第41話 お前が謝ることじゃない
「アバル君、大事な話がある。」
「なんだよ?センセ。連れションか?」
少しふざけたかの風に言うアバル。しかし、シュージンの目は本気の眼差しであった。
その眼差しでアバルはある答えを導き出す。
「もしや、妹をオレにくれって言うんじゃないだろうな!?」
いくら先生でもトセはまだ子供だぞ、こういうのはもう少し時間を置いて云々、と言うアバル。その答えは少しズレていた。
それに対して、シュージンは落ち着けとアバルを宥めつつ言う。
「いや、俺が欲しいのは、アバル。お前だ。」
「は?」
意味が分からずアバルが疑問に思っているとシュージンが続ける。
「俺は帝国を滅ぼすため、仲間を集めている。アバル君。俺と一緒に戦ってくれないか?」
アバルの前に手を差し出す。
アバルはその差し出された手をただ見つめることしかできなかった。
シュージンのその手は、剣を握り続けたせいか、皮が厚く大きく見えた。
「別に嫌なら嫌と言ってくれて構わない。」
「センセ、オレは・・・」
アバルは悩んだ。
確かに帝国は今すぐにでも滅ぼしに行きたい。だが、そうすれば自分がいなくなった集落はどうすればいい。
レイと故郷の仇を取るか、それとも残された奴を守るため留まるか。
それに、シュージンにも恩がある。食料のこともそうだが、自分一人で倒そうとしていたはぐれ召喚獣の討伐を手伝ってもらった。
正直な話、シュージンがいなかったら、ふんわりから弱点を感じ取ることが出来ずに負けて、アバルと集落はやられていたかもしれない。
難しい顔で考えるアバル。
「済まねぇ、センセ。時間をくれねぇか。明日の朝には答えられると思う。」
考えても結局、言えたことは先延ばしであった。シュージンは責めることなく言う。
「ああ、これからを決める大事な決断だ。よろしく頼む。」
「済まねぇ。」
「お前が謝ることじゃない。」
話を終えると二人は無言のまま、集落へと戻っていった。




