新たな位置
ここまで、すれば、確実に殺せるはず
そろそろ、私も逃げた方がいいよね
上空からの衝撃波が強まってきているのが分かる。
大岩はあと10秒すれば、地面に到達する。
(よし、あとは退散するだけ)
私は速攻でワープを生成し、駆け込む。
このまま私もここに留まれば、衝撃波に巻き込まれる。
「今、戻った!」
アジトまで戻った瞬間……
外で、大きな轟音が響いた。
大岩が落下した衝撃波が響き渡る。
「何があった!」
ヴァイスがわずかに焦った声調でそう言う。
「私が城外に岩を落とした。おそらく・・彼女は死んだ」
ここまでしたら、生きていられるわけがない。
もし・・仮に生きていたとしても、私なら、また倒せる。
「流石だ、コスモス様」
「ありがとう。それで、この娘は誰?」
横を見ると、マリアナが一人の女の子を抱えている。
「分からない。2階を捜索している時に発見した。大丈夫、生きてはいる。傷は負っているようだが」
その時だった。
マリアナの腕輪が鳴っている。
「トライアからだ。そういえば、通信妨害がなくなってから、連絡してなかったな」
通話に出ると、トライアの顔がバーチャルモニターに表示された。
「大丈夫ですか?」
トライアが心配そうな表情で見つめている横で、キラナが画面を覗き込んでいる
「ああ!大丈夫だ。それよりだ。早速で悪いが、この娘のことを調べてくれ」
「んっ?ああ!」
突然、大きな声をあげた。
「どうした?何かあったのか?」
「色々事情がありまして。結果的にその娘は一度、私が助けました。提案なのですが、連れ帰るのはどうでしょうか。私なら、話を聞けるかもしれません」
「分かった!一度戻る。ワープを開いてくれ」
その後、宇宙船に戻り、連れ帰った女の子を寝かせた。
「彼女が目覚めるまでの間、コスモス様に話がある」
落ち着いた表情でそう言うけど、少し口調は興奮しているように感じられる。
「何?(大体、想像がつくけど)」
「力がほぼ完全に身につく前に何かあり・・あったか?」
「夢を見ただけ。多分、私が敵と戦っている」
「前に言った3日経てば、空間魔法の力はコスモス様の力になる。前兆は何パターンかはあるが、予想通りではあった・・さて。いきなりで悪いが、コスモス様、ついてきてくれ」
そう言うと、私の返事を待つ間もなく、歩き始めた。
えっ?どこに?
ついて行った先は、2階の隅の部屋だった。
「ここだ!」
そう言い、部屋の扉が開かれると。
中は、大量の本が置かれた図書館のような部屋になっている。
「この本はどこで手に入れたの?」
まず、純粋な疑問をぶつける。
「私の師匠から貰い受けたものもあれば、行った先々で購入したものもある」
「それで、何でここに?」
「それは・・コスモス様にはここの棚。魔法についての書物をマスターしてほしい。特殊な魔法の本は除外している」
「特殊・・といえば、ヴァイスのような闇魔法?それか、私のような空間魔法みたいな希少なものってこと?」
「そうだ。だから、心配はしなくていい」
それにしても、この棚全部?
「分かった。覚える」
「コスモス様は記憶力がいいですからね?って、前も言ったような・・気がしますけど」
いつの間にかトライアも後ろにいた。
確かに私は記憶力はいい方のはず。自分で言うのもなんだけど
昔から・・5歳から簡単に物事を覚えることができた。覚えるだけなら
このくらいの量、時間は、全然いける。
「でも、記憶力と何の関係があるの?」
どれだけ知識を吸収できたとしても、実践できなきゃ意味が・・
「まぁ、読めばわかる。トライア、コスモス様に本を選出してあげてくれ」
「はい!それで、何から始めますか?属性魔法に、対戦に役立つ基礎魔法・・空間魔法についての本もありますよ」
「とりあえず、基礎魔法がいい・・か」
多分、翔が言っていた感知魔法とかかな?
「はい!でしたら・・この5冊ですね!」
トライアが腕に、様々な厚さの本を抱えてきた。
オッケー!
どれから、行こう?
「あれ・・そういえば、翔はどうしてるの?」
「翔様でしたら、練習場でヴァイスさんと特訓されています。それで、気になったのですが、何で来てくれたのですか?」
あんなどうでもいい理由を言うわけにはいかないよね
「いや、なんか嫌な悪寒がしたから。確認に来たら、予想が的中しただけ」
即興で考えた割には、ある程度、納得させられる理由にはなった気がする。
「まぁ、理由なんてどうでもいいだろう?トライア。・・それより、コスモス様。重要な話がもう一つある」
んっ?何だろう
また作戦の話・・・いや、違う!
このマリアナの表情からして、いつも以上に大真面目な内容だ。作戦会議の時ですら、ここまでの表情を見せてはいない
「空間魔法の力をモノとした今。リーダーはコスモス様にやってもらう」
えっ?
「マリアナかヴァイスがこの宇宙船のリーダーじゃないの?」
そもそも、力や素質以前に学校もあるし、毎日ここに来れるわけじゃない。
リーダーって、毎日皆に顔を見せ、士気を上げ、ピンチの時には前に出て助ける。そして、チーム全体の管理、指揮とかも。
もしくは、ガンガン前線に出て、敵を撃退する。
このどちらかのイメージしか、沸かないんだけど。
「いや。私にリーダーはふさわしくはない!ヴァイスも・・戦略面で賢いのはそうだが、管理能力は全くない。私もある程度の指揮能力、作戦も立てることはできる。だが、ヴァイスやコスモス様みたいな戦闘能力はない」
マリアナは首を横に振り、断った。
私もなること自体に嫌悪感はないし。実際、任されるのはかなり嬉しいのだけど。
なら、こういうのなら!
「リーダーを2人にするのはどう?私一人じゃ流石に・・」
とりあえず、学校の副委員長みたいにやっていればいいよね。2人でなら、みんなの管理自体はできると思うし。
「それなら、まだ・・感謝する、コスモス様」
「言っとくけど、あまり頼り過ぎはよしてよ。あと、もう一人をどうするかだけど」
「ああ、それは私も、キラナたちも分かっている。それに、安心してくれ、リーダーと言っても、名ばかりのものだ。将来的に大きな組織と関わる際に、代表をすぐに選出できるようにするためにだ」
最後、割と王道的な展開の一つになってしまいました。
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