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始まりは死



世界が紅く染まったのを見るのは初めてだ。

冷たくて固いコンクリートの感触が、俺の血の温かさを際立たせている。

何が起こったのか? 分からない。

突然誰かに刺されて俺は殺された。

体に力を込めても血が吹き出るだけ。腹を押さえた俺の腕が動く事は無い。


荒い息を吐いて空を睨む。

血の池に溺れて色を変えた視界でも包丁が振り上げられたのが分かる。

次の瞬間、俺の傷口は抉られた。

押し出されるように口から血が溢れて水溜りを作る。


「は、はは。お前が悪い。お前が悪いんだ」


霞む意識に声が響く。

男? 声からして若い。

光が消えていく目とは逆に痛みは訴え続けてきて眠ることを許さない。

やり残したこと、沢山あったのに・・・・・・。

折角高校生になって、彼女作ってさ。漫画みたいな青春を送ろうって時になんで殺されなきゃ・・・・・・。


「お前があの時────から、お前さえ邪魔しなければ────!」


ああ、もう何叫んでるのかわからねえよ。

あの時。あの時か・・・・・・。

走馬灯ってやつかな。思い出したくもない記憶が蘇ってくる。

幼馴染みと遊んで、怒られて。いつしか好きになって離れていった。

そうだな。せめて、せめて告白くらいは・・・・・・。


頭に走った激痛のせいで走馬灯が消え去る。

もう駄目かも・・・・・・。

空から降り続ける恨み言らしき言葉の雨を受けながら俺────桂木春かつらぎはるの人生は幕を閉じた。


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