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第67話  シングルベッド


倒れていたミシェルをトセが部屋まで運んだ事とたまらんポイントの謎は解けた。しかし、まだ一つ解けてない謎があった。ミシェルはその疑問を問いかける。

「あと、もう一つ聞きたいことがあるんだ。」

「む〜、なんですか?」

口を尖らせてトセはミシェルを見つめる。

「なぜ、私はトセと同じベッドで寝てるんだ?」

ミシェルは自分とトセが座っている、シングルベッドを指差し聞く。

その質問と同時にトセの顔は真っ赤になり、尖っていた口をしどろもどろに動かして答える。

「えぇ、ぇえぇぇえっと・・・それは、その、一人で寝るのは寂しいと言いますか、そもそも獣人は群れで暮らす生活をしてますので、それにこのゴーストホテル的な雰囲気が拍車をかけまして、より一層の恐怖感、不安感を煽り、延いては、寂しい。まさに寂しいと言う言葉が適切な状況に陥ってしまい・・・」

トセの体裁を取ろうと必死な喋り口調。その必死さが思わずミシェルの口角を緩めてしまう。

「クス、なんだ、トセは一人だと寝れないのか?」

「認めたくはありませんが・・・はい。」

耳と尻尾が下がり、シュンとしおらしくなるトセ。そんなトセが愛らしくなりミシェルは手を伸ばし、トセの頭を撫でる。白くサラサラとした長い髪が手のひらを流れる感覚が心地よい。

「私を運んでくれて、ありがとうな、トセ。」

「くーん。」

たまらんポイントである。

「あ、済まない、つい・・・」

ミシェルは先程の話を思い出し、手を引っ込める。トセは少し残念そうに言う。

「・・・あの、そんなに嫌では、ないです。」

「あれ、でも先程は酷いって言ってたじゃないか。」

「あんなに倒れるまで撫でるのは酷いですよ、でも用法用量を守って正しく触ってくれる分には・・・その、あたしも嬉しいです。」

顔を染めて照れながら言うトセ。そんな可愛らしいトセのたまらんポイント(頭)をまた、ミシェルは微笑みながら撫でた。

「何で笑っているんですか?」

「いや、下らない事を思い出しただけだ。」

ミシェルは獣人の集落でシュージンとテントで泊まった時の話を思い出していた。

シュージンが言っていた「種族が違う」、「折り合いをつける」、「ナイーブな問題」。

人と獣人は寄り添って寝ることができた。

ミシェルは、その事実に石ころよりもありふれて、ダイヤモンドより価値のあるものを見つけた気がした。

(気づかずのうちに私達とトセ達は折り合いというものをつけたようだな。)

自分から折り合いだなんだと言っていたのに、二部屋しか取らなかったヤツの事をミシェルは思い浮かべる。

(それとも馬鹿だから、自分で言ったことも忘れたのかな?)

そう思うと、余計に口角が緩む。

シングルベッドでトセを撫でた頃に、くだらないことだと笑えた。


続く


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