第18話 「邪道じゃねぇよ。」
「で、他の奴らはどうしたんだ?バッツ君。」
邪道1号のシュージンが聞き、邪道2号のバッツが答える。
「他の皆は集落で先生方を待っています。」
「その言い方だと俺達の援助を受けるということで良いんだな?」
「はい、申し訳ないことですが、コーモト先生のお力をお借りするしかオレ達には生きる道が・・・」
「気にするな、全部帝国のせいだ。」
シュージンは顔を歪めるバッツを優しく慰める。
その様子を見たミシェルは昨日のことを思い出す。ただ相手を敵とみなし、その心の奥の悲しみに気づかなかったことを、自らの器量の狭さを。
ミシェルが若干うつむき考えていると、シュージンの声が意識を現実に戻す。
「ミシェル、大丈夫か。」
「あ、ああ。」
「大丈夫ですか?ミシェル先生?顔色が優れないようですが?」
「気にしないでくれ、頼む。」
つい、素っ気ないような返事をしてしまったことを悔いるミシェル。
(余計な心配をかけてしまった、苦しいのは獣人達も同じなのに。)
ミシェルの様子のおかしさに気づいたシュージンは、話題を変えようとし、バッツに問う。
「ところでその集落って何人くらいいるの?」
「全員で31人います。」
「へぇ、バッツ君って犬型の獣人だけど、集落のやつも全員犬型の獣人?」
「いえ、オレを含めて先生が昨日に見たのは全員犬型ですが、集落に行けば猫型の獣人もいます。」
「犬型?猫型?」
ミシェルは犬型、猫型という単語に疑問を持った。
「なんだミシェル、知らないのか?」
「獣人には、犬型や猫型など様々な獣の特徴を持ったタイプがいるんですよ。」
獣人について詳しくないミシェルにバッツが説明してくれる。
「俺が見てきた中では、他にも兎型、狐型、鼠型、山羊型とかいたな、あと最近になってトウモロコシ型の獣人を見た。」
「トウモロコシ!?そんな獣人がいるんですか!?流石先生!見聞が広いですね!」
シュージンの発言に驚くバッツ、実際にミシェルもそのトウモロコシに覚えがあった。だがアレは野菜であって獣でない。
「ポタージュは獣人じゃねぇだろ。」
「えっ?じゃあそのポタージュって方は何者ですか?」
「私も知らん。喋るトウモロコシとしか言いようがない。」
ポタージュの正体は未だ不明である。しかも置き去りにされたので確認の手段はない。
「ポタージュ君のことはさておき。」
「お前が言い出したんだろう!」
「良かったなミシェル。猫好きなんだろ、いるってよ猫型獣人。」
「シュージン、覚えていたのか。」
ミシェルは犬より猫派である。シュージンと焼けたプレジの町で出会ったことのやり取りを思い出す。あんな短いやり取りの事まで覚えていたことと、不甲斐ない姿を見せていたことを思い出し、ミシェルは妙な恥ずかしさを感じ、若干顔を赤らめてしまう。
「長い付き合いだ、ミシェルのことならなんでも知っている。好きな寿司のネタとかな。」
「シュージン、お前とは昨日出会ったばかりだろう。それに寿司の話はさっきしたばかりだ。」
「ミシェルはピリ辛マグロビビンバ軍艦が好きなんだよな。」
「邪道じゃねぇよ。」
続く




