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異世界艦隊 ―軍艦好きな奴が異世界でゼロから艦隊を作ったら―  作者: 紫 和春
本編

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82/115

79海里目 攻撃される本土

 バンイ帝国に存在する軍港「トラスティーニュ」。

 ここは街全体が軍施設で構成されている軍の街である。

 そして同時に、バンイ帝国内では最も西方戦闘海域および防衛連盟に近い場所であることも知られ、本土における前線基地ともなっていた。

 そんなトラスティーニュでは、朝日が昇るころに活動を開始する。

 今日も一日、お国のために働くという時であった。

 どこからともなく、何かの飛翔音が聞こえてくる。

 その音の正体に気が付いた時には、すでに遅かった。

 軍港近くの建物が轟音とともに、一瞬のうちに崩壊する。

 続けざまに何かがトラスティーニュへ降ってきた。

 そしてそれはトラスティーニュを無残にも破壊していく。

 トラスティーニュにある高い塔に昇っている兵士なら、もしかしたら正体が分かったかもしれない。

 しかし、そうはならなかった。なぜなら、その塔もろとも破壊されてしまったからである。


「…気球観測員より報告。トラスティーニュへの第一斉射攻撃は成功とのこと」

「了解。続けて撃て」


 その正体は連合艦隊である。

 連合艦隊は夜間のうちに敵軍基地のトラスティーニュへ近づき、日が昇ると同時に攻撃を仕掛けたのだ。

 どうやらこの攻撃は成功したようで、最初の攻撃でトラスティーニュを壊滅的な状況に追い込んだようだ。


「第二斉射、撃て!」


 合図とともに、「長門」以下38隻の一斉攻撃が行われる。

 トラスティーニュまで5kmというところまで来ているため、松型駆逐艦でも照準が可能だ。

 そのため、連合艦隊総出でトラスティーニュ攻撃を行っている。


「気球観測員へ連絡、港には艦船が停泊しているか?」


 俺は観測員に現状を聞く。


「こちら気球観測員、湾港内部には多数の艦船が停泊している模様」

「了解。松型駆逐艦は敵艦船をねらえ」

「松型駆逐艦、照準低め1」

「こっちも相手も止まっているからな、上手に当ててくれよ」


 そのまま第三斉射が行われた。

 敵の損害については気球観測員が逐一報告してくれる。


「敵基地、半分が壊滅状態。湾港内部の艦船も三分の一が破壊された模様」

「よし、艦船に関してはそのまま攻撃。軍港は再照準のち攻撃再開」


 こうして約1時間もの間攻撃を続け、敵基地は壊滅的な被害を被った。


「これで最初の目的は達成できましたね」

「あぁ、次の目標に移ろう」


 こうして連合艦隊は次なる目標を求めて南下する。

 次の目標は、トラスティーニュから南に300kmほどの所にある二つ目の軍港「ボストーラ」へと向かう。

 この軍港は旧トグラン国に近い場所にある。そのため、旧トグラン国に最も影響を及ぼしやすい港でもあるのだ。


「今から第二戦速でボストーラへ向かうと、だいたい6時間とちょっとかかりますね」

「昼過ぎに到着することになるのか。情報が届いていると考えると、何か対応されていそうな感じだな」

「その場合でも、我々は確実に突破するのみです」

「そうだな」


 そんな感じでボストーラへと向かった。

 時刻は14時近く。

 連合艦隊はほぼ予定通りにボストーラへと到着した。

 ボストーラ周辺では、特に艦船が展開されている様子はなかった。


「トラスティーニュで何か情報を発信しなかったんですかね?」

「その可能性はあるかもしれないな。しかし飛竜すら飛ばしていないとは、少しばかり警戒心が劣っているとしか思えんぞ」


 トーラス補佐官はまるで文句を垂れるように言う。

 しかしながら、その状況が連合艦隊にとっては有利な状況であるのはいうまでもない。

 俺は問答無用で攻撃命令を下す。


「全艦、右砲戦用意」

「右砲戦用意!主砲旋回、右75度!目標ボストーラ!」

「主砲旋回急げ!」


 艦隊の速度を落とし、ほぼ停止している状態にする。

 そして主砲の旋回が終わると、目標に向けた最終的な調整を行って照準を合わせた。


「全艦、照準よし!」

「全艦、主砲撃ち方始め」

「主砲、うちーかたーはじめ!」


 連合艦隊の主砲すべてから砲弾が発射される。

 それは歪な放物線を描き、ボストーラへと吸い込まれるように飛翔した。

 着弾とともに激しい土煙が港全体を覆う。

 少ししたのちに、着弾したと思われる衝撃音が小さく聞こえてきた。


「第一斉射、命中!」

「主砲装填次第、第二斉射撃て」


 連合艦隊にいる各々の艦が、自分のタイミングで主砲を撃ちまくる。

 特に装填時間の短い駆逐艦は、一分間に10発もの砲弾をボストーラへと撃ち込んでいた。

 こうして絶えず砲弾を送り届けること30分、ボストーラは艦船も含めて壊滅状態に陥る。


「気球観測員から報告、敵基地は壊滅状態に陥った模様」

「了解。全艦攻撃止め」


 俺は双眼鏡を使ってボストーラを観察する。

 基地のあちこちから火の手や煙が上がり、基地としての機能を停止しているようにも見える。


「敵基地の壊滅を確認した。現海域を離脱する。両舷前進強速」

「両舷前進きょうそーく、よーそろー」


 連合艦隊はそのまま次の目標へと向かって走り出す。

 こうして連合艦隊は次々に沿岸に置かれている軍港を撃破していく。

 その途中、クレイル連邦方面から艦隊が接近してきた。


「司令長官、クレイル連邦所属と思われる艦隊が接近してきます」

「うーん、あまり戦闘には入りたくはないんだけどなぁ」


 俺は敵の艦隊を観察しながら、そうぼやいた。


「各艦の魔力残量は?」

「『ナガト』が84%、フルタカ級が75%、テンリュウ級およびクマ級が68%、フブキ級が61%、マツ級が52%です」

「うーん、残量が意外にも心もとないなぁ」


 これはどこかで停泊して、小型高魔力変換機による補給を行わないといけなさそうだ。

 あとなんだか補給艦も欲しくなってきたぞ。


「とにかく、あの艦隊には魚雷で牽制、あとはこちらから接近して砲撃を叩き込む。魚雷は自爆距離を10kmとする」

「了解」


 戦闘が始まる。

 まずは吹雪型駆逐艦による魚雷攻撃だ。

 艦隊の予想進路に30本を超える魚雷をばらまく。

 これで当たれば御の字、当たらなくても敵の牽制にはなる。

 そうしてばら撒いた結果、敵艦隊の一隻に命中した。

 もちろん、木で出来た帆船なんかは魚雷の弾頭によって生じた圧力によって簡単に船体崩壊を起こす。正直びっくりするほど綺麗に船体崩壊したから引くほどだった。

 そのほかの魚雷も射程ギリギリだったのか、艦隊の周辺で爆発による水柱を作り出す。

 このようなこともあり、敵艦隊は混乱を起こし出した。

 ある艦は艦隊から離れようとするし、またある艦は別の艦と衝突して自滅している始末だった。

 こちらが攻撃を仕掛けようとしていた時には、すでに艦隊の半分程度しかいなかった。


「これは主砲じゃなくて副砲でもいけそうだな」


 こう判断した俺は指示を飛ばす。


「艦隊、主砲用意。『長門』のみ副砲用意」

「左砲戦用意!目標敵艦隊!」

「砲塔旋回急げ!」


 こうして砲撃によって、敵艦隊はあっけなく撃破することに成功する。

 そのまま補給をはさみつつ、残りの軍港を撃破していった。

 そしてバンイ帝国本土を一周し、作戦は次の段階へと移っていく。


「次はいよいよ作戦の最終段階、旧トグラン国領土への進撃だ」


 「長門」の作戦室に集まった連合艦隊司令部に、トーラス補佐官がこう告げる。


「現在、旧トグラン国領土では何がどのようになっているのか、まったく不明な状態である。そのため、旧トグラン国領土においては、周辺海域の偵察ということになっている」

「正直な所、バンイ帝国本土よりこちらの動向のほうが注視しなければならない事案であろう」

「考えうる最悪のパターンは、旧トグラン国領土全体が大規模な軍事拠点化していることだ」

「もしそうであるならば、我々が手を打つ方法はない」

「ですが、旧トグラン国領土を軍事拠点化するメリットはなんです?特段本土に近いというわけでもないですし」

「まぁ、司令長官の指摘も最もだ。だが、我々は考えうる最悪の状況を想定して動かねばならない。その状況の一つだと考えておいてくれ」


 そんな感じで作戦会議は進み、結局は注意して進むという結論に至った。

 そして数日後、旧トグラン国近海でそれは起こる。


「前方より正体不明の艦船接近!」

「正体不明?」


 その言葉に引っかかった俺は、双眼鏡で覗いてみる。

 するとそこには、まるで鉄の塊であると言わんばかりの「何か」が浮かんでいた。

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