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3海里目 老人と子供

後書きに新コーナーを設置しました。

不定期で書いていこうと思います。

「儂はベイエル、よろしくなカケル」


 ハジーサ島の島長、ベイエルさんに歓迎された。

 あぁ~、良かった。変な事言われなくて。


「とりあえず、中に入ってくれんかの。詳しい話をせねばな」


 俺達は家に入り、そのままリビングに案内された。


「まぁ、適当な場所に座ってくれ」

「あ、はい」

「して、本題なのじゃが、お主はどんな『力』なのじゃ?」

「と、言うと…?」

「流浪者ってのはこの世界に来る時、何かしらの『力』を持ってやってくるんじゃ。右か左の手の甲に紋章が浮き出ていると思うんじゃが…」


 俺は改めて両手の甲を見るが、別に何か変化してはいない。


「うむ…、まだ現れておらんのかのぅ。おそらく強い部類の『力』なのかもしれん」

「えっ、そうなんですか?」

「今までの経験上としか、言いようが無いがの。なんでも、この世界に転生してから紋章が現れるまでの時間に比例して、『力』はより強力なものになるとか」

「せめて、カケル君の『力』の種類でも分かれば…」

「残念じゃが、そればっかりは現れてみんと分からんことじゃ。待つしか無かろう」


 俺の『力』は一体何なのか。何となく不安になってしまう。


「まぁ、この話はまた後でな。それに、お主にはハジーサ島やシドラール国、ひいてはこの世界について話さんといかんのぅ」


 そして、島長さんはハジーサ島の事から話し始めた…。



 ―1時間後―


「そこでな、儂は言ったんじゃ、『剣なんて捨ててかかってこい、イナック』とな。そしたらあやつ、雄叫びを上げながら突っ込んで来たと思ったら、前のめりに倒れて気絶しおっての。あれを思い出すたび、笑えてくるわい」


 島長は笑いながら言った。


 …何故だ、どうしてこうなった。

 よし、ゆっくり思い出そう。


 最初はハジーサ島についての話。次にシドラール国、この次が周辺の国々だったはずだが…。えーっと、隣国のリクア共和国の話になった時か?島長さんがライバルと決闘して島長さんの勝ち、という流れだったはず…。

 ていうか、リクア共和国に至るまでも大体は島長さんの体験談の方が多かったような…。


「おっと、随分と話し込んでしまったようじゃな」


 あぁ、やっと終わった…。



「では、カケル君の『力』はまた後ほど」

「うむ。儂も迂闊に報告できんからの」


 玄関で言葉を交わす、島長さんとリフレットさん。


「む、そういえば」


 なんか島長さんがいきなり何かを思い出して、奥の方に消えていった。

 えっ何、話終わったんじゃないの?


 暫くして、島長さんが二冊の本を持って、戻ってきた。


「これは、10年程前に亡くなったある流浪者が遺したと言われている本じゃ。儂の知り合いから譲ってもらったんじゃが、なんて書いてあるかさっぱりなんじゃ。もし良かったら持っていってくれ」


 いや、島長さんの要らないヤツ貰ってもしょうがないと思うんだけど…。

 そんな事を心の中でボヤきながら本を受け取る。なんだか、どっかで見たノートに似てると思ったら…。


「…日記?」


 少し掠れてはいるが、ノートの表紙に『日本語』でしっかりと書かれていた。


「カケル君、この文字が読めるのかい?」

「はい、母国語で書かれています」

「おぉ、それは良かった。尚更この本はお主に渡すしかないのぅ」


 俺としても、このノートの中身が気になるので、なんだかとてもありがたい気分だ。


「ありがとうございます、島長さん」

「いや、礼には及ばんよ」


 そうして、俺とリフレットさんは島長さん宅を後にした。



「父ちゃん、兄ちゃん、遅い!」


 あ、忘れてた。


「いやぁ、ベイエルさんの話を聞いてたらからね、長引いてしまったよ」

「皆、桟橋の方に行っちゃったよ」

「そうか、じゃあ行こうか」


 と言うわけで、広場に来たときにチラッと見えた、商店を通って桟橋に向かった。商店は、イメージとしては長屋みたいに横長く出来ていて、そこに屋台を出している感じだ。

 商店の前を通る時も、いろんな人に出会った。

 魚屋のクラントさん、雑貨屋のアミントさん、被服屋のスタールさん、道具屋のライディさん、商店に買い物に来る島の人たち。

 俺の噂が広まっているため、皆が皆、俺を見てくるから緊張してしまった。


 あぁ、流浪者ってこんな感じなんですね…。


 桟橋に着くと、子供達が何かを投げて遊んでいた。


「連れてきたよー!」


 カイ君が呼ぶと、子供達は一斉に走ってきた。


「コイツ流浪者なの?」


 うぉいチミ失礼だなおい。


「あったり前だよ、俺見てたもん」

「ホントにー?」

「ホントだよ、なっ父ちゃん?」

「そう、本当の話だよ」

「なんかフツー」


 そこの男子二人、黙って聞いてりゃ失礼な事ばかり言いやがって…。

 ま、俺も年下の子供に喧嘩売るような人間じゃないし、許すけどね。


 男子二人の名前はトランスとホラム、女子はミーラとアスラと言う名前だ。

 カイ君はいつもこのメンバーで遊んでいるらしい。


 今日は水切りをして遊んでいると言う。俺は強制的にさせられた。

 結局、俺が6回の記録を出して、終わった。

『物語を1.3倍位楽しむための豆知識コーナー』

 島長さんは博学で、島の子供達に読み書きや計算の仕方を教えている。また地理や歴史にも精通している。

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