4 「ジュナと竜の戦士」設定集 やさしい竜の育て方
西の地の竜の育て方 初級編
竜の一族では、戦士となる性質が金髪と結びついているため、金髪の貴族・戦士階級と一般市民・歩兵・奴隷階級がはっきりと区別されている。
平民が竜に乗ることは許されず、車や鋤に繋いで使役する雑種の竜は、乗用になるほど大型化しない。
度胸のある貧乏人は、砂漠で野生の竜の卵を盗んでくるが、生まれる竜は小さめ。
純血の軽種の竜は雑食で気立てが良いため、家庭のペット、軽い乗用、競竜競技に使われる。
大型の荷物運搬用の竜は、頭が悪く、鈍重。
戦士が乗る肉食の中型種だけは、戦闘用に訓練され危険なため、飼育には厳しい規則が定められている。
人工的に大型化された竜たちは、交配から産卵、孵化、育児まで、長く人の手を必要としてきた。
春と秋の二回、竜舎で交配が行われる。
大貴族たちはそれぞれの竜舎を持ち、己の血統の竜の速さと賢さ、戦闘能力を誇る。
竜舎の長は家令に次ぐ高い身分と発言力を持っている。
中型種の竜の妊娠期間は四か月。
産卵から孵化まで一か月。
生まれたての卵はダチョウの卵くらいで、殻はまだ薄い。
未熟な若い雌だと、産道を通る時歪むこともある。
十分に陽に当て、保温する事で殻は硬化し、一カ月の間に一回り成長する。
この時期の日光浴が骨格形成上非常に重要なので、卵の取り扱いには熟練を要する。
竜の戦士を目指す者は、初めての竜だけは自分の手で育てるのが伝統。
貴族、戦士階級の少年は、十代で竜の卵を与えられる。
各家の竜舎で交配した卵を受け取る者、高価な血統書付きの卵を買ってもらう者。
金髪の貴族の血筋でも、家が貧しい少年は戦士見習いとして主家に召し抱えられ、卵を支給される。
女性にも戦士への道は開かれているが、約一割が脱落、死亡する厳しい職業なので、その数は少ない。
孵化と同時に名づけ、餌をやることで「刷り込み」が行われる。
孵化後一週間は三時間ごとの給餌、排泄の世話、清掃と、飼育者は休む間もない。
生後二年間の食事で乗用に出来るかどうかが決定するので、ミミズや骨ごと叩いた肉、昆虫の粉末など、ミネラルに富む秘伝の栄養食がたっぷり与えられる。
クル病予防のための日光浴もかかせない。
各自の竜が成長しきって、人を乗せられるまで二年。
その後数年間、竜と共に戦闘訓練を積んだ少年は、十代後半から二十代初めで国王、あるいは主家の貴族の長より剣を与えられ、戦士となる。
訓練は厳しく、騎手あるいは竜の死亡につながる事故も多い。
二頭目からは、竜舎が育て上げた竜か、乗り手を失った竜と絆を結ぶこととなる。
中型種の竜の寿命は、二十年から三十年である。




