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ただの学生だったけど、空間魔法で銀河の命運背負ってます  作者: 空花 ハルル
自然に溢れた王政の国『エヴァーレスト』
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キラナのやり方−2

中に入ると私の予想通りで。

2つの部屋がガラスで仕切られていた。

向こう側にキラナと椅子に縛り付けられた男がいる。

彼がトライアが捕らえた男で間違いないだろう。

見た目も、背が高くて、黒い服を着て、サングラスをしている。 

「このガラスは、向こうからは私達の声も姿も届かないようにできている」

「マジックミラーってことか?」

翔の言ったことは私の思考と同じだった。

これは、どう考えても、マジックミラー。

「その認識で間違いはない、翔様。まぁ、そんな単純な技術ではないが」

多分、魔法だろう。

私には、詳細は分からないけど


始まるようだ。

「やっほ~。今から、貴方の事情聴取をするね」

「誰だ?チッ!いいから、この縄をほどけ」

声を荒げている。

「私はキラナ。まず、1つ目の質問。貴方の名前は?」

まだ、キラナの口調はいつもと変わっていない。

「私か!ドレッグだ」

相手が名乗るのと同時にマリアナのメモを取る手が動く。

「なるほど。まぁ、その名前で呼ぶ気はないけどね。あと7つ質問させてもらうね」

「答えるとでも思って・・」

「そう言うことは分かってたよ。でも・・ほら、これが何か分かる?」

ナイフ?

それを見せびらかすかのように、男に見せつけている。

それを使うってことは・・

「ナイフか」

「そう。質問をしていくけど、答えなかったら、これで貴方を刺していく。もちろん、殺しはしないよ」

拷問・・だから

それに、ナイフを持ってから、キラナの表情もいつもと違う。

狂気じみた笑みを浮かべている。

「拷問か。そんなもので情報を吐くと思うのか」

「うん!あと、私は無慈悲ではないから・・ちゃんと全部吐いてくれたら、この宇宙船から出してあげる。もちろん、生きた状態でね。記憶は消させてもらうけど」

生存ルートは用意してるんだ。

吐いたら吐いたで殺してしまうのかと思った。


キラナの言い方からでは嘘かどうかは判断できない。

本当・・ではなさそう。

「本当だ。ちゃんと、記憶処理して、解放する。私達に有益なものをもたらしてくれた者へのせめてもの慈悲という考えだ」

「・・うん」

慈悲・・確かに慈悲かもしれない。

「相手は犯罪をしている悪者。あまり感情移入はしてはいけない、コスモス様」

厳しめに言葉を投げかけられた。

でも、言ってることは正しい。肝に銘じておかないと。


「フンッ!そんな嘘ついても、重要なことは吐かないぞ」

「嘘じゃないよ。あっ!一つ言っとくね。知らないことは知らないって言っていいからね。私は心が読めるから。嘘かどうかは分かるのよ」

たしかにそう考えると、キラナの能力はこういうことに向いているのは理解できる。

「貴方は何をしていたの?」

「・・取引だ」

「誰と?全員言ってね」

「名前は知らない。相手は2人。私の方は連れは1人連れて行った」

ここまではちゃんと男も答えてる。

「貴方もしくは相手の2人はカインという名の貴族につながっている?」

「んっ!」

男が黙り込んだ。

「ねぇねぇ、どうなの?」

キラナは子供のように相手を弄んでいる。

「フンッ」

「答えないとね〜。ほら、傷口って、こうやってつけるんだよ。いいの?」

「知らないな」

「そうなの?じゃあ、どこから刺そうかな〜。まずは、足かな」

キラナがナイフを振り上げた瞬間、私は手で目を塞いだ。

でも、ほんの一瞬だけ、見てしまった。

ナイフが肉にナイフが沈み込み、赤黒い液体が滲み出てくる様子を。

「ぎゃあああ」

その直後、男の絶叫が部屋全体に響いた。


「うっ!」

あんなに大量の血が。

地球の治安が悪いとはいえ、私も翔も見たことない。

横で翔も黙り込んで、拳を握りしめ、かすかに唇をかんでいる。


「早く吐いたほうがいいよ〜。このナイフ、ゆっく〜り押し込んでいくからね」

キラナはナイフの持ち手を握ると、徐々に力を入れ始めた。

「ぐっ!」

私にもあの痛みがじわじわと伝わってきている。

再び男の絶叫が響き始めた。

「まだ、吐かないの?まぁ、私としてはいいんだけどね。その苦しそうな顔、大好きだよ」

「言うわけ・・ぐっ!」

少し、手と手の間から覗き込んでみると。

男の反対側の足にもナイフが刺さっている。

さらに血溜まりが広がる。

「声、抑えなくていいんだよ。ほ〜ら。もっと、声を聞かせて」

「わ・・分かった。相手側が繋がってる!」

ようやく、声が収まった。

手をどかすと、さらに地面に血溜まりが広がっていた。

「そうか〜。じゃあ、そのカインの居場所は分かる?分からないなら、アジトでもいいよ。そこに行って、手がかりを探すから」

「アジト?私達がいた場所以外知らないな」

「嘘はだめだよ。もう一箇所知ってるよね?」

「知らな・・ぐぁ!」

キラナは片方の足に刺さったナイフに足を乗っけた。

まさか・・。

「やる前に聞くけど・・最終警告!吐いたらやらないけど、どうする?」

「・・知らな」

私は、し、の文字が聞こえた瞬間に目をつむり、耳まで防いだ。

耳を防いでも、男の絶叫が聞こえる。

20秒・・40秒・・。

止まらない絶叫。

本当に終わるのだろうか?


その声は1分以上続いた。

「はぁはぁ、分かった。アジトの場所は一般街13番路地の3番目の家だ。鍵はかかってるが窓はある」

男が弱々しい声でそう言った。

もう、終わりだよね。

「力尽きちゃって。質問はこれで終わりだよ」

「はぁはぁ」

男の息遣いが荒い。

あんな拷問を受けたらそうなるのも必然。


「はぁ〜」

気がついたら、私の息遣いも荒くなりかけていた。

「大丈夫だ。もう、これで終わりだ。情報は少ないが、アジトの場所だけも十分だ。それにあれほどまでに吐かないということは、何かあることは確定だ」

「そう・・だね」

私には返事を返す元気すら失っているのが分かる。

後で、外の空気を吸おう。多分、落ち着けるはず。


「ほら、治してあげる!『ヒール』」

男の足の傷が塞がりだした。

「ほら、これで体は元通り」

キラナの明るい声がする。

「はぁはぁ、早く縄をほどけ!」

「まだだよ。後は記憶処理をしなくちゃいけないからね。その担当が来るから、大人しく待っててね」

担当?

マリアナかヴァイスだと思うけど。

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