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異世界艦隊 ―軍艦好きな奴が異世界でゼロから艦隊を作ったら―  作者: 紫 和春
本編

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73海里目 続ける建造

 俺は魚雷の改良を続けると同時に、平行してあるものを作っていた。

 それは連合艦隊の新たな艦艇である。

 今回新たに建造するのは、球磨型軽巡洋艦を2隻と吹雪型駆逐艦4隻だ。

 吹雪型駆逐艦はこれまで建造した艦型をコピーして、細部をいじればいいだけである。これに関しては特に問題はないだろう。

 一方で球磨型軽巡洋艦はパッと見は天龍型に似ているが、砲の位置や船体などかなりの部分で異なっている。

 そのため、建造には注意を払う必要があるのだ。

 まずは天龍型の設計をもとに、球磨型の図面を軽く引く。それを実際の配置を参考にしながら本設計として設計図を完成させる。

 こうして出来上がった設計図を持って、俺は建造ドッグに向かう。

 ドッグに到着すると、俺は造船用船台に竜骨(キール)を設置し、全体の長さを決定する。

 それが出来たら船殻を設置し、梁や甲板を設置していく。

 この日は船体の大まかな設置で終わる。

 翌日も俺はドッグへと向かい、建造の続きをしていく。

 球磨型はよく見ると、船体の左右が非対称になっている。その辺も気を付けて建造を続けていかないと、大変なことになるだろう。

 俺は慎重に建造を進める。

 こうして甲板を張り終えると、船体は完成だ。

 早速進水させる。

 今回は観客はなしで進水式を執り行う。

 設置していた船台を滑らせ、水面に浮かべる。どうやら浸水の類いは起きていないようだ。

 球磨型軽巡洋艦1番艦「球磨」の進水である。

 俺は能力を使って「球磨」を埠頭に持っていく。

 「球磨」を埠頭に接岸すると、そこで上部構造物の建造に入る。

 上部構造物の中でも艦橋は天龍型に近いが、砲や魚雷発射管の位置、艦後部のマスト部分の構造は天龍型と異なる。

 その辺を気を付けて建造を続けた。

 数週間で上部構造物も合わせて完成する。

 あとは公試を経て正式に連合艦隊に加わることになるだろう。

 だがその前に、年を越した。

 俺は新年恒例の会合に参加する。

 新年会合では防衛連盟軍総司令長官のフリード・シュトロンハイム大将が演壇に上がり、新年の演説を始める。


「諸君、新年おめでとう。昨年の新年会合では、クレバイルに対して大規模な作戦を決行するという話をしたと思う。しかしそれは現実にできず、結果としてこの1年は手をこまねいていた。参謀本部としても、今後の活動方針は大部分が未定という状況に陥っている。だが諸君らには大規模作戦の準備を続けていてほしい」


 そういってシュトロンハイム大将は俺のほうを見ながら言う。俺何かしたかな?

 その後も演説は続き、それが終われば立食パーティーである。

 俺は出された料理を食べていると、見たことある人物がやってきた。


「やぁ、カケル」

「ダリ中佐、お久しぶりです」


 いつも頼りになる人のダリ中佐である。


「去年はすさまじいことをしてくれたな」

「と言いますと?」

「さっきのシュトロンハイム大将の演説を聞いていたかね?」

「えぇ、まぁ」

「なんて言っていたか覚えているか?」

「確か、去年は大規模作戦が実施できなかったとか…」

「あれ、前に君が防衛連盟の大型艦艇建造中止と陸軍戦力の拡大を指示したせいでな、参謀本部は大混乱に陥ったんだよ。これまで想定していた作戦要綱がただの紙くずになったし、新しい作戦も参謀本部主体で立案できなくなった」

「いやぁ、すいません」

「まぁ、今は書面で作戦計画を立案しているからいいものの、いい加減君が想定する連合艦隊の艦艇を揃えてくれ。でなければいつまでも作戦を実行に移すことができない」


 俺はダリ中佐に説教気味に言われる。

 ここまで言われると、俺も決断せざるを得ない。

 現在建造している球磨型軽巡洋艦2隻と吹雪型駆逐艦4隻は早急に建造し、民間の造船所で建造を続けている松型駆逐艦6隻も早めに竣工させる。

 そして民間造船所に関しては、戦時標準船を建造してもらうことにしよう。

 この戦時標準船は防衛連盟陸軍の戦力を輸送するためだ。これも俺のほうで基本設計及び建造し、量産に入ってもらおう。

 そして連合艦隊の戦力をもう少しだけ拡大する。

 戦艦の建造だ。

 戦力の増えた連合艦隊をまとめあげるためには、大型艦船が必要になる。そこで戦艦を建造し、これをもって連合艦隊第一戦隊としよう。

 そうすると問題は乗組員の問題だ。

 そろそろアルトゥル教徒を招集するのも限界に近い。

 そこで何かアイデアがないか考えた。

 すると、あるものを思いつく。


「ダリ中佐、相談事なんですが」

「なんだね?」

「現状、戦力を拡大し続けると乗組員が不足すると考えられます。そこで一つ提案なんですが…」

「うむ、言ってみたまえ」

「防衛連盟にいる予備役士官を乗組員に充てたいのですが、どうでしょう?」

「…」


 ダリ中佐は唖然とした。

 まぁ無理もないだろう。予備役士官は本来後方での勤務を想定しているもので、前線に出るものではない。

 だが、ここはそれも動員してでもやらなければならない。


「自分は総力戦というものがあまり好きではありません。しかしここは持てるものを最大限利用しなければ、勝てるものも勝てないと考えます」

「それはそうだが…」


 ダリ中佐は少しうろたえる。


「お願いします」

「…わかった、参謀本部に持ち帰って検討する」

「ありがとうございます」


 こうして予備役士官の参入を待つのみである。

 その間に、俺はさっさと建造に勤しむことにした。

 まずは球磨型軽巡洋艦1番艦「球磨」の艤装工事を終わらせることに集中しよう。

 やっていることは天龍型のそれと似ているから比較的迅速に建造ができる。あとは砲の設置位置に気を付けてやれば完成だ。

 しかし勢いで射出機を設置したはいいものの、実際に使う日は来るのだろうか。もし今後も航空機を使う予定がないのだとしたら、これは降ろす方向になるだろう。


「とりあえず、『球磨』は完成だな」


 そして俺はもう一度建造ドッグへと向かい、次の艦を建造する。

 今度は球磨型軽巡洋艦2番艦の「多摩」だ。

 船体の構造や主砲、上部構造物までまったく同じものを建造する。

 いわゆるコピペだ。

 艦をコピペするのはどうかと思うのだが、それで建造期間が短縮するのならば安いものである。

 しかし弊害もある。

 建造には大量の魔力を消費する。そのため、船体を構築するだけで全身から力が抜け、しばらくの間動けなくなるのだ。

 正直なところ、一歩間違えれば命を落としかねない。

 しかし、それでも俺は連合艦隊の戦力増強のため、防衛連盟のために艦を建造する。

 数日の時間をかけて、「多摩」の艤装まで終わらせた。


「よっしゃ、次は駆逐艦だ」


 俺はその勢いのまま、駆逐艦の建造に入る。

 駆逐艦の船体は軽巡洋艦に比べて小さめだ。同じようにコピペするにしても軽巡洋艦よりかは簡単にできる。

 建造ドックには吹雪型駆逐艦が並んで建造されていた。

 1隻ずつ建造するのも時間がもったいないし、まとめて建造できる部分は一緒になって建造することにする。

 その間にも、松型駆逐艦の建造を行っている造船所に足を運んでは、現在の進捗状況を聞いたり、搭載する主砲や機関を納めに行ったりした。

 こうして1ヶ月、みっちりとやったことで無事に4隻を完成させることができた。

 さらに、民間造船所で建造中の松型駆逐艦も竣工が間近に迫る。


「よし、それじゃ…」


 このタイミングで、俺は戦時標準船の建造に着手した。

 建設の際に要求される性能は、最大1000人を搭乗できる能力、加えて騎兵隊用の馬や砲兵付属の野砲などを同時に搭載できること、それらを海上で発進させる能力を持つこと、帆船と同等の速度を出せることである。


「…あれ?これだけ聞いたら神州丸っぽいな」


 その性能から、俺は戦時標準船の大まかな設計を行う。

 しかし初めてオリジナルの設計をするから、うまくいけるか心配だ。

 諸元は、全長約150m、全幅約20mとした。この位だと、神州丸とほぼ同じだから総トン数は約7500tほどになるだろう。

 この設計を元に、まずは模型を作ってみる。その際、船室や貨物室、機関の様子も一緒に確認しておく。

 戦時標準船とは言っても、一応最低限の人員を安全に輸送する構造はとってある。この世界では敵の魚雷や航空機の心配はないからな。

 これを確認したら、いよいよ本番だ。

 俺はドッグへ向かい、建造を開始した。

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