第16話 ずっと、ずっと
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「そう言えばシュージン、ナイトメア松野は悪夢を見せると言ったがどんな夢を見たんだ?」
朝食をとりながらミシェルはシュージンに聞く、今日の朝食は帝国軍からありがたく頂いた軍の携帯食料の乾パン、干し肉。それと豆のスープである。
「えー。つまんない夢だった。押入れの中から納豆にまみれたババァがブリッジしながら100体くらい現れて追いかけてくるような。」
「なんだそのスリルショックホラー!?」
スリルショックホラーと言うミシェルの発言に一瞬どきりとしたシュージンであった。がいつも調子で続けるようつとめる。
「まあ、所詮は夢の話。どうせ話すなら将来の夢の話の方が良いだろう。ゆめゆめそんな夜の夢の話はゆめ(辞め)てくれ。ユー・メイ・ドリーム。」
「ああ、そうだな、私も聞かない方が良かったと思う。」
納豆にまみれたババァ100体を想像してしまい、飲みにくくなってしまった豆のスープを見つめ。悪夢の話を振ったミシェルは激しく後悔した。朝からゆめゆめうるさいなコイツ、と思いながら。
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「そろそろ獣人達が来ても良い頃だと思うが。」
「なあ、ミシェル、ずっと言いたいことがあったんだが・・・。」
「な、なんだいきなり!」
神妙な面持ちでミシェルに話を切り出そうとするシュージン、その眼差しにミシェルは戸惑った。
「俺、ずっと、ずっと・・・」
ゴクリとミシェルは唾を飲み込み、シュージンの次の言葉を聞き逃さないように意識を集中させる。
「獣人が10人ってギャグを言いたかったんだ。」
ドゴンっと鈍い音がした、ミシェルのローキックである。今度のローキックは朝のと違い、鎧のオプションがついているためダメージ増し増しの蹴りであった。
「クッソ痛えぇぇぇ!!バロンドール級のスーパーキック!!」
「ふざけるな。ローキックするぞ。」
「ローキックしてるぅ!今したぁ!」
左足を手で押さえ苦悶の顔を浮かべるシュージンに対し、ミシェルはキレた。
「真面目に聞こうとして損した。」
「でも、昨日獣人に囲まれた時ミシェルも思っただろ。獣人が10人って。」
「思ったがそれをギャグにしようとは思わなかった。」
「岡松先生のせいでギャグを言うタイミングがなかったから・・・。」
「タイミングがないからといっても、今言うべきギャグではない。」
トホホ〜と泣くシュージン。
(トホホーと実際に泣くヤツ初めて見た!)
はあ、と溜め息をつきミシェルは言う。
「全く、こんなところ獣人達に見られたら・・・」
「せ、先生!?」
「見られたー!」
昨日の将来の夢は教師と言ったあの獣人の青年がいた。
続く。




