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未プレイの乙女ゲーム転生なんてリアルより性質が悪い

作者:

初投稿です。テンプレ目指しつつ外した感にしたかったw

名称を考えるのがとことん苦手なので、名前がひとつも出てきません。

だってノリと勢いで書いたから(苦笑)

「困った」


 私は盛大に頭を抱えていた。もしかしたら、と予想はしていたけれど、この入学式において、不安要素が確定した・・・ような気がするからだ。


 だって・・・周りに美形が多すぎる。

 なんだこの、いかにも『俺様』や『腹黒眼鏡』やら『チャラ男』やら『ツンデレ』やら『癒しおっとり』を体言したかのようなテンプレ美形達は。うん。イケメンというより美形各種と言ったほうが適切に違いない。

 さらには『悪役令嬢』までいらっしゃる。


 新入生の中に『ヒロイン』様はいらっしゃいませんかー?!

 私、この、いかにも『乙女ゲーム』な世界、プレイしたことも読んだ事もない、事前知識ゼロの転生者なんですけどーーーっ?!





 はい。一応私、転生者なんです。

 神様こそ会ってはいませんが、交通事故からの、赤ん坊転生で、言語チート無しは苦労しましたが、魔法チートはあったみたいで、意識覚醒した時に試した『灯り』が発生した時は、喜びのあまり泣いてしまいました。

 ・・・ま、当然赤ん坊だったので、それはただの泣き声で、自分でびっくりして魔法は解除、うたた寝からさめた母様からは癒しの抱っこをいただきましたがね・・・


 わたし的異世界でやりたい事ランキング1位の、冒険者ギルド登録は、きっと夢じゃないっ!

 討伐でハンターランク上げてドラゴン倒して素材剥ぎ取って、ウルトラ上手にお肉を焼くんだっ!




 そんな夢を抱いていた幼少時代。

 私は王都じゃないけどそれなりに大きい町の野菜屋の娘で、いわゆる平民。

 裕福では無いが貧乏でもない。兄が二人いるから店を継ぐとかの心配もない。

 このまま嫁にでも行けば、平穏無事な生活が待っているのは確か。

 だが、だがしかし。

 せっかくの剣と魔法のファンタジー世界、しかも魔法持ちとしては、冒険に行かずにどこへ行けというのだろうか。

 お父さんお母さんごめんなさい。たとえ死と隣り合わせと言われ様とも、前世でオタクこじらせた私に、この世界は魅力がありすぎました。


 後見者のサイン無しで冒険者登録できる成人になるまで、体力づくりしたり、野外料理の勉強したりこっそり魔法の練習したり、冒険役立ちグッズを集めたりしていたのだが、友達を助けようとして、とっさにうっかり魔法を使ってしまったせいで、私の人生計画は崩れてしまった。

 ああ、15歳成人まで、あと1年と気が緩んでいた私が浅はかだった・・・



 物心ついた頃から、生活周りに魔法の気配が無くて慎重に隠していたんだけど、案の定、この世界で魔法が使えるのは、ほぼ貴族なんだそうだ。

 平民で魔法が使えるってのは、かなり珍しいそうで・・・あれ?嫌な予感しかしないぞ?


 そして、あれよあれよという間に、私はとある男爵の養女ってことになり、魔法学園に入学することになる・・・





 


 1年の準備期間はあっても、前世も今世もバリバリ平民の私にとって、男爵家でのマナー講座なんて付け焼刃にしかならない。

 周りだって、私が平民出身だって知ってて、ほぼ話しかけられない。

 いいんだ。ぼっちでも。いや、むしろぼっちがいい。

 『ヒロイン』が見当たらないこの学園で、一番『ヒロイン』っぽい設定なのはこの私だろう。

 だとしたら、フラグを回収してはいけないのだ。

 誰かを選んで婚約だなんて、とんでもない!

 私の夢は、魔法力を持つ者の義務としての学園卒業だたひとつ!(なんだろう、運転免許に対する教習所みたいなもんだと思っている。)

 だから、下手に目立って『悪役令嬢』様から苛められたり、断罪イベントで学園追放、なんかも、ごめんこうむる。



 なのにどうしてなのか私は美形やらイケメンやら美人さんとの遭遇率が高い。

 事前知識が無いから、いつどこでイベントが起こるかなんて、わからないから避けようもない。

 なにこれ、ゲームの強制力なの? やめて許して勘弁して。

 私には『私が考えた最強の呪文』でドラゴンスレイヤーの称号を得るっていう野望があるんだよぉ!


 


 そんなこんなで、声をかけられても、落し物を拾おうとも、偶然教室に二人っきりになろうとも、ありがちシチュエーションを無難に、好感度上げすぎないけど人として最低限のつきあいを守る感じで切り抜けて、

無難に迎えた年末の学園イベントのダンスパーティー。

 断罪イベントもなかったし、無事に始まるパーティーのエスコート役は・・・『無口むっつり』


 うん。すまない。たぶん攻略キャラなんだ。


 でもね、『魔法剣』と『身体能力向上』は、ロマンなんだよ! 試したかったんだよ!

 騎士目指してる体格のいい剣士と勝負できるなんてチャンス、スルーするわけにはいかなかったんだよぉ(号泣)

 身分的にも、相手は同格だったし、武士系?だし、ほら、なんか、昭和でいう所の川辺で決闘、後、友情、みたいな流れになったらいいなーって。


 私の魔法織り交ぜての戦いに彼は興味を示してくれて、戦術に関してちょこちょこ話すようになって。

 友達というかライバルというか、そんな距離感で。

 ダンスパーティー前には、ダンスの練習に巻き込まれてくれて、その流れでエスコートも・・・。


 私が実は冒険者志望だってことも、彼には打ち明けている。

 彼は『無口』キャラにふさわしく「そうか・・・」と言っただけだったが、時々悩んだ顔をするようになった。

 もしかして、一緒に冒険してくれるんだろうか? 卒業まであと2年、洗脳・・・あいや布教・・・あいやお願いすれば、ちょっと心動かしてくれないかなぁ。

 私が騎士団の魔法使いになるって手も、示唆されてるけど・・・冒険のない異世界ファンタジーなんて・・・

 あ、でもこの先魔王とか出てきて勇者なんか現れちゃったりしたらパーティーメンバーとして・・・ぶつぶつ・・・





 そして、2学年目。


 『ヒロイン』が転入し『ショタ枠』が入学してきた。


 ええええええええーーーーーっ。今?今がゲームスタートなのっ?

 自分が『ヒロイン』かもだなんて自意識過剰でした、すみませんっ!!



 私『無口むっつり』ルートにおける『ライバルキャラ』になるの?

 


 お、落ち着け私。私の目標は無事卒業。『ヒロイン』がどのルートを辿っても、私に影響は無い。

 たとえそれが『逆ハーレム』で、彼が『ヒロイン』の信望者になってしまっても・・・

    

 誰からも愛されそうな可愛い『ヒロイン』を見て、心が痛んだ。

 別に、彼女が何をしたわけじゃない。何かをする『かもしれない』ってだけで、私は彼女を平常心では見られない。

 私が時々感じたゲームの強制力。『ヒロイン』なら、強制力は私よりよっぽど強い。

 それに、もし『ヒロイン』が転生者なら、彼女は私の知らない彼の過去を、設定を、心情を知っていて、その対処もばっちりだ。

 メインヒーローを落とす片手間に、さっくり攻略されてしまうに違いない。



 どうすればいいのかわからない。勝ち目がまったく見つからない。 

 嗚呼、未プレイの乙女ゲーム転生なんて、リアルより性質が悪い。


少年漫画に憧れてるのに恋愛ゲームに巻き込まれ、自覚しないままに適応(恋心)しちゃってます。

続きを書く予定はありませんが主人公には「諦めんなよっ!」とエールを送りたい。

主人公はゲーム知らないが故に決め付けが無いから、攻略はリアルよりやや速いペース。ヒロインはガチチート超特急。

魅了効果は、魔法チートで緩和できるって事に気づけば、ざまぁもできるかもね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 [一言] 主人公はサバサバ系女侍時々どじっこで想像させていただきました。 続き読みたいです。
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