表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/55

カインー3

「開始!」

その合図と共に、10組のペア全てに薄い魔法の膜が張られた。

「これが私達のやり方だ!」

「(なるほど。防御しつつ、安全に来る気か。)フンッその程度の作戦だったか。その程度では、我は倒せない」

そう言うと、ヴァイスはその場から姿が消えたかのように見えるくらいのスピードで移動すると・・

「ハッ!『オープン・ザ・ディメンション』!」

剣に闇の力を込めると、バリアに向かって、スッと軽やかに刃を振るう。

すると、空間がバリンという粉砕音と共に、空間が一直線に割れ始めると。

その時空の側にいた2人の兵士は、空間に吸い込まれるように飲み込まれてしまった。

「何!」

「我にとって、その程度の防御は柔らかすぎる。もっと、硬い防御魔法を身につけることだな」

ヴァイスが剣を再び振ると、割れた裂け目が徐々に縮小していき、消滅した。

「クソッ!(もう、魔法の手はない。近接攻撃は絶対にこちら側が負ける。たとえ・・私達、兵士が100人いたとしてもだ)」

作戦を提示していた兵士が遂に、頭を抱えてうずくまり出す。

その上、苦しそうな声まで出し始めた。

「もう一度だけ、聞こう!お前たちはカインの部下か?」

しばらくの間があった後、兵士が口を開いた。

「いいえ。ですが、カイン様のことはある程度は知っています」

その兵士がうずくまりながらも、そう答えた。

「何で、喋った?」

一人の別の兵士が怒り始める。

「絶対に勝てないことがあの魔法を見ても分からないのか?」

兵士が半泣き状態になりながら、ぎゃあぎゃあ言い合いをし始めた。


10分くらい、激しい論争が続き・・

「終わったか?終わったなら、カインについて、詳しく聞いてもいいか?」

「分かりました。それで、全員・・助かるなら」

もう誰も反論する気はなく、重苦しい空気が兵士たちの間で漂う。

「(やはり、兵士でも命は惜しいみたいだな)もちろんだ。我に、戦う気がない者を殺したり、痛めつける趣味はない。」

ヴァイスは剣を背中にスッとしまいこむ。

「カイン様のことを教える前に一つ・・」

「何だ?」

「その・・あなたの仲間たちの元にも数名の兵士たちが奇襲を仕掛けています」 

「何っ!」

あまりの事態にヴァイスも大きな声をあげてしまった。


数分前、コスモスはというと・・

「私の考えはというと。多分、カインは・・」

私がそう話し始めた時だった。

家のドアが勢いよく開き、一人の男性が駆けつけてきた。

「どうした?そんなに息を切らして」

どうしたんだろう?

何か事件でもあったのかな?

って、呑気に思っていたら、私の予想以上に大変な事態が迫っていた。

「大変です!村に向かって、兵士が一部隊向かってきています」

今、翔がこの家の外で見張りをしているけど、大丈夫かな?

兵士達と戦いに行ったりしてないかな?

「翔様は?今、翔様は何を?」

「翔?見張りの男の人ですか?それなら、外でこの家の壁にもたれていましたけど」

よかった・・まだ、突っ走ってない。

まぁ、私が言えたことではないかもしれないけど

「分かった。家を出る時、そのまま待機しておいてくれ。と伝えてくれ!」

「わ、分かりました」

そう言い、立ち去ろうとしたが

「ちょっと、待ってくれ。もう一つ頼みがある」

「何でしょう?」

「村の皆で入ってこないように、10分くらい時間稼ぎをしてくれ」

10分・・これだけあれば、作戦会議は進む。

「承知しました。できる限り、頑張ります」

そう言うと、家から退出した。


「う〜ん」

どう対処すれば、いいか?私は必死に少し未熟な作戦脳を回転させる。

・・・私の予想が当たっているとすれば、兵士達は完全に敵だ。

そして、奴らの狙いは私達?今来るっていうことは、その可能性が高い。

そのついでに、この本も取りに来たに違いない。

「この本が遂にバレたのだろうか」

ルーシーの祖父も父も机に手を付き、慌てふためいている。

「その可能性が高いだろう、早く隠したほうがいい。それとも・・私達に預けるという選択肢もある」

「たしかにそうだが・・」

「安心しろ。ちゃんと実物は、ここに返しに来る!その上、決して取られるなどの失態もしないと保証する」

マリアナが自信満々で言い切る。

うんうん!私達なら、誰にも負けることはないよね。

「分かりました!これをお願いします」

祖父が本をマリアナの手元に差し出した。

「ありがとう、だが、この本はコスモス様に渡したほうがいい。私なんかよりも、かなり強いからな」

えっ!まぁ、そうか・・私なら、取りに来たとしても、バリアで身を守ればいいだけだし

「そうなんですか?では、どうぞ!」

私はその本を丁寧に受け取った。

表紙の手触りは少しザラザラしていて、年季が入っているのが分かる。


「それで、奴らをどう対処するべきか・・」

「私と翔で全員半殺しにして、その間にマリアナとキラナは村の人の避難をさせるのは?」

これが一番無難だと思う。

ただの兵士みたいだし、多分いけるはず。

久しぶり(4日ぶり)に翔と共闘もできるし!

「確かに、確実に勝てると思うが・・」

マリアナが判断に迷い始めた。

確かに言いたいことは分かる気がする。

このままただの兵士と戦うのは何かの罠の可能性もある。

でも、マリアナたちには、まだ言ってないけど、奴らの狙いは私達・・策なしで来てるなんてことは、ほぼありえないだろう。

「まぁ、いいんじゃないの?もし、敵がコスモスさんに目もくれず、こっちに突っ走ってきたとしても。私達で対処できるでしょ!」

キラナは撃退に賛成してくれた

「あとは、翔様の意見も聞くべきか・・」

確かに翔が一番この状況を理解できているはず。

兵士がどこから来て、どのような編成で来ているかも、全て見ているのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ