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異世界艦隊 ―軍艦好きな奴が異世界でゼロから艦隊を作ったら―  作者: 紫 和春
本編

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75海里目 完成そして招集

 それから数日。

 俺は付きっ切りで「長門」の上部構造物の建造に勤しむ。

 まずは主缶機を搭載し、その上に飾りだけの煙突を生成する。

 そして天龍型や球磨型にも搭載している14cm砲である副砲を、船体側面部に搭載した。

 これは砲郭式であるため、軽巡洋艦に搭載している主砲塔は一切使えない。

 そのため手動で動かせられるように改造し、各砲塔を自在に動かせるようにした。

 副砲の設置が完了したら、俺は戦艦の最大の武器である主砲に手をつける。

 「長門」の主砲は41cm連装砲だ。これだけの口径の主砲を作ったことはもちろんない。

 そのため、俺は射撃試験場にて主砲である41cm砲を製造し、射撃してみる。

 20m近い主砲を支え、旋回させるだけでも、相当巨大なものになった。

 射撃試験場の拡大工事を行いながらも、試験機に41cm主砲を設置する。

 そして主砲に砲弾と装薬を装填し、射撃準備は完了だ。

 主砲は仰角を取らずに水平に照準する。


「主砲装填よし、照準よし。射撃開始」


 主砲から耳をつんざくほどの轟音があたりに響き渡る。

 砲口から巨大な発砲炎が噴き出し、砲弾を遠方に飛ばす。

 観測用のトーチカから砲弾の様子を確認していた俺は、水柱が立つのを確認する。

 しかし、ここで一つ気になることが思い浮かんだ。


「着弾まで早くね?」


 そう、主砲発射から着弾までの時間が、計算によって求められる推定飛翔時間より短いのだ。

 ただ、誤差の可能性もあるため、もう一度主砲を射撃して確認してみる。

 時間を測定してみると、今度は推定時間より長い。


「なんでだ?」


 俺は主砲と砲弾、そして装薬の様子を確認してみる。

 主砲の寸法には間違いはない。同じように砲弾や装薬に問題はないようだ。

 ならば原因は何か。

 実際に装填した時に俺は気づいた。


「ライフリングと砲弾の間に隙間がある…?」


 それは一目見ただけでも分かるほどに、砲弾と刻まれたライフリングとの間に隙間が存在していたのだ。

 この隙間があることで、装薬の燃焼圧力が砲弾を押し出す力が減り、その隙間から圧力が分散してしまう。

 本来、ライフリングと砲弾の間にはある程度の隙間は許容されているが、今回の場合、それを上回るほどの隙間が存在しているのだ。


「どうしたもんかな…」


 俺は軽く考え、一つの解決策を講じる。

 単純に砲弾の弾帯を厚くすることで解決した。

 次の試射では、特に問題らしきものは見当たらない。

 こうして「長門」に搭載する主砲は完成した。

 主砲は、砲塔にも装甲を施している。

 これに準じて砲塔に装甲を貼り付け、主砲を4基分設置した。

 あとは高角砲や機銃、探照灯や各種レーダーを設置していく。

 こうして細かいところを作っていって、ついに完成である。


「できた…。ついに戦艦が…」


 俺は感無量のあまり、泣き出しそうになってしまった。

 しかし、そんなことをしてる暇は俺にはない。

 すぐさま次の仕事に取り掛かる。

 執務室には、予備役士官の書類が山のように積まれていた。

 これらに目を通し、予備役士官の採用の有無を確認するのだ。


「うーん、これは面倒だぞ」


 まずは予備役士官に関する法律や待遇、軍内部での扱い方などの書類から、実際に予備役として採用できる人物データなどが一覧として用意されている。

 俺は書類の内容を軽く読み流し、漠然と把握した。

 予備役士官は通常の士官よりかは低い階級として、主に後方での勤務を中心に行う。場合によっては前線にも駆り出され、その場合は准士官や下士官として兵を指揮する。

 しかし、連合艦隊は防衛連盟軍よりも慢性的な人手不足である。この際准士官やら下士官やらで話をまとめている場合ではない。

 というわけで予備役士官には駆逐艦に配属させ、そこで新入隊員に混じって実践経験を積ませながら教育を施していくことにした。

 あとは、リスト化された予備役士官の一覧から欲しい人材を選択する。


「こうして見ると、意外と年齢に幅があるんだなぁ」


 そう、若いのは俺と同年代くらいから40代までいる。

 予備役士官の制度を考えるならば、40代でも問題はないのかもしれない。

 しかし今回は実戦が前提の招集であるため、初老ではつらいところもあるだろう。

 だがそんな贅沢も言ってられない。

 俺は若い士官を中心にバランスよく人数を選択していく。とは言っても、ほとんどの予備役士官を招集することになったが。

 招集する予備役士官の一覧を防衛連盟本部に送ったところで、俺は旗艦と連合艦隊司令部の機能を移譲する。今後は「長門」を中心に艦隊を運営していくことになるだろう。

 こうして招集した予備役士官516名をテラル島の運動場に集める。

 俺は整列している予備役士官の前に設置してある指揮台に上る。


「予備役士官の皆さん、本日は招集に応じていただき感謝します。ご存じの通り、我々防衛連盟はクレバイルと戦争をしているさなかです。我々連合艦隊は、防衛連盟軍の実行部隊としてクレバイルに進攻、上陸して敵地を抑えるという作戦を行います。皆さんには連合艦隊に所属する艦艇に搭乗し、敵地へ陸軍を護衛する役割を担ってもらいます。そのために、皆さんには指揮する立場ではなく、一人の兵士として艦隊を動かしてもらおうと考えています。今回の役職には不満などがあるかもしれませんが、どうか防衛連盟のために働いてもらいたいと思います」


 このような演説をし、俺は指揮台から降りる。

 あとは人数ごとに割り振って、各艦に連れていくだけだ。

 その時、予備役士官の中から誰かが俺のほうに向かってやってきた。

 ウォルシュタインである。


「リー!」


 ウォルシュタインは俺の偽名を呼ぶ。


「なぜお前がここにいる!?しかも重要そうなポストにいるじゃないか!」

「ウォルシュタイン、君も招集に応じたのか。この間まで連合艦隊に反対していたんじゃなかったか?」

「そんなことはどうでもいい!僕の質問に答えろ!」


 ウォルシュタインは今にも殴りかかってきそうな感じで、周りの隊員に抑えられている状態だ。


「分かったよ。まず最初に言っておくが、俺の本当の名前はリーじゃない」

「やはりな!お前のような貴族は存在しないことくらい知っていたからな!」

「俺の本当の名前は海原駆、連合艦隊司令官で流浪者だよ」

「は?」


 そこまで聞いたウォルシュタインは抵抗するのをやめた。


「お前が流浪者…?」

「そうだよ。いままで気が付かなかったでしょ」


 そういって俺はウォルシュタインに背を向ける。


「ウォルシュタイン、ここに来たからには全力で勤務することを期待しているよ。ここはもう、最前線なんだからな」


 そういって俺は連合艦隊本部庁舎に戻っていった。

 こうして連合艦隊における人員の確保は完了だ。

 それからは駆逐艦や巡洋艦に搭乗していた隊員を「長門」のほうへ移動させたり、予備役士官を駆逐艦に配属させたりと、人員の再編成を行った。

 こうすることで、艦隊の練度を平均化し、一定の戦力を保持するのが狙いだ。

 しばらく停泊した状態での訓練を行ったのち、「長門」の公試運転と連合艦隊の熟練度向上を目的とした訓練のために、全艦に出動準備を通達する。

 日程は2日ほどを予定した。

 翌日には艦隊を出動させ、南方の沖合に出る。

 こうしてみっちりと訓練を行うことで、クレバイルに対抗できるようにしていく。

 大規模反攻作戦は目前に迫ってきている。

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