表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノンリアルファンタジーオンライン~ダメ人間×ネトゲ廃人の世界は電子の海の中にある~廃人ギルドの日常風景  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/57

「メアリー、通信容量が尽きる」

 ログインしてギルドハウスで処理をしていたところ新規ログインがあったのでメンバーがそちらを向いた。キラキラしたパーティクルが発生してログインしてくるはず……なのだが、なかなかログインエフェクトが消えずキャラもログインしてこない。


 いつも通りのメンバーがいつものアバターにしているのでここに居ないとなると、メアリーあたりがログインしようとしているのだろう。しかしアイツ、古のISDNでも使っているのだろうか? とっくにサービス終了した回線のはずだし、そもそも電話線がファイバーになって久しい現在においてこの速度の遅さは異常だ。そこでマクスウェルが一旦ログアウトすると言った。


「ちょっとメアリーちゃんがトラブってないかチャットで聞いてくるわ、簡単なトラブルシューティングなら出来るしね」


「ああ、じゃあマクスウェル、済まんがちょっと手助けしてやってきてくれ」


「はーい」


 そこへ妹からのチャットが入った。


「お兄ちゃん、まだキラキラ状態で止まってますよ。ログイン途中で回線障害でもあったんですかね?」


「それもあり得るな、あとはログイン途中でマシンがフリーズしたとかだな」


 ノンリアルファンタジーオンラインは基本的に重いゲームだ。親機の方に負担がかかるので多数のアプリケーションを開いた状態で起動しようとすると『リソースが足りません』と起動がリジェクトされることがある。その場合はログイン処理までいかないのでこうしてログイン中で止まるようなことはないはずなのだが……


「メアリーさんあんまり詳しくないみたいですし、何かトラブルが起きたのかもしれませんね」


「あり得るな。なんにせよマクスウェル待ちだな。さすがに文字チャットが出来ないほど固まっているわけでもないだろうし、そっちで症状聞いて解決ってところだろ」


「そうだと良いんですがねぇ……私の勘がなんだか面倒なことに巻き込まれていると告げているんですよねぇ」


「そう言うフラグを立てるのはやめてくれないかな? お前、自分の勘がそこそこ当たることは自覚していないのか?」


「言うてログイン途中まではいってるんですし、そこまで深刻になることはないんじゃないですか?」


「そうだと良いんだがなぁ……」


 そこへログアウトしていたマクスウェルが再びログインしてきた。俺たちにメアリーの状況を告げる。


「通信容量の上限にいったそうよ」


「は?」


「ふぇ?」


「メアリーちゃん曰く『テラがつきました~!!』と送られてきたわ」


 予想外の返答に俺もなんと言っていいのか分からない。


「アイツ、モバイル回線でこのゲームをやってたの?」


「家庭の事情で固定回線を切り替えるのにモバイルでもいけると思ってやったそうよ。昨日アプデがあったしね、上限にまで張り付いてテキストくらいしか通信出来ないそうね」


「回線切り替えかぁ……確かに固定回線が使えなくなると辛いな……」


 そこへ妹が割って入ってきた。


「マクスちゃん! 私、通信容量の詫びテラをまだ持ってますから分けてあげられませんかね?」


「クーポン? そういえばそこそこまえに配布されたわね。私の方に番号を送ってくれる? メアリーちゃんに使えるかどうか聞いてみるわ」


 妹はモバイル端末の画面を出しスクリーンショットを撮影してマクスウェルに送信していた。見えないようにプライベート通信を使っていたが、おそらくクーポンの画面だろう。


「じゃあちょっと見てくるわ」


 そう言ってマクスウェルは再びログアウトをした、それから十分くらいしてメアリーはマクスウェルと共にログインをしてきた。


「フォーレちゃん! ありがとね! うぅ……こんなにテラを消費するなんて思ってなかったよ……」


「このゲーム、結構重いですからね、ただ世の中にはもっと重いゲームが普通にころがっているあたりがホラーなんですけど……」


 多少のトラブルはあったものの、妹のため込んでいたクーポンでなんとか、メアリーの回線切り替え工事が完了するまでの通信容量は持たせることが出来そうだ。


 俺はその日、ログアウトしてからギルドへの貢献のお礼に少し高めのアイスをコンビニで買って『因幡へ』と付箋付で冷凍庫へ入れておいた。翌日、『ありがと』と書かれた付箋が部屋のドアに貼ってあったので円満にトラブルは解決したようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ