空間魔法
数時間前。
日本時間、午後13時。
学会室のソファーの上で。
また、夢の中だ。
だけど、マリアナの姿はない。前までの夢とは違う。
目の前にいたのは・・誰かは、分からない。
闘っている?
敵かな?
私に似た銀髪の女性が空間バリアやテレポートを多用し、器用に戦っている。
これが空間魔法の使い方?
それから、1分ほど戦闘というより、彼女の蹂躙が続いた後、敵はあっさりやられ、その場に倒れ込んだ。
声が聞こえる。
「お〜い!コスモス。また寝てたのか?」
ここで私は翔に夢から現実世界に、引き戻されてしまった。
「翔?ごめんごめん・・うっ!」
「大丈夫か?」
「う、うん。まだ、少し休ませて・・ちょっとだけ頭が痛い」
なんだろう、この頭痛は・・。
多分、原因はあの夢だ。
「分かった。もし、午後無理そうなら、連絡してくるが」
「ううん。大丈夫」
別にそこまで痛いわけではないんだけど・・
「分かった・・また夢でも見てたのか?」
「う、うん」
それにしても、あの夢。
空間魔法って、ああいう風に使うんだ!
何となくできる気がしてきた。
「また、マリアナでも出てきたのか?」
「いや、出てきたのは・・多分、私だった」
空間魔法を使うし、髪色も同じだったから、合ってると思う。
「コスモスが?」
「うん」
夢の詳しい内容を事細かく、翔に伝えた。
「夢越しで、空間魔法の使い方を教えてくれたんじゃないか?」
「そう・・かもしれない。あの夢を見てから、何となく使いこなせる気がする」
その証拠に私の魔力が高まっている気がする。
「確かに、コスモスから魔力が漏れ出ている」
「やっぱりそう?んっ?」
廊下の方から、何やら駆け足が迫ってきている。
「いますか?副かいちょ〜」
ドンドンとドアを勢いよく叩いている。
もう、ノックとは言えない勢いのノックだ。
「いますよね?」
扉の外から、陽気な声が聞こえる。
彼女は、たまに学校に来ては(意外と優秀な功績も残しているから、普段は海外留学をしている)やば目の実験に無理矢理、誘いに来る先輩?だ。
「どうする?」
翔の目は、逃げよう、って訴えている。
どうやっ・・あ!マリアナたちの所に逃げよう!
私がワープを開けばいいだけだし。
「うん!逃げよう!」
私はマリアナたちの腕輪の座標を頼りに、ワープを作ると、即座に潜り込んだ。
というのが、私がここに来た理由。
なんて、今の状況じゃ、説明もできないし。
そもそも、説明をすることすら、気まずい・・気がする。
だって、敵がいるなんて、思わないじゃん。
それも、まあまあ強そうだし。なんで、こんな奴がここにいるの?
私の初空間魔法だっていうのに・・
まぁ、やるしかないか!
さて、どうしようかな?
思考はまだ、追いついてはないけど。
どう戦えばいいか、どう魔法を扱えばいいかが勘で分かる。
まずは、魔力計算。
地球からここまでワープを繋ぐのに、魔力の30%は消費している、と思う。
ド派手なことができるのは・・1回くらいかな?
まずは・・ここで戦うのも何だし
敵ごと、開けた場所まで移動させた方が戦いやすい
場所は、城壁外が一番いいはず。
「とりあえず、場所を変更しよう!『テレポート』」
「何!」
私とリヴィアはその場から離脱した。
開けた草原が城壁外に広がっているのは分かっている。
「さて、ここなら巻き込まずにすむ。(それに、やってみたい魔法も使えそう)」
「仲間と協力しないのか?」
「その必要はない!私と一騎打ちだ!」
仲間を傷つけられた怒りもあるけど。今は、早く戦闘を始めたい欲望の方が大きいかもしれない。
「いいだろう」
「早く、来い!」
私の声は低く、重低音のある声になっていた。
こんな言い方は、地球で襲撃者にも言い放ったことはほとんど無い。
「い、言われなくても!」
相手は威勢よくそう言ってはいるけど、顔は強張っている。
やっぱり、分かるのだろうか、私の中の魔力が。
でも、手心を加えてやる必要はない。
容赦なく、まずは再起不能にする。
殺すのは、情報を聞き出してから・・。
「『テレポート』」
私自身を相手の後ろまで、ワープさせ、フェイントを仕掛けるタイミングを伺い続ける。
相手は、それに対応しようと、必死にキョロキョロと四方八方を見渡している。
「はっ!」
キンッと剣同士がぶつかり合う。
裏取り失敗・・でも、ワープがある限り、何度でも仕掛けられる。
「残念だったな」
「気を抜いてると、すぐに背中を取られる・・とだけ教えておこう。もう一回だ!」
再び、ワープに入っては出てを繰り返す。
「厄介だな!『サンダーソード』(この剣は周囲2メートル範囲に侵入した時点で、自動で感電させる事ができる。裏取りは不可能)」
属性付きの剣?
属性は雷・・効果は感電とかかな?
「ハァッ!」
リヴィアが私がワープした先に剣を振ってきた。それも、前よりも早く首を後ろに回してきている
この速さに対応してきている。
やっぱり、こいつは弱くはない。
「だが、関係ない!私に攻撃を当てることは不可能だ」
空間バリアもこの通り、簡単に発動できるまで成長できている。
相手の剣が必死に剣を振るが、私の目の前でギシギシと音を立てている。そして、電撃のビリビリ音も鳴っている。
「ちっ!なぜ、当たらない!」
「私は、空間魔法の使い手。その使い方の一つに、空間バリアがある」
単調にでも言ってあげた方が、相手の心に隙が生まれやすい。
「なら・・破壊する!」
「破壊?できるのか?」
私はリヴィアに向かって、ゆっくり歩いてみる。
さらに相手に絶望を与えてみる。
こういう強者感のあること、やってみたかったし。
「ちっ!」
リヴィアは、何回も剣を突き刺すように攻撃を繰り返している。
でも、その剣が私に当たることはない。
剣がバリアにぶつかる度に、目の前でガンッと衝突音を立てるだけ。
「どうする?それとだ。カインとかいうやつの情報を教えろ!そうすれば、見逃してやらないこともない!」
剣先を向け、相手を睨みつける。
こういう時は、威勢よく、力強く発言するのが一番適している。
「教えるわけ無いだろ!」
「(流石に、終わらせた方がいいかな?こいつの強さじゃ、壊される可能性もなくない)そろそろ、本気を出そう」
これが私のやりたかった魔法。
魔力を手のひらに集中させ、右手を空高く挙げる。
そして、上空に巨大なワープを作り出した。
そのワープからは宇宙の星々がキラキラと輝いているのが見える。
「何だ!この魔法は!」
「魔法よりも科学よりも強い力・・自然の力を思い知れ!」
自身の魔力の30%を消費する最大の攻撃。
「『ロックダウン』!」
右手を勢いよく振り下ろすと。
そのワープから小惑星レベルの岩が顔を出した。
この魔法で相手を押し潰す。
「クソッ!何だ、この力は(やっぱり、早く逃げるべきだった。微かにだが、力の差があることは分かっていた)」
相手が逃げようと、足を後ろに下げ、後退りをしようとしている。
「逃がさない!『生成』」
相手の周囲に透明な空間を生成させる。
これで、破壊しない限り、逃げることはできない。
「クソッ!」
剣でガンガンと透明な壁を叩いて、必死にもがいている
「カインについて教えてくれるなら、この岩は消すが・・」
相手は黙り込んでしまった。
もう話す気は無いと見える。
まぁ、そんな簡単に聞けるとは思ってないけど。
私に拷問する趣味はないし、このまま殺しちゃうしかない・・よね?
「じゃあ、死ね!」
1章の3分の1くらいが通過しました。
ここまで読んでくれて方、ここから更新情報で読んだ方!
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臨時情報・・プロットの再構成や新キャラデザを考え直したいため、3月10日まで、多分更新できないと思います。
本当に、申し訳ございません!
本当につまらない、と感じたら、星1でも構いません。
自分はそれだけ、まだまだ成長しなければいけない、ということですから。