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第21話 オレが狩る

「ははははははっ。」

「フハハハハハッ。」

シュージンとアバルが笑っている。その横でミシェルがこめかみを抑えながら掠れた声でつぶやく。

「どうしてこうなった。」

先程までの重い空気はなんだったのだ、とミシェルはすっかり意気投合してしまった二人の馬鹿に呆れてしまっている。

「アバル君!ウニご飯食おう!」

「いいな!センセ、栗ご飯も作ろうぜ!」

「ダブルご飯物!?」

シュージンとアバルがワイワイ話していると、先程まで怯えていたバッツにミシェルは話しかける。

「反対派と聞いていたが、シュージンと打ち解けているのだが。」

「アバルは気まぐれで馬鹿で頑固でとにかく扱いにくい奴なんです。腹が立つくらいに。」

「同じ獣人なのに随分と辛辣だな。」

「種族と個人の評価は別です。それにアバルは犬型と狼型の混血の獣人なんです。オレ達とはちょっと違います。」

バッツから返ってきたドライな考え方にミシェルは驚いた。

そんな風に割り切った考え方が出来るから、犬型、猫型、混血など一緒に暮らせるのか。

それとも様々な血があるから、割り切った考え方が出来るようになるのか。

「だから、私達を信じてくれたのか。帝国と同じ人間である私達を。」

ミシェルはとても小さな声で呟いた。

「ええ、確かに帝国は許せませんが、先生方のように、優しく思いやりがある方もいることは事実です。」

「そうか。だったら話し合いの準備をするか。」

「はい!」

ミシェルはバッツとの話しを終わらせた。同じ人間同士で争おうとする自分達と帝国のことを考える前に、人間を信じてくれた獣人達の思いに応えるためにである。

「おい、二人とも盛り上がっている最中に悪いが・・・」

「先生、アバル。そろそろ話し合いの方を始めましょう。」

ミシェルとバッツはウニだ栗だ、と騒ぐ二人の馬鹿に近づいき声を掛ける。

「おお、そうだったな。」

話に夢中になっていたシュージンも二人の声で本来の目的の話し合いだったことを思い出す。

「そのことなんだが、アンタらの援助はいらねぇ。」

アバルがきっぱりと断る。

「「何故だ。」」

先程まで、シュージンと笑いながら騒いでいたのに援助を受け入れようとしないアバルにミシェルとバッツは同時に疑問を投げかける。

「別にアンタらは悪い奴らじゃねぇって事は大体分かった。客人として迎えるのは悪くねぇ。だがな、援助は別だ。」

そこら辺の線引きはしっかりしねぇと、とアバルはシュージンを力強い眼差しで見て言う。

「だが、実際問題、食料はどうする。俺は昨日の奴らに食う物に困るって話を聞いたが。」

シュージンもアバルを見据える。

「オレが狩る。」

「出来るとでも?」

また、重苦しい空気が流れ始める。

だが、

「ちぇりゃさあぁぁぁ!!!」

「ぐへぇああばぁぁぁ!!!」

突如として現れた白い影にドロップキックされ、アバルが吹き飛んだ。

ミシェルとバッツは目と口を大きく開き驚き、地面に這いつくばるアバルを見る。

「トセ、何をするぅ!」

地面に倒れるアバルにトセと呼ばれたその白い影を見てミシェルは驚く。

白く長い髪、輝く銀の瞳、起伏は少ないがしなやかな美しい肉体、その頭頂部からは三角の獣の耳、腰からは大きくモフモフとした尻尾が生えている女性の若い獣人であった。

女のミシェルから見ても美しいと感じさせるその凛とした佇まいの持ち主はアバルに近づくと、

「ちぇりゃさぁ!」

「ぐへぁは!」

二度目の蹴りはストンピングキックであった。

「容赦ねぇ!!」


続く


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