第17話 (邪道じゃねぇよ。)
「先生が先生をカーフキックしたぁ!?」
「意外と最初の方から見られていたー!?そして、私も教師扱いされているー!?」
獣人の青年は青い顔をして驚いた、そしてミシェルも驚いた。この獣人とミシェルの年齢はそう変わらないのにもかかわらず教師と仰ぐのである、しかも、ミシェルは特に何もした覚えは無い。シュージンと岡松先生の横にいただけである。
あわあわと狼狽える青年に対し、男の方の教師は冷静に答える。
「落ち着け、これはあれだ。キックボクシングの試合が近いからスパーリング練習をしてただけだ。」
(キックボクシングより誤魔化し方の練習をした方が良い!)
シュージンの雑な誤魔化し方にミシェルは呆れた。
(こんなので誤魔化せる訳が・・・)
「へぇ〜、そうなんですね!試合応援しにいきますね!」
(騙せた!この獣人アホだ!?)
意外にもすんなり誤魔化せたことにミシェルは、この未来ある若人に対し失礼なことを思った。獣人は知能は低めと言うことは事実だが。
「しかし、教職とキックボクシングの二足のわらじとは・・・方向性が全然違いますね。鎧のグリーブとピンヒールくらい履いているものが違いますね。」
(この獣人アホかと思いきや意外とボキャブラリーある!?)
心の中で前言撤回するミシェルであった。
(そして、私は教師でもキックボクサーでもないぞ。鎧のグリーブの一足のわらじだけだからな!)
さらに心の中で付け足すミシェル。下手に言うと話がややこしくなるので口には出さない。心で否定する。
ーーー
「じゃあ、自己紹介するか。俺はシュージン。シュージン・コーモト。好きな寿司は強いて言えば炙りチーズサーモンだ。」
(邪道!)
寿司のくだりいるか?という疑問を抱くミシェルであったが、シュージンは、お前の名前聞いてなかったし教えてくれ、と話しを続け一人で迎えに来た黄色くうねった髪を持つ獣人の青年に問う。それを聞いた青年はアーモンド色の目を輝かせながら自らの名前を言った。
「バッツって言います!オレの好きな寿司はコーンサラダ軍艦です!」
(コイツも邪道!)
シュージンに憧れ教師を目指すとかのたまい、変なところまで真似してくるバッツの未来が心配になったミシェルであった。
「はぁ・・・ん?」
溜め息をつくミシェルに、じぃーと視線を送る邪道二人組、早く自己紹介してくれという期待の眼差しであった。その視線に気づいたミシェルは嫌そうな顔をしながら言う。
「ミシェル・コルツだ。」
簡単すぎる自己紹介。
「「じぃー。」」
今度は効果音を口から出しながらミシェルに視線を送る邪道二人組。その視線の理由が分からずミシェルは不機嫌そうな語調で言う。
「なんだ?」
「「寿司。」」
「は?」
「「す・し。」」
好きな寿司を言えという催促。しかもこの邪道二人組はこの短時間で見事に息を合わせた催促を繰り出してくる。ミシェルは完全に嫌な顔になりながら答える。
「ミシェル・コルツ。好きな寿司はマグロ。」
それを聞いた邪道二人組は不思議そうな顔して質問する。
「アボガドは乗せないのか?」
「バジルソースは掛けないんですか?」
(邪道じゃねぇよ。)
続く




