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第56話 強くなりたい、強くありたい


ーーー

「ハァハァハァ・・・」

森の中をライダーラータイトで走り行くウイキ。

(失敗した!失敗した!・・・)

頭の中でさきの戦いを思い返す。

(相手が獣人だと舐めてかかり、この体たらく・・・!)

「きゃっ!」

戦いの疲れと精神的な苦痛で、体に力が入らずバランスを崩し、ライダーラータイトから落下する。

「うぅっ・・・」

全身泥に塗れ、果てしない惨めさがウイキを襲う。

(さっきの獣人がなんらかの関係者であることは間違いない・・・敵にイルドが迫っているということがバレてしまう・・・これでは今後の奇襲の成功率が下がる・・・多少無理してでも、あの獣人を倒せば良かった・・・申し訳ありません、メガラネカ隊長・・・)

ウイキは先程の敵の姿を思い出す、痛みや疲労の限界を越えて立ち上がる姿、鋭い眼光、牙、その恐ろしさを。

「ひっ!」

ウイキは恐怖で体を硬直させた。その様子を心配そうにライダーラータイトが寄り添い慰める。

「ごめんね、貴方も怖かったよね、ごめんね、不甲斐ない主人で・・・」

ウイキはライダーラータイトの頭を優しく撫でて、戦いを労う。

そして、静かに涙を流した。

(私は、惨め過ぎる程に、情けなさ過ぎる程に、弱くて、臆病で・・・)

ライダーラータイトは悲しみに暮れる主人に擦り寄り慰めた。

「・・・強くなりたい、強くありたい。」

「グゥー。」

主人の言葉に応えるかのように優しく鳴くライダーラータイト。

「ありがと、貴方は優しいのね。優し過ぎる程に・・・一緒に強くなりましょ・・・」

主人の言葉が嬉しかったのか擦り寄り甘えるライダーラータイト、その姿にウイキは微笑んだ。

「ふふ。そうね・・・」

(少なくとも、あの獣人が何か知っていることは分かった・・・あんな目立つ見た目なら今後見つけるのは容易い。そして、召喚獣の扱いに慣れていない、今後追ってくる部隊と協力すれば倒すことも難しくない・・・それに、あの単純そうな獣人のことだ、直ぐに仲間に情報を渡すためと合流しようとして違いない。芋づる式で見つけることができる。)

「落ち着いたら、獣人の情報を暗号文にして街道近くに置きましょう。メガラネカ隊長なら見つける筈よ。」

ウイキはライダーラータイトを撫でながら優しく言った。

「暗号文を置いたら・・・」

ライダーラータイトは首を傾げて聞こうとする。

「川を見つけて、身体を洗いましょう。泥だらけ。それに貴方、さっきの煙幕のせいで臭うわ。・・・私もだけど・・・」

その言葉を聞き、ライダーラータイトは主人の服に顔を近づけてフンフンと鼻を鳴らして臭いをよく嗅いだ。

「クェホックッグェ!!?」

「召喚獣も咽せるのね・・・長い付き合いだけど始めて知ったわ・・・」

ウイキはここに来て相棒である召喚獣の新たな一面を発見した。

「身体を洗ったら着替えて、休みましょう。召喚のエネルギーがほぼなくなってしまったわ、貴方も石になって休みなさい。」


続く

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