95海里目 新たな建造
俺はついに、この艦種に手を出す。
「初めて『吹雪』を建造したときには考えられなかったなぁ」
そう、俺はこれから航空母艦の建造に入る。
今回建造するのは特徴的な船体を持つ「龍驤」だ。
この「龍驤」に載せる航空機は、先ほど検索で見つけたRAF-4Eただ1機のみである。
いわば、RAF-4E専用空母としての「龍驤」だ。
もちろん、航空機として運用するための実験体としての側面もある。
そんな「龍驤」の建造を早速始めた。
まずは船体からだ。
船体は青葉型重巡洋艦の拡大版とも言われており、これは簡単にできる。
問題は役割の異なる船室があるということぐらいだろう。
船体が出来上がると、そのまま上部構造物の建造に入った。
上部構造物は主に航空機の格納庫と飛行甲板に分けられる。
今回格納すべき航空機はたったの1機のみであるため、最悪高さだけ確保すればいい。
そしてそれに合わせて、エレベーターも前部を取り払い、後部のみとする。
さらにその後部エレベーターも大きさを変更し、RAF-4Eにあった大きさに変更した。
史実との大まかな変更点のうちの一つはこのあたりだろうか。
そのまま俺はガンガンと建造を続ける。
集中して建造を続けること2週間。
進水を経て「龍驤」は竣工の時を迎えた。
竣工式典を簡単に行い、「龍驤」は正式に連合艦隊の艦船になる。
俺はすぐさま武器庫へと向かい、筐体にRAF-4Eを入力した。
出てきた機体を武器庫内部で構築する。
そこそこの時間をかけて、RAF-4Eを構築した。
俺はそれを能力を使って引っ張り出してくる。
「ほーん、これが本命か」
引っ張り出してくる途中、シクスがちょっかいをかけてくる。
「これがあの空母に乗っかるってことか」
「そうだな。あとはこの搭乗員の選定を行ったり、実際に発着艦の訓練もしたいところだな」
「それを誰にさせるんだ?」
「さぁ?誰か暇な人間がいたらだな」
「そこにいるんじゃないか?」
そういってシクスはある方向を指さす。
そこには、いつもシクスと一緒にいるオーウェンの姿があった。
「まさかオーウェンにやらせるのか?」
「あいつ、こっちに来てからずいぶんと暇しているらしいからな」
「お前も大概暇だろ」
「そんなことはない。この間の作戦だって参加してたんだからな」
「あれはいるようでいないようなもんだろ」
「そうやって俺の評価下げていくのかよ、ひでぇな」
「そうじゃねぇよ。…とにかく、オーウェンか…」
俺は一考の余地があるとして、オーウェンにも声をかけた。
「オーウェン」
「なんだ?」
「実はちょっとした頼み事があるんだが」
「ろくでもないものなんだろう?」
「そういうわけではないんだけどな」
「とにかく聞こう」
「実は、クレイル連邦に対する偵察行為の一つに、空を飛んで地上を観測するというものがあるんだ。それを行う航空機のパイロットとして頼まれてくれないか?」
「まぁ、カケルには一つ借りがある。ここは引き受けてもいいかもしれないな」
「よし、とりあえず候補一名追加だな」
こうして、RAF-4Eのパイロット候補としてオーウェンが名乗り出た。
早速オーウェンにはRAF-4Eに触れさせ、操縦の仕方などの情報を頭に叩き込んでもらった。
そのまま俺は能力を使って、俺は「龍驤」のもとへ飛んでいく。
「龍驤」の甲板にRAF-4Eを載せると、次の作業に入る。
RAF-4Eは艦載機とはいえ、戦前に完成した空母なんかには対応していない。
そのため、飛行甲板に対して大幅な改造を施すことになる。
まずは木製甲板の上に、新たに材料を敷き詰めてジェットのアフターバーナーに耐えられるようにする。そりゃジェットの温度に木が耐えられるわけがないし。
その改良版の飛行甲板には、コンクリートを使用する。
コンクリートは実際に現代の空母にも使われているものだったりするし、地上の滑走路にも使われている。
早速甲板の隅々までコンクリートを敷き詰める。
今回は重量と装甲しての役割との相談をして、50mmとなった。
そして同時にあるものを構築する。
それはカタパルトだ。
こんな短い甲板で、まともに滑走することなんてできない。
現代のジェット機なんて、大体カタパルトがないと飛び出すことすらできないからな。
そんなカタパルトを設置するために、今回建造した「龍驤」の前部エレベーターを取っ払ったのだ。
今回設置するカタパルトは飛行甲板前方いっぱいになる程の60mだ。
これでも使用されているカタパルトとしてはとんでもなく短い。
その分出力は大きくするつもりだ。
その動作方法は、電磁カタパルトの魔法バージョンとも言える。
そのカタパルトは飛行甲板の最先端、艦橋の真上から艦の中ほどまでまっすぐ伸ばす。
ここにカタパルトを設置して、RAF-4Eを打ち出すのだ。
しかし、最初から実物を設置するのは少々気が引ける。
そこで、まずは陸上でカタパルトを作成して、それを「龍驤」に載せるという方法を取ることにした。
とは言っても、やっていることは単純なものだ。
埋め込み式のレールにシャトルを装着し、それを一方方向に勢いよく加速させるというものだ。
この開発は集中して行うことで数日で完了し、それを「龍驤」に搭載した。
あとは細かな所にコンクリートを流し込み、その他アレスティング・ギアなどの空母ならではの装置を装備させる。
これらを「龍驤」に装備すると、今度は実際に試験する必要がある。
この試験は、「龍驤」の公試とRAF-4Eの飛行実験も兼ねて行う。
早速俺は新人と古参の隊員を混ぜた乗組員と、技術的な隊員、オーウェンを乗せて出発する。
「しっかし、今回は初めての部分が何個かあるから、心配なんだよなぁ」
「そんなの大体成功させてきたじゃねぇか。大丈夫だ、今回も問題ない」
なぜか暇だったから付いてきたシクスがそんなことを言う。
だけど、心配なものは心配なのだ。
そんな中、沖合に出てきた「龍驤」は、早速発艦準備に入ることになる。
まずは格納庫からRAF-4Eをエレベーターで飛行甲板に出す。
そのまま暖機運転を始め、いつでも飛び立てるようにする。
RAF-4Eの前輪部からカタパルトのシャトルに接続するひっかけ部分を出す。
そしてそのままシャトル部にひっかけて待機状態にする。
RAF-4Eの周りを何人かの隊員が行き来して、この航空機を打ち出そうと活動している。
俺はその様子を、飛行甲板脇のカタパルト射出指令所のところから眺めていた。
「そっちから見たF-4の様子はどうだ?」
そこに、すでにRAF-4Eに乗り込んでいたオーウェンが無線機を使ってこちらに連絡をよこしてきた。
「ずいぶんと立派だよ。それよりも服装のほうはきつくないか?」
「大丈夫だ。ピッタリで怖いくらいだ」
「そりゃ良かった。そんなことより、緊張とかしてないか?」
「そうだな…。してないと言えばしてないが、それよりも興味のほうが大きく出ているな」
「興味?」
「今まで俺たちは地上を這うようにして生きてきた。それが技術の粋を集めたもので大空を飛び立つなんて、なんだか夢のような話じゃないか」
「たしかにな。そうかもしれない」
「俺が飛ぶ大空っていうのは、一体どんな姿をしているのか、少しワクワクしているよ」
そんなことを言って、オーウェンはRAF-4Eを飛び立たせる準備に入る。
準備は完了した。
カタパルト脇から、射出指令所に射出の合図が送られてくる。
射出の合図を確認した隊員は射出ボタンを押す。
そうすることで、カタパルトが前進してRAF-4Eを射出することを可能にする。
350km/hを超える速度で打ち出されたRAF-4Eは、そのままエンジン出力を上げて大空へと飛び立っていく。
オーウェンはその機体性能を余すことなく引き出し、最良の飛行を行ったのだった。
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