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第26話 今更

話し合いが終わり、シュージン達はテントを出る。

シュージンはセルフメディケーション松下清太郎を再度召喚し、彼のリュックサックの中の米や麦、干し肉、塩などの食料を分け与え、バッツとトセに獣人達みんなに配るように指示を出す。

バッツとトセは喜んでその指示に従い、集落の獣人達へ配り回る。アバルとは言うと不貞腐れた顔をしながら歩き去って行った。

「コーモト様。我々のためにここまでしていただけるとは、なんてお礼を申せばいいのか。」

シタモンが深々と頭を下げてシュージンに礼を言う。

「悪いのは帝国です、ですから頭を上げてください。」

シュージンの様子を見てミシェルは昨日の出来事を思い出す、獣人達を野盗と決めつけ斬ろうとしたことを。

(あの時、シュージンがいなかったら、私はどうしていたのであろう。)

自らの軽率な考えに激しく後悔したことを思う。

「シュージン、私も少し獣人と話してくる。」

「ついて行こうか。」

「いや、一人でいい。」

「そうか。俺もこれから少し用事があるから丁度いい。」

「ああ、どうやら私も学ぶべきことが多いみたいだ、コーモト先生。」

「うわ。ミシェルにそう言われると全身の鳥肌が立つ。もはや俺は鳥だわ。ミシェルのせいで鳥になった。ちゅんちゅん。」

「お前、後で覚えてろ。」

シュージンに軽口を叩きミシェルは集落を見て回ることにした。

シュージンが昨日から先生ぶっているからわざわざ合わせてやったのにひどい言われようである。

(本で読んだことが全てではない。世界には人の心というものがある。それを知らなければ、きっと私は真の騎士にはなれない。)

ミシェルは自らの視野を広げるため歩み出した。


ーーー

集落の隅の木陰。

そこでアバルは木にもたれかかり、目を閉じて考える。あのシュージンという男のことを。

自分でどうにかしようとしたこの集落の食料問題も解決し、今後の解決策まで提示した、まさにこの集落の救世主様だ。

(だが、それでもオレは・・・)

そんな事を考えていると。

「アバル君。」

食料の分配と、シタモンとの話を終えた


その救世主様が声をかけてきた。

「なんか用事か?センセ?」

「ああ、肝心な事を聞いてなかったからな。」

「肝心な事?」

「ああ、何故、俺達の援助は要らないなんて言ったのか。その理由を聞いてなかったからな。」

「そんな事、アンタらが何となく気に食わなかっただけさ。」

「嘘だな。客人としては迎えるって言っていたじゃないか。」

アバルは気に食わなかった。毛嫌いなんかではなく、今の全てを見透かしたような、その発言が気に食わなかったのである。

「ってか、今更どうでも良いだろ。集落のみんなも喜んでるし、食料もある。今更、オレ一人の意見なんかどうでもいいだろ、今更。」

「今更、か。昔に何かあったのか」

「本当に、全て見透かして来るな、センセ。」

「見透かしてなんかいないさ、だから聞いている。」

アバルは大きく息を吐き、目を閉じて考える。

召喚術を扱えて、人徳もある。

コイツになら話しても良いのかもしれない。そう、考えたアバルであったが。

「ま、色々とあるんだよ、昔も今も厄介なことが。」

言うことでもないと、そう判断した。


続く




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