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第28話 どんとこいだよ

今回だいぶ酷いので、見なくても大丈夫です。

酷いのが苦手な方はこの回を飛ばしても問題ありません。

ーーー

「はあ・・・。」

げっそりとした表情で溜息をつくミシェル。その原因は、バッツとフジツボ達に有った。

先程までの話し合いの中、幼少期の話からアバルの馬鹿っぷりに対する愚痴になり、さらにそれがヒートアップし続けて、つい先程やっと解放されたところなのだ。

ちなみに彼らはまだ愚痴り合いを続けている。今もアバルの馬鹿伝説が狭いフジツボコミュニティのあいだに語り継がれているのだ。

「だが、その他の話も聞けたな。」

ミシェルはただ彼らのアバルの愚痴を聞くだけではなく、それ以外の話を聞き出していた。

約二ヶ月前に彼らの村が帝国に襲われたこと。村の住人が殆ど殺されたこと。なんとか今まで逃げ延びて来たこと。

「彼らにはつらいことを話させてしまったな・・・」

遠目でフジツボコミュニティの方を見る。

“アバル”“馬鹿”“殴りたい”“鉄で殴りたい”“アバルが馬鹿でマジつらい”という言葉が部分部分聞こえてきた。

「つらいことを話させてしまったな・・・」

ミシェルは仕切り直すかのように呟いた。一応。

(もうちょっと望郷の念的な理由でつらそうにしてくれ!!)

心の中で突っ込む。一応。

そんなことを考えて余所見をして立っていると下半身にドシンと何かがぶつかってきたような衝撃があった。

「いた〜い!」

その声の方をミシェルが見ると、尻餅をついている幼い獣人の少女がいた。どうやら前をよく見ずに走っていてミシェルにぶつかってしまったようだ。

「すまない!怪我は無いか?」

ミシェルは身を屈めて少女に声をかける。

ボブカットに整えられたツヤのある黒髪。丸顔で大きな瞳、とても可愛らしい印象を受けるその少女は少し涙目になりながらも答える。

「うん、大丈夫。走ってたらぶつかっちゃった。」

「そうか、良かった。」

ホッとするミシェル。だが、少女の姿を見て、バッツやアバル達とは違う、違和感を覚える。

三角の耳、尻尾は細長く、瞳孔は縦長。それらの要素からミシェルはあの動物を思い出す。

「もしや、お前は猫の獣人か?」

「うん!」

猫の獣人の少女は元気に答える。

「やはり猫か。しかし、そんなに走ってしまっては危ないぞ、何で走っているんだ?」

「さっきトイレしたから、なんだかすごいうれしいの!」

「ああ。」

猫好きのミシェルは納得がいく。幼い頃は実家で猫を飼っており、猫がするこの様な行動に心当たりがあった。

(いわゆる“ウンチハイ”ってやつだ。)

猫がトイレ(大きい方)の後に、走り回ったり、爪研ぎをバリバリしたりと、やたらハイテンションになって騒ぐアレである。

(獣人って意外にも獣要素多いな。耳と尻尾以外は殆ど人間と変わらないのに・・・。)

ミシェルはその様なことを考えて黒猫の少女をジッと見つめる。

すると、その黒猫の少女もミシェルをキョトンとした表情で見つめかえし首を傾げる。

(可愛いなコイツ・・・)

昔飼っていた猫を思い出し、キュンキュンしていると、黒猫の少女は舌ったらずな甘い声で質問してくる。

「おねーさんって、みんなが言っていた人間の先生?」

「ああ、そうだよ。」

若干違うが肯定する。もうミシェルは黒猫の少女の可愛さにメロメロになっている。

「そうなんだ!ザトアはザトアって言うんだ。おねーさんはなんて名前?」

「私はミシェルだ。」

「ミシェルおねーさん!ザトア、ミシェルおねーさんと仲良しさんになりたいにゃん!」

「ああ!いいとも!」

デヘデヘに笑顔になりながらミシェルは大きく返事する。

「じゃあ、お尻の匂い嗅がせて!」

「ああ!バッチコイ!!」

ミシェルはザトアに向けて自らのお尻を突き出す。

「猫はお尻の匂いを嗅ぐことで挨拶するらしいからな!分かっているさ!さあ!嗅ぐがいい!思う存分嗅ぐがいい!」

「うん!クンクンクンクン。」


ーーー

獣人の集落。ある一人の男は手持ち無沙汰で歩いていた。一仕事を終え、ボーッとしながらウロウロしているこの男。

獣人ではない。

人間でもない。

そう、召喚獣である!

その名は、セルフメディケーション松下清太郎。シュージンに呼ばれ、自らの役割を果たした彼はやる事なく散歩しているのだ。

彼は自動判断タイプの召喚獣。召喚主の命令があれば聞くし、命令が無ければ自動で考え行動する。

普通なら預かっていた荷物を出してお役目御免。なのだが、シュージンがアバルを追いかけてしまい、引っ込めてもらうタイミングがなかったのである。

荷物を預かる能力を持つこの召喚獣、だが、預かるだけでなくその他にも特技がある。それは・・・

「さあ!嗅ぐがいい!思う存分嗅ぐがいい!」

「うん!クンクンクンクン。」

「変態がいるッ!?」

散歩をしているセルフメディケーション松下清太郎の視界に飛び込んできたのは黒い猫の獣人の幼女に尻の匂いを嗅がせている亜麻色の髪の乙女。その光景を見てセルフメディケーション松下清太郎は、率直な感想を言った!

そう!この召喚獣は荷物を預かるだけに存在するに非ず!ツッコミも達者なのである!!あと、ちぎり絵も上手い。

「さあ!お尻の匂いは充分に楽しんだだろう。今度は私の番だ。ザトアちゃん!お前のお尻の匂いを嗅がせてくれ!!コミュニケーションだ!」

「うん!どんとこいだよ!!」

尻を突き出すザトア。

「やめろーーーー!こんなのコミュニケーションじゃない!オレの想像するコミュニケーションじゃない!!」

自らのイマジネーションが引き裂かれた予感を覚えた松下清太郎は、狂った現実を焼き捨てるため駆け出さずにはいられなかった。

「うわっ!?シュージンの召喚獣!喋れたのか!?」

松下清太郎の大声に驚くミシェル。ザトアは急に現れ、こちらに向かって走り来る丸刈りタンクトップの男に恐怖とウンチハイの余韻で駆け出さずにはいられなかった。

「変態さんだー!」

「ザトアちゃん!走るとまたぶつかるぞ!」

ミシェルもザトアを止めるため走り出す。

「オレは変態ではない!」

松下清太郎はそう言うが、はたから見たら、変態である。

「汗でタンクトップから乳首が透けてるタイプの変態さんだー!」

そう、はたから見たら、タンクトップから乳首が透けているタイプの変態なのである。

「ザトアちゃん!落ち着け!コイツは召喚獣なんだ!落ち着いてお尻の匂いを嗅ぐんだ!」

ミシェルもはたから見たら変態である。変態二人が幼女を追いかけている絵面は紛う事なき犯罪である。


続く









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