第23話 それについてはご心配無く。
テントの中で二人の人間と四人の獣人が向き合う。
人間側はシュージンとミシェル。
獣人側は、一人だけ反対派のアバルとその保護者役のトセ、バッツ。そして、集落の代表としてシタモンという名の老人の獣人が話し合いに立ち会った。
「あ、ちなみにオレの祖父です。」
と、バッツが紹介してくれた。確かに、優しそうな雰囲気を宿す目元が似ている、シタモンはいかにもな好々爺、という感じだ。
集落全員との話し合いをしようと思っていたシュージンであったが、アバルの存在により話がまとまらないのではないか、と意見があり、必要最小限の人数での話し合いとなった。
バッツは、アバルが暴走した時のために、もう数人連れて来た方がいいのでは、とシュージンに耳打ちで提案したが、地獄耳のアバルに、あんなフジツボ供は要らん、と凄まれてしまい、くぅーん、と鳴いた。そして、その様子を見たトセは、フジツボじゃないし、仲良くしなさい!と、アバルにチョップを打ちつつ叱りつけた。
(どっちが兄か姉か分からないな、それに、確かにトセがいればフジツボは要らないな。)
ミシェルは名前も知らない獣人をフジツボと仮称することにした、もちろん口には出さない。
そして、人間と獣人の話し合いが始まる。
始めにシュージンが話を切り出した。
「アバル君の意見から聞こう。どうして援助は必要ないと言えるんだ?」
(あ、多分話が拗れるからだな。)
ミシェルはそう思った。そして、その考えはアバル以外の獣人達もそうであった。
アバルは一呼吸置きシュージンの問いに答える。
「まず、アンタらが帝国のヤツらとは違うってのはさっき言った通り、だが、実際アンタら二人に何が出来る?食糧を分けるか?30もの獣人をどうにか出来るとでも?」
「確かに、アバルの言う通り、お二人のお心遣いは有難いが援助とはどういうものなのですかな?」
シタモンもアバルの言った食糧についての疑問が気になるようだ。
「やっぱり、俺が狩りに出るしかないな。ここいらの生態系ぶっ壊してでも食糧を賄うしかないな。」
「お兄ちゃん、それ言って取って来れたの、栗だけじゃん!」
「たまたま鹿とか猪とか居ねぇだけだろ。それに栗ご飯もうめぇぞ!」
「それだけじゃどうしようもないって言ってんの!」
アバルとトセが険悪なムードで言い合う。それに制止をかけるかのように、
「それについてはご心配無く。」
シュージンが自信満々に言う。その顔を見て、ミシェルは小声で聞く。
「まさか、私達の食糧を分けるのか?中央までいくためのギリギリしかないぞ?」
「そのまさかだ。」
皆さん、ちょっと下がっていただいて下さい。とシュージンはテントの中にスペースを作る。
「召喚獣、セルフメディケーション松下清太郎。」
ボン、という音と共に、白のタンクトップ姿のあまりにも巨大なリュックサックを背負った丸刈りの男が現れた。
続く




