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異世界艦隊 ―軍艦好きな奴が異世界でゼロから艦隊を作ったら―  作者: 紫 和春
本編

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78海里目 決行する作戦

 テラル島を出港した連合艦隊の旗艦「長門」では、司令部の面々が作戦室に集合していた。


「改めて、今回の作戦の確認をしようと思う」


 そう切り出したのはトーラス補佐官だ。

 世界地図を前にして、トーラス補佐官は指し棒を使って作戦の概要を説明し始める。


 今回の作戦は陸軍上陸作戦の前段作戦ということで、「洋上の竜巻作戦」という名前がついている。

 さて「洋上の竜巻作戦」だが、作戦内容はいたって簡単だ。

 まずは敵の本拠地があると思われるバンイ帝国周辺の海軍戦力を漸減する。そのために西方戦闘海域の先へと出向き、バンイ帝国領域へと侵入、そこに展開する海軍艦艇を撃沈させるのだ。

 ルートはリクア共和国からバンイ帝国南部へ抜け、本土の外周を回るようにゆっくりと移動する。迎撃のために出撃してきたバンイ帝国の艦隊を各個撃破するためだ。

 こうして南部から北部へと出てくると、そのまま旧トグラン国領土へと向かい、ここにいる艦隊を撃破して帰還するという流れだ。


「今回、かなりの長期戦になることが確定している。一度リクア共和国で補給を済ませたら、あとは敵地で過ごすことになる。そのため、西方戦闘海域以降は常時警戒態勢になるだろう。問題は…」

「敵艦艇がどれだけいるかってところですね」

「あぁ。連合艦隊の手に負えない程の艦艇が来た場合にはどうしようもない。それに、敵艦艇のほとんどがクレイル連邦に移動していた場合も我々にはどうしようもない」

「後者の場合だったら、そのあとの一型タンカー船団は連合艦隊で護衛するしかなさそうですね」

「そうだな」


 こうして一度リクア共和国で補給を済ませると、そのまま西方戦闘海域のほうへと向かっていくのであった。

 数日の時間をかけて西方戦闘海域に到着した連合艦隊は早速周囲の探索を開始する。


「総員、対水上警戒を厳となせ」


 ここからは、常に警戒を続ける必要がある。これまでの警戒とは異なる神経を使わなければならないのだ。

 まずはこの西方戦闘海域を突っ切り、バンイ帝国に近づかなければならない。

 ここで俺は「古鷹」と「加古」、そして「長門」にも搭載した索敵・警戒・観測用の気球を上げるように指示した。

 3つの気球が大空に浮かび上がり、周囲の警戒に入る。


「こちら『ナガト』観測気球、周囲には何も見当たりません」

「『フルタカ』、『カコ』ともに周囲に敵影らしきものは見当たらないと言っています」


 気球が上がり、最初の報告は空振りだった。


「まぁ、仕方ないな。ここで見つかるとは思ってなかったし」

「しばらくはこのままで観測を続けよう」


 トーラス補佐官の言う通り、このまま連続して観測を続けることにした。

 こうすることで、何か見つかるかも知れないと判断したからだ。

 しかし、そのまま時間だけが過ぎ、西方戦闘海域も敵側に抜けようとしているところまで来てしまった。

 連合艦隊司令部は作戦室に集合し、現在までの状況と今後の艦隊の動きを確認する。


「西方戦闘海域にはクレバイルおよびバンイ帝国の艦艇は一切見受けられなかった」

「我々の予想では、西方戦闘海域に艦隊を配備して我々の動向を監視しているものだと思っていたのだが、どうも違うようですな」

「このままではバンイ帝国本土のに到着してしまいますぞ」

「そうだ。そこで作戦の状況を進める」


 そういってトーラス補佐官は別の地図を張り出す。


「これはバンイ帝国の地図だ。約30年前と少し古いものだが、今でも十分に使えるはずだ」

「これがどうかしたんですか?」


 俺は思わずトーラス補佐官に尋ねる。


「この地図には一般の町や港の他に、軍関係の施設の情報も少なからず書かれている。もしこの軍施設が現在も使われているとしたら、攻撃目標としては有効なものとなる」

「なるほど」


 確かに地図の所々には、赤い印で軍施設を表す記号が書かれていた。

 特に海のそばにある軍港と思われる場所は、恰好の目標である。


「今後はこの地図を元に作戦を遂行、攻撃目標として艦砲射撃をすることを提案する」

「わかりました。連合艦隊司令長官として承認します」


 俺はその提案を受け入れることにした。


「あとは細かい座標がわかるかどうかなんだがな」


 トーラス補佐官の心配事はそこである。

 現在、連合艦隊の艦艇には標準装備として、魔法版GPSである魔波式位置測定機構が装備されている。これにより、防衛連盟内を航行する艦艇はある程度正確な位置情報が取得できるようになっている。

 歴史的な観点から見てみると、魔波式位置測定機構は防衛連盟が発足する遥か前、すなわち世界が二分される前から使われる技術なのだ。

 だが魔波式位置測定機構は高所に建てられた2ヶ所以上の塔から発せられる魔波を使って位置を特定している。そのため、2ヶ所から届く魔波がほぼ平行であったり、水平線の向こう側に届かなかったりした場合には正しい位置が取得できないのだ。

 歴史的なことから見たとき、魔波式位置測定機構がそのままバンイ帝国でも使用されていた場合、うまく位置がわかるだろう。しかし何らかの方法を使って魔波式位置測定機構が今の防衛連盟に使えなかったら、その時は古臭い方法を使って位置を特定しなければならない。

 というか現状で天測航法による航海に頼っている状況である。


「まぁ、その時は仕方ないとしよう。時にあきらめも肝心だ」


 そうトーラス補佐官はぼやいた。

 そしていよいよ西方戦闘海域を横断し、バンイ帝国領域に入ろうとしていた。


「ここからは完全な敵地だ。気を引き締めていくように」

「了解」


 そうしてバンイ帝国領域に差し掛かったときであった。


「司令長官!魔波式位置測定機構に反応が出ました!」

「本当か?」

「間違いありません。これはバンイ帝国に存在する位置測定機構から発せられる魔波を拾っています」


 これにより、正確な位置を確かめることができる。


「今後の艦隊運用に期待が持てますね」

「あぁ。クレバイルの連中、位置測定機構の設定を変更していなかったな」

「なんにせよ、ありがたい限りです」


 連合艦隊は迷うことなく、目的地に近づくことができるだろう。

 その時、僚艦から通信が入る。


「方位010から複数の艦艇が接近しているのを確認」

「総員戦闘配置につけ」


 俺はすぐさま指示を出す。

 気球もすぐに戦闘態勢に入れるように準備をする。

 そして俺は「長門」の艦橋から双眼鏡を使って水平線の向こうを眺めた。

 水平線ギリギリから、マストのようなものが出ているのが確認できる。

 そのマストには、クレバイルの旗とバンイ帝国を示す旗が掲げられていた。


「全艦砲撃戦用意」

「砲撃戦用意!」


 俺の合図とともに、主砲が前方の艦艇に向けられる。

 レーダーによる測距を行い、光学測距を補助に使う。

 こうして求められた諸元をもとに、主砲の方向と仰角を設定する。


「主砲準備よし!」

「『長門』主砲撃ち方始め」

「『ナガト』主砲、うちーかたーはじめ」

「てーっ!」


 爆音と衝撃波とともに、砲弾が飛んでいく。

 初弾は至近弾であった。


「もっと引き付けたら巡洋艦、駆逐艦も順次射撃開始せよ」


 こうして敵艦隊と近づくにつれ、連合艦隊の攻撃は激しさを増していく。

 そして反航戦になろうかというところで、敵艦隊はすべて沈んだ。


「敵地での初戦は勝利となったか」

「まだ油断はできませんからね」

「うむ。ここからが本番といっても過言ではない」


 そうトーラス補佐官と話をする。

 ここは敵地。

 連合艦隊は止まることはない。

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