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第37話 こんな店畳んじまえ

「ボクは蝉の幻獣ですミン。」

自らを蝉の幻獣と名乗るデカい蝉。その顔は何処と無く誇らしげであった。

「幻獣って何だよ。」

先程は蝉相手に敬語を使っていたミシェルだが、“幻獣”という謎ワードのせいで素の喋り方になってしまった。

「ミミミミン、気になりますミン?」

「気になるわそりゃ。そして、そのミミミミンってのも何だよ。笑い声か?」

ミシェルが完全に素の状態になった。

正確にはシュージンと話している時と同じ“呆れの境地”の状態になった。

「すげーミシェル。蝉と対等に喋っている。」

「流石です。」

「やるじゃん。」

(揃いも揃って完全に他人事だコイツら)

ミシェルに蝉の相手を丸投げした三人は水を飲みながらミシェルに野次を飛ばす。

ミシェルはそんな三人に内心舌打ちしながら蝉との話を続ける。

「で、結局、幻獣ってのは何だよ?」

ミシェルの問いにセミウルゴスは大きく息を吐き、一呼吸、間を空けてから口を開く。

否!くちばし(口吻)、蝉の樹液を吸うときのくちばしを動かす。

「それを話すと長くなるミン。何か飲み物を出そう、樹液でいいミン?」

「樹液は要らねーよ。」

「「水おかわり」」

蝉の提案をお断りするミシェル。さらに、自由な馬鹿二人は飲み干されたグラスをテーブルに置く。

「あたしは樹液でもいいけど・・・」

「トセ、流石にない。セミウルゴスさん。済まない、水おかわり三人分お願いします。」


ーーー

「お待たせしましたミーン。」

セミウルゴスの声と共に、水が入ったグラスが3つと、何やら甘い香りがする大皿料理が運ばれて来た。

「これは?」

ミシェルが大きな皿に盛られた麺の上にきつね色の光沢のあるソースがこれでもかと言うほどかけられた料理を指差して蝉に問う。

「そちらはサービスの樹液あんかけ焼きそばですミン。」

「樹液は要らないって言ったのに・・・」

「意外と美味しいですねコレ。甘くて。」

「食っとる!!?」

ミシェルが文句を言い終える前にトセが食べていた。

「何故食ったトセ!?」

「こっちはお腹空いているですよ!何ヶ月も難民をやっているんで!」

モグモグと樹液焼きそばを頬張りながら答えるトセ。

「そう言えばそうだった!流石にごめん!」

配慮が足らなかった、と反省するミシェル。

「あれ?でもアバルは食べてないぞ。」

アバルは水を飲むだけで全く焼きそばに手をつけてない。

「さっきの汗ばんだタンクトップのせいで食べる気しない・・・オエッ。」

「そう言えばそうだった!って言うか、メディ松探しに来たんだった私たち!!」

アバルのタンクトップ発言で目的を思い出したミシェル。

蝉のせいで完全に忘れていた、召喚獣のことを、蝉のせいで、蝉のせいで。

虫嫌いで臆病でカッコつかないシュージンにミシェルは言う。

「シュージン、召喚獣のこと完全に忘れていた!」

「そうだった!何処だー!セルフメディケーション松下清太郎ーーー!!」

「もしかしてこの方のことかミン?」

山小屋の奥の扉を開けるセミウルゴス。そこにはタンクトップの召喚獣がタライに入った皿を洗っていた。

「「そいつだーーー!!」」

「うちのバイトだミン。」

「よし、戻れセルフメディケーション松下清太郎。」

ボウンと音を立て消える召喚獣。

「バイトが消えた!?シフトに穴が空いちゃったミン!?」

「俺の召喚獣だ。」

「こんな店畳んじまえ。」

「辛辣だミン!」



続く












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