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第36話 海の家のオーナー

ガサガサと草を踏みながら歩く一行。

「流石だぁ、すごいなぁ!」

「褒めても何もでねーよセンセ。」

先程からアバルをベタ褒めするシュージン、アバルも満更でもない顔である。

そんな二人の後ろを歩くミシェルだったが、横でトセが頬を大きく膨らませながら羨ましそうに兄を見ているのに気づいた。

「なによ、こうなるんだったらあたしが、嗅げば良かった。」

小さな声で文句を言うトセ。笑いながら歩く馬鹿男二人には聞こえず、ミシェルにしか聞こえなかったその可愛らしい恨み節にミシェルは心の中で答える。

(トセ、別にお前が嗅ぐ必要ないぞ。年頃の女が嗅ぐものじゃないぞ。)

しばらく歩いていると、建物のようなものが見えて来た。

「ん?あれは山小屋か?」

「ああ、前もここら辺に来た時に見たことあるがずっと昔のものみたいだった。」

シュージンの質問にアバルが答える。

「あの中にいるのかもしれないな。」

「良かったなセンセ。召喚獣が見つかって。」

「アバル君のおかげだ、はははは。」

笑いながらシュージンが山小屋のドアノブに手をかけ、扉を開ける。

すると。

「いらっしゃいませミーン!」

馬鹿デカい蝉がいた。

「うーん。」

泡を吹き倒れるシュージン。

「センセ!」

「先生!大丈夫ですか?」

「いや!それよりこのデカい蝉ぃ!!」

ミシェルがツッコむがシュージンの虫嫌いが重症すぎてパニック状態だ。

「うーん。デカい蝉がいるぅ。これは悪夢か、呪いか、それとも罰か・・・。」

「現実です!先生!」

「ところがどっこい現実だ!センセ!」

「虫、無理。しかもちょっとした人間の子供くらいの大きさあるし・・・」

「あの蝉、若干デフォルメ気味ですよ!」

「センセしっかりしてくれ!」

扉を開けたら突如現れた人語を解する蝉?っぽいものにミシェルは問う。

「何者だ!蝉!」

いつでも剣を抜けるよう柄を握り声を上げる。

「ボクの名前はセミウルゴス。ここの海の家のオーナーだミン。」

「山小屋だろ!海の家じゃねぇだろ!!」

「お客様は4名で良いですかミン?」

「この状況で接客するつもりだこの蝉ぃ!!」


ーーー

四人がけのテーブル席に着いた四人。シュージンは心ここに在らずといった感じである。

「お冷ですミン。」

「「「ど、どうも。」」」

テーブルにグラスを置くセミウルゴス。

四人は顔を寄せ合いコソコソと話し合う。

「なんなんだよあの蝉、召喚獣なのか?センセ?」

「いや、ふんわりが感じられないからそれはないだろう。蝉の獣人じゃないのか?」

「虫の獣人なんか聞いたことないですよ。」

「あー、トセ、虫って言わないでぇ、それNGワードね、もっと別の言い方して。」

「節足動物六脚類の獣人なんか聞いたことないですよ。」

「そうそうそれでいい。」

「それでいいのかよ、そしてトセが意外にもインテリ気味。」

「召喚獣でもない、獣人でもない、じゃあなんなんだよあの蝉!」

「昔、喋るトウモロコシを見たことあるがそれの仲間じゃないのか?」

ミシェルがかつて見たあのUMAを思い出す。

「ポタージュ君か!?」

「「喋るトウモロコシ!?」」

それだ!とシュージンが言うが、喋るトウモロコシについて全く知らない獣人兄妹は困惑する。シュージンは後で説明するからと言い、蝉についてはミシェルに丸投げする。

「ミシェル、蝉に質問して。」

「はあ!?」

「さっき話してたじゃん!俺、節足動物六脚類苦手だから、お願い!」

ウインクしながらねだるシュージン、正直、虫よりキモいと思ったミシェルであった。

はぁぁ、とでかいため息をつき、蝉に話しかける。

「あのぉ。」

「はい、ご注文はきまりですか?」

「いや、注文じゃなくて、セミウルゴスさんは、一体何者なんですか?」

ミシェルが蝉に敬語使っとる。と聞こえた気がした、ちなみにシュージンが言った。

「ボクは見ての通り、蝉の幻獣ですミン。」

また謎のワードが出た。幻獣って何だよ。


続く

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