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第54話 びりびり


「あっぶね!!」

猛スピードで襲いかかるサーベルをアバルは鉈で受け流す。

アバルの横を走り抜け、間合いを取るウイキ。ウイキはその腕前に内心舌打ちをした。

(やはり、獣人の反射神経は凄まじいな。今の攻撃は右腕を狙ったが、腕を上手く畳み、鉈で防御した。)

ウイキの戦闘スタイルは一撃離脱。召喚獣・ライダーラータイトの機動力で相手を翻弄しつつサーベルで斬る。単純だが一対一では効果的なスタイルである。

(相手を尋問するという目的がある以上、もう一体の召喚獣は使えないな。致命傷を与えてしまう。時間がかかるがこのまま斬り続ける。)

ウイキは戦闘の目的を考慮しつつ、再びライダーラータイトを走りださせる。

先程の攻撃からアバルが立て直そうとするがその前にウイキが突っ込んでくる。

今度はアバルの左足にサーベルが襲いかかる。

「うおっ!!」

アバルは跳び転がり、ギリギリの回避をする。

「クソっ!!チマチマやってんじゃねぇ!!」

「チマチマやらせて貰うっ!!」

アバルが悪態をつくがウイキの再びの斬撃。これをまた鉈で防ぐ。

(チッ!あっちからこっちからと、ウザってぇ!!)

アバルは四方八方から襲いかかる攻撃を時に躱し、時に防御して凌いでいた。

(このままだとジリ貧だ!アレを使うしかねぇか!)

アバルはこの状況を打破する策を思いつく。

そして、ウイキの十七回目の攻撃。サーベルの動きに慣れたアバルが仕掛ける。

「ここだァァァァァア!!ドッセーイ!!」

斬りかかってきたサーベルを力任せに鉈で弾いた。

「何!?」

狼の獣人のパワーで騎乗していたウイキは姿勢を崩し一瞬の隙が生まれる。

その隙にアバルは懐から何かを取り出して、大声で叫ぶ。

「来い!ジェヴォーダン!!」

その声と石の輝きとともに、大型の黒い獣の姿をした召喚獣が現れた。


ーーー

時は少し遡り、今朝の出来事である。


「ああ、そうだアバル君。君にこれを渡しとかないと。」

何かを思い出したシュージン。ゴソゴソとポケットを漁る。そして、松島カーペンターが馬車を作っているすぐ横でシュージンがアバルの目の前に石のようなものを突き出す。

アバルはその赤黒い石を見て驚いた。

「こ、これは!?はぐれ召喚獣の石じゃねぇか!?センセェ、どうしてこれを!?」

シュージンは答えた。

「ああ、アバル君には、ふんわりを感じ取れる才能があると言ったことは覚えているな。」

ふんわり、召喚獣が放つ独特な雰囲気のようなもの。

アバルは山の中に潜むはぐれ召喚獣のふんわりを察知していた。

「あれほどの広い山の中でふんわりを察知出来るのは、強い召喚士の素質がある。だから、コイツはアバル君が持ってくれ。」

アバルはシュージンから手渡された召喚石を握ると、ビリビリと痺れるような感覚に襲われた。

「うおっ!なんかビリビリした!?」

「それはびりびりだ、召喚石が召喚士に触れると放つ独特なやつだ。」

「び、びりびり?」

ふんわりやらびりびりやらよく分からないものばっかり増えていった朝であった。

「正直、あの元はぐれ召喚獣を使う、というのも気が引けると思うが・・・」

「いや、センセ。コイツは是非オレに使わせてくれ。きっとコイツはオレをもっと強くしてくれる。さっきのびりびりが教えてくれた。」

アバルのその言葉を聞き、シュージンは応えた。

「それは良かった。」

短い言葉、だがその言葉がアバルにとっては嬉しかった。世話になった恩人がくれたものをしっかりとアバルは握りしめた。

「その召喚獣は再生能力が優れている。きっと昼前には召喚できるようになっているだろう。」

「分かったよセンセ、つまり多少無理してもすぐ使えるようになるんだな!」

「まあ、そういう考えもできなくはないが。」

「よっしゃぁぁぁ!やったるぜぇ!!!」

「まあ、やる気があるのはいい事だ。その召喚獣の名前は分かるな?」

「ああ、センセ!それもさっきのびりびりが教えてくれたぜ!!」


ーーー


続く

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