第4話 潰そう
ミシェルは焼かれた故郷にいた。復讐に旅立つために、最後の別れを亡くなった人々に告げるために。
「生き残りは・・・居ないか?」
シュージンはミシェルに問う。
「ああ、全部焼かれて、全員殺された。私だけだ・・・」
「せめて遺体を埋めてやろう。」
「まともだな・・・」
「死んだ人は笑わないからな・・・」
「意外だな、人を笑わせたいからふざけているのか?私は笑わせてくれないのか?」
「笑えるのか?」
「さあな?」
「イィヤ!サァサァ!めんそーれ!名古屋ずんだ餅祭りぃ!」
いきなりシュージンはふんどし姿になり、口には薔薇を咥え、両手にカスタネットで小気味好いリズムを刻む・・・
「・・・」
ミシェル沈黙・・・!
「ふっ、どうやら笑えないようだな。」
「いや、普通につまらなかった。」
「酷すぎぃ〜、もう〜、信じられな〜い。真夜中12時のシンジラレナイガールズ!」
「さて、まずは穴を掘るか。」
「そうだな。」
「ふんどし姿はやめろ、服を着ろ。」
シュージンはいそいそと服を着始める。
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シュージンはいそいそと服を着ている。
「さっさと着ろ!!」
ーーー
召喚獣・松代大学付属高等学校ファランクス部の力も借り町人全員の埋葬を終えたシュージン達。
ミシェルは地中に眠る人々に、天に召された魂に祈りを捧ぐ。
「安寧を祈る、そんな資格ないことは分かっている。だが、何も守れなかった私には今はこれしか出来ない。」
震えながらミシェルは呟く。
「許して・・・許してください・・・。」
その懺悔の言葉と共に、焼かれた土にミシェルの涙が落ち大きなシミを作る。
「・・・」
シュージンは何も言わずその場を離れる。
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小高い丘の上で焼かれたプレジの町並を見下ろしながらシュージンはミシェルを待つ。焦げた匂いが風が運び。ゆっくりと時間が流れる。
「・・・」
シュージンは何か遠くのことを思うかのように、じっと町だった炭の大地を見ていると、ガシャガシャと鎧を纏った足が大地を踏む音が近づいてくる。
「別れは済んだか。」
「ああ、多分、許してはくれなかっただろうがな。」
「言っただろう。死んだ人は笑わないと・・・」
「・・・」
「怒りもしなければ、生きている人に文句を言うこともない。」
「・・・正論だ。・・・だが、・・・それでも。」
「ダブル召喚、召喚獣・サンフラワー松田。召喚獣・ビッグファン中松。」
花屋を経営する能力を持つ召喚獣・サンフラワー松田(29歳:女性)と大きすぎる団扇をいつも持ち歩いているため会社をクビにされた過去を持つ悲しき召喚獣・ビッグファン中松(31歳:男性)を呼び出すシュージン。
「こ、これは・・・?」
サンフラワー松田の花々がビッグファン中松の特大団扇が起こす風に乗り焦げた町に色とりどりの花びらが舞う。
「綺麗な花だろ。天まで届くといいな。」
その幻想的な景色にミシェルは驚き、シュージンに問いかける。
「死んだ人は何も思わないのではなかったのか?」
「ああ、祈るのも、悲しむのも生きている人の特権だ。」
「やっぱり、シュージン、お前は理不尽だ・・・だが・・・悪くない。」
「ふっ、なんだやっぱり笑えるじゃないか。」
「え?ええっ!?」
ミシェルは自分の顔をペタペタ触り確かめる。確かに、口角が上がり、目尻が下がっている。心が少し軽く感じるし、頬も少し温かく感じる。
「そっちの方がモテるぞ。」
「う、うるさーい!!」
ミシェルはシュージンの左足にローキックを思い切り蹴り放つ。
「痛えぇぇ!良いキック持っているぅ!!俺はこいつとキックボクシングで世界を獲りますぅ!!」
「違う!帝国を!!潰すんだろ!!!」
さらにミシェルはリズム良く同じ場所に三発ローキックをかます。
「アハハハハ!そうだなミシェル!潰そう!!」
「ああ!うふふふ!そうだ!!ふふっ!潰そうシュージン!!!はははは!」
「アハハハハハハ!!」
「うふふふ!ふふっ!」
花が舞い飛ぶなか、シュージンとミシェルは笑った。怒りでも、憎しみでもない。純粋な笑い、心からの笑いであった。
「はぁ〜〜、ふふっ、久しぶりだなぁ、こんなに笑えたの。」
ミシェルはどこか満足気だ。それを見たシュージンは微笑みながら言う。
「じゃ、行くか。」
「ああ、まずはどこへ?長い旅になることは分かるが?」
「そうだな〜。強いて言えば・・・。」
シュージンは顎に手を当て考える。
「まずは、この町を見捨てた奴らへ文句を言いに行くか。」
続く




