メイドの仕事−2
トライア視点・・・。
「これから、仕事をしてもらうけど。トライアは何が得意?掃除とか料理とか・・」
まずは役割指定。
これがないと、トライアの仕事内容も決められない。
「う〜ん、この中なら掃除を任せてくださいニャン!(翔様が家でやってるのを見てるから、これなら出来そう!)でも、料理も学んでみたい気持ちも・・」
トライアは、翔が自炊をしているところを、あまり見たことがないから、学ぶことが出来ていない。
強いて、キャンプ時に肉や野菜を焼いてところくらいだが。
「掃除なら、ちょうど良いんじゃない?マドレーヌさん!」
「確かにそうですね。人手が足りなかったので、嬉しいです。それと料理なら、私が指導するので、ご安心を!」
(掃除役が足りないって、相当広いよね。まぁ、外観の見た目から想像はつくけど・・)とトライア自身の中で納得させる。
「ありがとうございますニャン!あと、僕とマドレーヌさんの他に何人いるんですかニャ?」
「今日、丁度10人に達したところです。そのうち・・トライア含め3人は掃除。2人は料理。2人はガーデニング関係。私含め2人はカイン様直属のサポートです」
マドレーヌが丁寧な口調で説明を始める。
「なるほど・・他の2人は今はどこに居ますかニャ?」
「今は、2階の掃除をしているはずです。約一名、サボっていないといいんですが」
はぁ〜とマドレーヌが深くため息を付く。
(普通にサボる人いるんだ・・)と、この館の自由さにも驚かされるトライア。
「とりあえず、早速2人と掃除をしてもらいます。2階の物置に向かってください。荷物は部屋に運んでおきます」
そう言うと、マドレーヌは荷物を抱えて、戻っていった。
「それじゃあ、僕も・・。えっと、物置の場所って、2階のどこですかニャン?ノエル様」
「あっ!確かに言ってませんでしたね。私が教えるので、ついてきてください」
ノエルの案内で2階に上がり、東の隅の方まで廊下を歩いていくと。
少しばかり、騒がしい話し声が聞こえてきた。
「もう、また騒いでる。2人共、何をしてるんですか?」
ノエルがそう声を上げた瞬間・・一気に声が止んだ。
「静かになった・・」
はぁ〜、と深いため息をつき。
「かなり個性的な二人ですが、仲良くしてください」
「もちろんですニャン!」
「フフッ!それでは、私はここで失礼します。詳しい仕事内容は2人から聞いて下さい」
ノエルはそう言うと、手を振りながら廊下を戻っていってしまった。
「し、失礼しますニャ」
コンコンとノックをし、倉庫の扉を開けると。
身長が高めで白髪のメイドと、低めで黒髪のメイドが段ボール箱の整理をしていた。
「だ、誰!?」
トライアの存在に気づいた黒髪の方のメイドが駆けつけてきた。
「新人のトライアです。よろしくお願いしますニャン」
「やっと、新人が来てくれた〜!私達2人だけで掃除は大変だったんだから〜」
「セラフィナは何もしてないでしょ!あっ、私の名前はミーナ。こっちは、セラフィナ」
段ボール箱を抱えながら、ウィンクをする。
ミーナが白髪の方で、セラフィナが黒髪の方・・とこれから数日間を共にする仲間の名前を頭に刻み込んだ。
「よろしく〜、気軽にセラって呼んで〜」
のらりくらりとした口調でゆっくりと手を振っている。
「ほら、セラもサボってないで、運んで!」
「え〜、めんどくさいな〜」
セラフィナが部屋の隅の方で壁にもたれかかっている。
「もう!トライアだっけ?こんな風にサボってるけど・・私達だけでも頑張りましょ!まずは、一番右の棚の段ボールを下におろして」
「は、はいニャ」
同時刻、カインの事務室内。
「ふぅ。相変わらず、ノエルは優しい妹だ」
椅子に腰をゆっくりと下し、書類作業に取り掛かり出した。
「それは、カイン様も同じですよ。私達のことを引き入れてくださっている訳ですから」
「リュシル、そう言ってくれるのは嬉しいが。僕はただ・・いや、何でもない。紅茶はそこに置いてくれ」
「は、はい!」




