第一話 運命の子その名はアルス4 -タクラ国-
独特の文章表現・構成になっています
王宮に戻ってからのアルスの心はむしゃくしゃしていた。自分が蒔いた種をどうやって刈り取るかということをずっと考えているためだ、正直、隣にいるトールギスに当たってしまいたいほどだ。トールギスはというと、アルスの心情を察してか何も言わずただずっと見守っている。
「トールギス教えてくれ・・・僕はどうすればいい」
考え込んでいたアルスが吐露した
その言葉にトールギスは重い口を開ける
「大丈夫です。後のことは我々にお任せください。あなたは何も心配する必要はありません」
さらにトールギスは続ける
「相手はたかが小さなならず者集団です王宮の力をもってすればすぐに収まりますよ」
しかしアルスの顔は曇ったままだ
「では私はこのことを王様に伝えてまいります」
トールギスがそう言いいつも出入りしている豪華な王宮の扉に手をかけた瞬間
「いや、父上には言わないでくれ」
トールギスが振り向きアルスの顔を見たときすでにその顔に雲はなく覚悟を決めたものになっていた
--タクラ国
タクラ国はアルセール王国から少し東に位置する小国である。この国はとても治安が悪く、民衆は日々の食糧にも困るほどの貧しさであった、この国の民に明日を考える余裕はない。今を生きることで精いっぱいなのだ
他人のことなど後回し、優しさやおもいやりなどこの国には無い。あるのは苦しみと恐怖そして欲望、それがこの国の今である
しかし理由はしれている。というのも王が税と称し民から3分の2もの税を徴収、払えなければ罰を与えられれ、今の政治や王を批判をすれば即刻死刑という独裁体制によるものだ。さらに言えばこの国は他国との交易等を一切していない鎖国状態でもあるため必要な物資は入ってこないのだ。まさに国という名の檻である
そしてこの国は先日、アルセール王国アヴァロンの軍事訓練場に対し攻撃を行ったばかりであった
---タクラ国ガルガンタ王宮
「おい、おまえ」
「ははっ」
「俺は今、何を考えていると思う?」
「・・・私には陛下の深いお考えはわかりかねます・・・」
「俺は今アルセール王国を地獄へ落とす様を考えていた・・・」
「かっ・・感服いたしました陛下・・・」
明らかに怯えている高官から陛下と呼ばれているこの男---
-----名をタクラマカン-----
金の玉座に座し、金の衣をまといて見ただけで人を恐怖させてしまうかのような大きな瞳、眉は非常に太く全体的にとても堀の深い濃い顔をしている。
手前にはこの国の民衆には手も届かぬであろう豪華な食事、そして両脇には女。
この男こそ民衆・貴族から恐れられるタクラ国国王である。
「アヴァロン襲撃は奴らへの威嚇よ、地獄への扉は開いたのだ」
怯える高官たちをよそにタクラマカンは続ける
「兵の様子はどうなっておる」
高官は王の質問に恐れながら答えた
「今のところ順調です。しかしながら未だ完全とはいかず、あと一ヶ月ほどかかるかと・・・」
「ぬァにい!?」
それを聞いた王の表情と口調が一変した
「一ヶ月?一ヶ月もかかるのか!!遅い!遅いぞ!!10日、10日でできんのか!!」
「こっ・・この前のアヴァロン襲撃で兵は疲れきっております。兵の土岐は上がっておりますが
一部ではアルセール王国もの大国を敵に回すということに恐怖し逃げ出すものまで出ています」
別の高官も答える
「ここは少し期間を開けて兵を落ち着かせるのがよいかと」
その言葉に王は手で自らの顎を触りながら
「ならば待ってやろう、楽しみは後にとっておいたほうがよいだろう」
そして王は次の攻撃について語った
「次の攻撃はリ・オー将軍にまかせる」
「はっ!」
列から鎧を身にまとった髭面の男が王の前に出てきた。
---リ・オー将軍である
彼はタクラ国で3人しかいない将軍のひとりだ、敵はみな彼の巨大な槍の前にその命を散らすという
「リ・オー将軍。期待しているぞ」
「はい、この攻撃のためにアルセール国内部とも取引をしております」
「フハハハ!!内部からも切り崩すか!」
「なのでご安心ください陛下。もうすぐアルセール国では大きな嵐が吹き荒れることでしょう」
「そうなれば奴らはもう終わりよ!フハハハハハ!!!」
宰相も神官も他の高官や将軍も王の歓喜の笑いにただただ口を閉ざしていた
---王宮
夜、王宮の縁側ではアルスと父アルフレット王が話をしていた。今夜は星がみえるほどの澄んだ空で三日月も星々と共に空に浮かんでいる。
「今日は星がきれいだな息子よ」
上を見上げる父とは違いアルスは下を向いている
「浮かない顔だな何かあったのか?」
「父上、責任は取らなきゃいけないもんだね」
「?、どうした急に?」
父には息子が何を言っているのかはよくわからなかったが、息子の言った責任という言葉に対し持論を答えた
「男には何かをしでかしてしまった時、やらなきゃいけないとき責任が常に伴う、だがそれを放棄しちゃいけない。」
「でも重さによるよ、すごく重いと逃げ出したくなる。」
「確かにそういう時もある、何もかもほっぽり出したい時が、しかしそれをして責任が無くなると・・・ただの無責任だ」
「そんなの嫌だ!そういう時・・そうならないためにはどうすればいいの?」
アルスは自分の答えが父の話にがあると感じた、そして父はその答えを前を向いて答えた
「覚悟さ。絶対に折れない信念、ぶれない覚悟、それさえあれば無責任になることはない」
アルスは父の答えに少し考えこう言った
「父上、僕は棒になるよ」