カイン
下の階に降り、席に座る。
席の上にはキラナからの報告の通り、一冊の本が置かれてあった。
「どうぞ!座ってください」
「ああ!どうも、ありがとう」
素っ気ない声のマリアナでは相手にあまり良い印象が持たれてないかもしれない。
なら、ここは私が
「どうも、ありがとうございます。私は、リーダーのコスモスと言います」
まず、挨拶は完璧に出来たと思う。
「コスモスさんか?」
「はい!あと、私の部下のマリアナですが。強気な発言が気に入らないときもあると思いますが。性格なので、ちょっと我慢していただきたいです」
マリアナのことを部下って、言ったのは少し申し訳ないかな。一応、私は彼女を尊敬しているし。彼女自身は私を慕っているみたいだけど。
「別に大丈夫だ。自分も似たようなものだから。そんなことよりだ。ルーシーを助けてくれたこと・・どうもありがとうございます」
そう言い、頭を下げた。
(見た目やキラナの報告に反して、かなり親切な対応と言葉遣いだな)
「いえ、カインのことを追っていたら、偶然発見しただけだ」
確かに、戦ったのは私でも。
発見したのは・・というより戦闘以外は全て、マリアナのおかげだし。
「だとしても、助けてくれたことは事実です。父から聞いたが、情報が必要って話でしたよね」
さて、キラナの報告やマリアナが所持している書類の内容がここから役立ちそう。
もしものことも考えて、下手な発言は控えないと。
「そうだ。何か知っていることはあるはずだ。奴らがルーシーを襲う理由は必ず、ここにあるはずだ」
マリアナが強気に出る。
「・・はぁ〜。理由はこの本かもしれない」
少しの間があった後、父は再び話しだした。
「この本は、王宮の図書館にあったもの。その証拠として、表紙に赤と白のバラの文様が描かれている」
持って帰ってきてしまったのは知っているけど。
バラの文様?
「なぜ、その本がここに?貰い受けたとかか?」
「いや・・私が持ち帰ってきてしまった」
顔を伏せながら、そう言った。
「なるほどな」
「もしも、これが原因だとしたら・・」
父の声が震え始めた。
誰もが納得の反応だ。
もし、自分が過去にやったことが周りの人を傷つける事になったのだとしたら。
私自身も耐えられないだろう。
「仮にそうだとして。この先、どうするんだ?」
「少し・・考えさせてほしい。大丈夫・・期待外れな答えは出さないつもりだ」
まぁ多分、協力してくれるだろう。
キラナからの報告でも一緒に戦うと、祖父に言い切っていたみたいだし。
「わかった!」
「それより・・今の問題はこっちじゃない?」
キラナがマリアナの裾を引っ張り、本のほうを指差す。
「そういえば、そうと。その本、読んでもいいか?」
確かに今は、キラナとマリアナの言う通り、本の内容の方が重要かもしれない。
「分かった。ここでなら、別にいくらでも読んでくれて構わない」
案外、あっさり了承してくれた。
「どうも、ありがとう。あと、これは別にこれは断ってくれても構わないが。重要箇所は写真をとってもいいか?書類として、持っておきたい」
「写真・・まぁ。撮るだけなら、大丈夫だ。別に宇宙全体に拡散するわけじゃないだろ」
「当たり前だ。それに・・普通、そんなことの為だけなら、ここまでしないはずだ」
「それもそうか」
その後、マリアナとキラナとの3人で本を読み進めていく。
どのページも気になるような内容ばかりだが。
「とりあえず、カインの名が出てきてほしいが」
まだ、貴族関連の内容はかなり少ない。
「んっ?ちょっと待って、マリアナ。今、ちょっと気になる記述が」
「うん。私も思った」
キラナも同意してくれるってことは、多分私の勘は当たってる
「気になる所?言ってみてくれ!」
「ここ!」
この記述。
王国に対して、反乱を起こした時のことが記されている
「ここがどうかし・・あっ!」
よく見たら、一箇所だけ、カインとちゃんと名前が出てきている。
「ほらね!もう、ちゃんと見てよ〜!」
「すまない」
マリアナが目を逸らして、ボソッと謝る
「まぁまぁ。ミスは誰でもすることだし・・そんなことより。読んでいこう!」
内戦のことは、歴史館で見た内容と大方は一致している。
でも・・
「この内戦の反乱軍側のリーダーがカインだったなんて」
内戦を企て、一部の国民を引き入れたのも、全てカイン。
「でも、なぜだ?なぜ、内戦を起こしたんだ?その上。今の奴の行動からして、良いことの為とは思えない」
確かに、マリアナの言う通りだけど。
考えれば、分かりそうな気が・・
「あっ!」
私の頭には、一つの考察が思い浮かんだ。
というより、多分、これが答えだろう
「どうした?」
さっきの私の声で全員の視線が私に向いた。
「一つ、カインのことで考えついたことがあるんだけど」
「んっ?コスモス様?分かったのか?」
マリアナが必死な眼差しでこっちを見つめてきている。
そんな目で見られたら、自信が無くなっちゃうよ。
「まぁ〜。話してみたら!」
キラナが励ましの言葉を与えてくれる。
「わかった。私の考えは・・
久しぶりに・・
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ちなみに嘘ではないですよ!




