表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/55

海の村

「そうだった。思い出した。ちゃんと、翔を頼る・・これも思い出した」

あの頃も今も、私は殆ど変わっていないな。

部長になり、副委員長にもなり。

今はこのメンバーのリーダーにもなったのに

「思い出してくれた?あとは・・無理をしないこと!『浮遊』は、後で一緒に頑張ろう」

そう励ましてくれると、翔の手が私の肩に触れた。

翔の言っていることは全部正しい。

ずっと、突っ走りがちの私の事を助けてくれている。

そろそろ、ちゃんと成長しないと・・

だからこそ、まずはその言葉にちゃんと、答えないといけない

「うん!そうだね」


その後、すぐ私達はマリアナの跡を追いかけて行った。

「やっと、来たか。コスモス様」

マリアナ達には山の麓でようやく追いつけた。

「ねぇ、何の話をしてたの?」

キラナがニコニコしながら、聞いてきている。

「いや・・特に・・って。別に聞かなくても、知りたいなら、心を読めばいいでしょ」

「まぁ、読まないでおいてあげる」

そう言うと、キラナはフフンと軽く笑う。

間違いなくからかってる。

読んでるかどうかは分からないけど。


「そういえば、ルーシー。何で、街に来てたの?」

移動中、何もしないのも、退屈だし。

何か会話をして、ルーシーとの距離感を縮めよう。

「ただの買い出し。そして、その途中に襲われた」

まぁ、妥当な理由だよね

「私の事も疑ってるの?」

「いや、そういうわけじゃなくて。何かルーシーの行動にも意味があるのかなって気になっただけ」

「そう。まぁ、それならいいけど・・」

中々、ルーシーとの距離を縮められないな

他のことを話すにしても、話題がない。

この宇宙では、何が流行っているかも分からないし

「ねぇ。ルーシーって、ゲームとかするの?」

「えっ!まぁまぁしてるけど」

「何のゲーム?」

キラナがルーシーと話しだし、会話が弾んでいる。

宇宙でもゲームってあるんだな


しばらく歩いて・・

「到着だな」

「うん(上からじゃ、あまり大きい村には見えなかったけど。案外、大きい村だな)」

「そうだね」

また、心を読まれた!

「それと、この村の調査もするぞ。ルーシーを攫ったのには何か理由があるはずだ。いいな?ルーシー」

「まぁ、別にしてくれてもいいけど」

理由ね。カインと繋がりがあることは、ほぼ確実だとして・・

考えられるのは、この村が何かを隠している?

だとしたら、カインたちにとって、不利になるものとかかな?

そんなことを考えていたら、村の人が門の前にかけ寄って来たようだ。

「って、ルーシーじゃないか。この人達は?」

声をかけてきたのは、60歳ぐらいのご老人だった。

「あっ!おじいちゃん。この人達は、まぁ・・恩人・・かな?一応、危ないところを2回助けてくれたし」

ルーシがそっぽを向いて、たどたどしくそう言った。

「そうか。どうも、ルーシーが世話になりました。何にもお礼は出来ませんが」

「別に、物はいらない・・です。少し・・この村の調査をしたいのだが」

普段から、私も含めて、誰にでもあの話し方だから

マリアナは、敬語を話し慣れていないのかな?

「調査といいますと?貴方がたは、この星の人ではないですよね?」

「そうだが」

「いえ・・恩人さんの頼みを拒否することと。詮索も良くないですな。それで、何の調査を?」

おじさんがマリアナの圧に押されたのか、本心からなのかは分からない。

後で、キラナに聞こうかな?

「単刀直入に聞くが、カインという貴族について、何か知っていることは?」

「カイン・・名前は知っていますが。特に何も知っていることは。いや・・ついて来てください。息子なら、何かを知っているかもしれません」

息子・・ルーシーのお父さんかな? 

「分かった。案内を頼む」

「もちろんですとも」


私達は、村の中をゆっくりと歩いていく。

家の中から住人がこちらのことをひっそりと見ている。

あの視線はまるで、転校生を見ている学生にそっくりだ。

「気にしなくても大丈夫ですよ。この村に客人なんて、滅多に来ないのでね。皆、警戒しちゃってるだけですよ」

「まぁ。仕方がないな。私達は、所詮は余所者だからな」

「それで、個人的にも気になっているのですが。なぜ、カインという人物について」

「・・逆に質問をさせてもらう。カインに対して、どのような印象を持っている?」

確かにこの質問は重要だ。

この質問の反応次第では、この村にいることさえ危ないかもしれない。

「ただの一貴族なのではと思っていますが。ここ数年は目立った事もないですし」

ここ数年は?

この言葉が引っかかる・・この言葉の意味をそのまま受け取るならば、昔は何か行動を起こしていた?それも良い印象だったようにも聞こえる。

「確かにそうかもしれないね」

「うん」

私の心の中での考察にキラナも同感してくれた。


「ここの家です。どうぞ、中へ」

外装は、普通の家とはあまり大差はない。

「ああ!お邪魔する」

マリアナが先導して、家の中に入っていく。


「んっ?ルーシー、誰だ?この人達は」

この人がお父さんかな?

「その説明は、私からさせてもらいますよ。皆さんは、その間、上の階でゆっくりしていてください。ルーシー案内を頼んだよ」

「は〜い」

ルーシーが階段を駆け上がり、こっちだよ、と手で招いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ