10分で習得できるようになるから待って!」
これで、またまた強くなれる!
身体能力や魔法力の熟練度あげてもいいけど、こういう独自のも習得するの。
特別な感じがあって、かなり胸が高まってきた!
よし、頑張るぞ!
「うん。頑張って!」
キラナが横で笑顔で頷いてくれている。




