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お題シリーズ3

なぜか好きだった人:不明

作者: リィズ・ブランディシュカ



 墓の前で、考える。


 私は、ここで眠っているあいつの事がなぜか好きだった。


 幼い頃からの付き合いで、学校は全部一緒、勤めていた会社も同じだった。


 家族みたいなものだと思っていたのに、気がついたら好きになっていた。


 どうして好きになったのか、よく分からない。


 けど。


 確かに好きだった。


 がさつで、デリカシーがなくて、人の気持ちなんてまったく考えてなさそうな奴なのに。


 どうしてだか、目で追っちゃうし、見つめると心臓がどきどきしてしまう。


 もう少し、あいつのことを見ていたら、この気持ちの正体が分かったかもしれない。


 でも、そんな機会は永遠に訪れない。


 あいつは、事故で死んじゃったから。


 寝坊して、会社に遅刻しそうって電話で話した直後。


「気をつけなよ」「心配しすぎ」


 なんてやりとり、したばっかだったのに。


 フラグ回収はやすぎ


 あいつはーー


 事あるごとに、つっかっかってきて、好き放題いってくれて、あごでつかってくれて。そういう勝手なやつ。


 だから、あいつに女性扱いされた事なんて一度もない。


 男友達とか家族とかそんな枠にいるばかりだと思っていたのに。


 犬猿の仲だって、周りからは思われてるくらいなのに。


 いつだったか、会社の慰安会で違うことに気づいた。


 あいつが飲みすぎで酔っぱらった時に、一度だけ本音を聞いてしまった。


「おまえが、好きだ」だなんて、勝手すぎるでしょ。


 そういうのは素面の時に言うものなんだから。


 酔っぱらって、前後不覚に陥って、介抱している人間が誰だかわからない時に言うものじゃないのに。その言葉は、幻なんかに言うもんじゃない。


 真面目に言ってくれれば、真面目に考えた。


 真面目に答えを出せたかもしれないのに。


 でももう、こうなってしまった以上は、何も分からないよ。


 私は、どうしてあいつの事が好きだったんだろう。



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