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第9話 彼女の爆乳は、布一枚の先

「今日の授業はここで終わりな。課題は来週でもいいから、やってくるように」


 社会の担当の先生は、無駄のない動きで壇上机に広がった教材を集め、挨拶が終わるとすぐに立ち去って行く。


 翌日の金曜日。

 今日が終われば、明日から自由な身になれるのだ。


 岸本和樹(きしもと/かずき)は授業終わりの挨拶を終えた後で席に座り、疲れた感じに息をはいていた。


「では、今からレクリエーションを始めます。体操服に着替えてから、体育館に集合してくださいね」


 二限目の授業が終わった直後に、クラス委員長である西園寺智絵理(さいおんじ/ちえり)がその場に立ち、教室にいる皆に聞こえるような声で言う。


 面倒な授業が終わった事も相まって、レクリエーションに対し、皆のテンションは高まりつつあったのだ。


「早く行こうぜ」


 女子らはいつもの教室で着替えるという形になり、陽キャの男子らは率先して別の空き教室で体操着に着替えて体育館へと向かって行く。

 和樹も彼らと同様に、別の空き教室で動きやすい服装に着がえる。


 今日は予定通りといった感じに、和樹は体育館に向かうと、授業で疲れた肩の力を取り除くかのように背伸びをした。




「ねえ、岸本さん、一緒にペアになろ。この前約束したでしょ」


 和樹が一人で体育館の壁に寄りかかっていると、後から体育館にやって来た稲葉玲奈(いなば/れな)に小声で言われ、承諾するように和樹は頷いた。

 元からそういう約束だったのだ。


 目の間にいる玲奈は笑顔で話しかけてきている。

 その上、一番先に視界に入るのは、何といっても彼女の胸元だ。


 体操服に着替えている影響もあり、その胸の膨らみは途轍もなく大きい。

 制服を着ている時は、着やせするタイプで意外と普通サイズに見えるものの、ほぼ布一枚の状態だと、少し動いただけでも、その二つの膨らみが揺れ動く。


 目のやり場に困りながらも、和樹は冷や汗をかき、彼女と親し気に会話を続けていたのだ。


「じゃあ、俺、ラケット取ってくるね」

「私も一緒に行くよ」

「でも」

「いいから」


 玲奈は学校外にいる時みたいにベッタリと近づいて来ないものの比較的近距離で話しかけてくる。

 腕に彼女の体が接触していないのに、その胸圧を強く感じてしまうほどだ。


 体育館に隣接する形で体育館倉庫がある。

 その倉庫に入り、和樹は二人分のラケットを選んで手にした。




 授業始まりのチャイムが鳴り響いた時から、クラスメイトらが体育館内でバトミントンを始める。

 レクリエーションと言えども、今の時間は単なる自由時間であり、バトミントンの遊び方は自由なのだ。


 一部の人らは、トーナメント形式でバトミントンをやっている人もいれば、普通に打ち合いをしている人もいる。中には、怠そうに体育館の壁に寄りかかって雑談している人らもいた。


「ね、岸本さん、そっちに行ったよ」


 数メートルほど離れた距離から、玲奈がバトミントンの羽根であるシャトルコックを打ってくる。


 和樹は目で羽根を追いかけて、丁度いいタイミングで斜め上に押し上げるように打ち返す。


 和樹はスポーツが不得意ではあるが、バトミントンなら何とか出来るのだ。

 小学生の頃は、バトミントンのクラブに半年ほど入っていた経験があり、ある程度は上手い方である。


「岸本さんって意外と出来るんだね。スポーツが苦手だって言ってたのに」

「これくらいなら出来るよ。本格的には出来ないんだけどね」

「でも、これくらいできれば十分凄いよ」


 玲奈はバトミントンが好きなようで、ラリー中はずっと笑顔のままだった。

 打ち合いをしている間、玲奈のおっぱいが体操着越しに揺れ動いていたのだ。


 普通にバイトミントンをしているだけなのに、性的な気分にもなる、不思議な体験をしているようだった。




「岸本さん、少し休憩する?」

「そうだね」


 区切りのいいところで切り上げ、二人は一緒に体育館の壁に背をつけて、まったりとする。

 二人の視界の先では、陽キャらがトーナメント式のバトミントンゲームをしており、勝ち負けを本格的に競い合っているのだ。


 普段から運動をしている人らなので白熱したゲーム性になっており、見ている方も見入ってしまうほどだった。


「あれ? お二人は、そこまで仲が良かったかしら?」


 二人の元へやって来たのは、クラス委員長の智絵理。

 黒髪ショートヘアの髪型が特徴的で、冷静な語り口調をした彼女がまじまじと二人へと視線を向けていたのだ。


「えっとね、仲がいいというより、たまたま一緒にバトミントンをすることになって」


 玲奈は付き合っている発言はしなかった。


「そう。でも、仲がよさそうに見えるし、付き合ってるのかなって」

「えー、そうかな。別にそうでもないよ」


 玲奈は智絵理に反応を示しながら、隣にいる和樹の事を横目でチラッと見つけてくる。

 和樹も、玲奈に話を合わせるために、付き合っていないという発言をし、その場を何とか乗り越えようと必死だった。


「二人は付き合っておられないのですね」

「そ、そうね」

「そ、そうだよ」


 二人でほぼ同時に返答した。


「私、今暇をしていたところなので、問題なければ私と一緒にバトミントンをしませんか?」


 智絵理が優しい口調で誘ってくるのだ。


「私は別にいいよ。一緒にやります?」


 最初に玲奈が挙手して意思表明をしていた。


「はい。でしたら、お願いしますね」

「私、ちょっと行ってくるから。岸本さんは、またあとでね」

「うん」


 和樹は体育館の壁に背を付けたまま、二人を見送る。

 彼女らは別の空きスペースでバトミントンの打ち合いを始めていたのだ。


 和樹は一人で、皆の様子を見ながら体育館内を見渡す。

 そこから色々な場所を眺めていると、亜優の姿が瞳に映った。


 誰にも余計な事は言ってないよな……。


 亜優は、別の子と打ち合いをしていた。

 よくよく見てみると、普段から梨花と一緒にいる三葉。

 シュシュで長い髪を結んでいるのが特徴的な子である。


 三葉と亜優。

 どちらも面倒な人であり、それがクラスに二人もいるのだ。

 三葉に関しては、基本無口寄りな子であまり実害がない。


 梨花と一緒にいる時だけ害悪でかつ、辛辣なセリフを入り交ぜた言葉で罵ってくる事があるのだ。

 あまり見ないようにしようと思い、和樹は再び、白熱したバトミントンバトルをしている陽キャらの方を眺める事にしたのであった。


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