表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノンリアルファンタジーオンライン~ダメ人間×ネトゲ廃人の世界は電子の海の中にある~廃人ギルドの日常風景  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/57

「こっちは遊びでやってんじゃねえんだよ!」

「ギルマス、今日のログインは?」


「無理だな、残っているリアルのタスクが多すぎる」


「フォーレちゃんは?」


「私も忙しくて……」


 俺たちは自室でボイスチャットをしている。宿題が多めに出たので今日のログインは無しだ。しかしノンリアルファンタジーオンラインに登録したものとしてはスマホに入っている公式ボイチャアプリからは逃れられない。


「最近忙しい人が多いわね……ボイチャにすら顔を出さないメンバーもいるし……」


 マクスウェルは不満そうだ。ギルドの会議には特別な事情がなければ参加としているので不参加の連中が気に食わないのだろう。しかし辛辣なことを言っている割にアプリのボイチェンでロリ声にしているのでなんとも違和感がある。


「ファラデー! あなた貢献度が少し低いわよ、必要以上にギルドクエストをやれとはいわないけれど最低限ってものがあるのじゃない?」


 マクスウェルはファラデーに手厳しい意見を言う。だがそれは俺が厳しい加入条件を求めていないことが原因であり根本を突き詰めれば俺が問題の張本人ということになってしまう。


「まあまあ……」


「分かってるよ……俺だってこのギルドには貢献したいしな。ただ俺がここでボイチャのみでしかログインしていないギルマスとフォーレに責められるいわれは無いだろう?」


「たしかにウチは毎日ログイン必須にしてないからな」


「ギルマスは甘いのよ、何人幽霊ギルメンがいると思ってるの?」


「その辺を詰めるとギスギスオンラインになるからな、緩めでやっていきたいんだよ」


 酷いところになるとIDとパスワードを共有してキャラを育成しているギルドなどもあるようだ。規約違反ではあるが本人の自由意志で教えたパスワードで所有者が他社のログインを認めているので法的にも怪しいものの逮捕はされないラインをせめているところもあると聞く、ホライズンはそういったギルドになって欲しくないという願いを込めて決まり事は最小限にしている。


「あのー……マクスちゃんも今日はクエストをこなしてないみたいだけど? スマホで見る限り今日は誰もデイリーをこなしてないことになってるよ?」


 妹が質問をしたのだがそれが痛いところを突かれたのかマクスウェルも黙ってしまった。俺のスマホアプリのステータス表示ではガチャ広場にいることになっている。そういえば新規武器実装ピックアップガチャが実装されたんだった。


「う……メアリーなんてボイチャにもログインしてないじゃない! それは良いの?」


「ウチはボイチャ必須じゃ無いしな。やりたい人のみで集まってやる感じじゃん? あとボイチャはゲームと違ってハードルが高いしなあ……」


 ゲームであればアバターもソフトウェアボイスチェンジャーも実装されている。マイクもヘッドセットにしっかりと付いている。ボイチャをしようと思えばボイスチェンジャーやマイクにヘッドホンなどの装備が必要になってくる。全員に求めるにはあまりにも高いハードルだ。


「みんなやる気なさ過ぎじゃない? マイナーとはいえアップデートが控えてるのよ? もっと盛り上がっていかないとダメじゃない!」


 マクスウェルが俺なんかよりよほどギルマスっぽいことを言っている。俺はほとんど上の空で学校の宿題をこなしながら会議の様子を聞いて時々発言するだけだ。


「じゃあいっそ今日は皆でログアウトする日にしないか? アプデが来たら徹夜だろ? それに備えて英気を養う日にするってのはどうだ?」


「ファラデーナイス、その意見採用」


 俺が意見を採用したことによって来るべきアプデに備えて各自準備をする日となった。あるものはガチャを回し、あるものはやるべき課題を先に済ませ、あるものはカフェインの錠剤とインスタントコーヒーを買ってきて、それぞれアプデが来てもぶっ続けでクエストをこなせるように英気を養う日となることに決定したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ