光と闇が自分たちを作り直して
昔々、ずーっと昔、そこには光と闇がいた。光も闇も、仲が良かった。けれどある日、闇が急に暴れ始めた。人々は闇を恐れ、光を好むようになった。闇はそれに気付き、さらに暴れた。暴れて、暴れて、とうとう世界が闇に染まり始めた時、光は、自分がしばらく眠るかわりに闇をしばらくの間眠らせる事を選んだ。光と闇はいつもセットになっていて、片方が眠ればもう片方も眠ることになるのだ。…そうして、光と闇は何百年もの間、眠ることとなった。
明るく、暗く。どちらもあるこの部屋に、白い棺と黒い棺が置いてあった。そこからスッと手がのびてきて、隣の手を、同時に掴んだ。
「…おはよう、光」
「おはよう、闇。…無理矢理眠らせた事、怒ってる?」
「わかっているくせにそんなこと聞くなよ。…怒ってないよ。正直、感謝している。あんとき、自分の中の何かが爆発して、暴走し始めた事に焦っていた。自分の中の力なのに、コントロールできないことに、焦っていた。…それを、光が沈めてくれたんだ。怒るはずがない」
「…そっか。…私たちは一心同体だもの。やることはわかっているわね?」
「もちろん。…さあ」
二つの輝きは起き上がり、同時に微笑んだ。
『働く時間だ』
二つの輝きは同時に空へ跳びあがった。そして、二つ同時にはじけてどこかに消えた。
「私たちが、やるべき事は?」
「うんと…光と闇を作ること」
「まあ、それもそうなんだけど」
「あと、地球上の生物を見守ること」
「正解!」
闇は、数百年も寝ていた間の夢を思い出していた。それは、自分が暴れてすぐあとの事だった。
「じゃあ、私たちが正反対で一人ずついる理由は?」
「もし、何かあった時に、役に立つから」
「…正解…」
何か、なんて何かわかっていた。ここにあるものはいつか壊れる。私たちも。光は闇を打消し、闇は光を打消す。その、壊れたときのためにやる方法を、光はやらなかった。私と一緒に眠った。一回だけ、落ち着くチャンスをくれた。そして、それを通して光が伝えたかった事は…。
光が見えた。向こうも、闇が見えた。そして、二人とも手にはそれぞれの輝きが握られていた。
「光イィ!」
「闇イィ!」
おたがい、呼び合った。…光がやりたかった事。それは…。
「私達を作り直すんでしょ!?」
「そう。さすが、もう一人の私!」
作り直す。私たちを。好き勝手に動いたりしない光に…闇に…。
おたがいの輝きが、つぶれてはじけた。私たちは、おたがいの輝きに飲まれて、それで…。
このことを知っているのは、神様だけ。そして、私たちが存在したことを知っているのは、神様と、それと…数百年前に生きていた、私達としゃべった人たちだけ。それでも…存在が知られていなくてもそれでもいい。私たちの魂が、地球の周辺を回って…輝きが、みんなのもとに届けば、生まれ変わったことに損はないから。
こんにちは、桜騎です!今回は光と闇を動かしました!実はあの光と闇、最後は太陽と月になっていたことがわかりましたか?わかりにくかったらすみません。多分、最後らへんに「地球を回っている」とかなんとか書いてあると思います。あれが太陽と月が回っているという意味なのですが…。
とにかく、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。