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異世界艦隊 ―軍艦好きな奴が異世界でゼロから艦隊を作ったら―  作者: 紫 和春
本編

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106/115

103海里目 作戦は2度目

 それから1ヶ月。

 連合艦隊と防衛連盟海軍、そして陸軍連合部隊は一緒になって東方戦闘海域を走っていた。


「今のところは問題はなさそうですね」

「あぁ。だが、またどこからクレイル連邦がやってくるか分からない。警戒は厳重にしておくべきだろう」

「そうですね」


 新たな連合艦隊の旗艦となった「大和」の艦橋でそんなことを話す。

 連合艦隊は全艦出撃し、防衛連盟軍を内包する輪形陣によって艦隊を護衛していた。

 今回、「龍驤」はどうしようか悩んだが、RAF-4Eによる偵察を行う可能性に言及して、今回は連れてきている。

 ちなみにオーウェンの後ろを担当する人員は、この間テラル島の兵学校を卒業した隊員を充てることで補完した。オーウェンからは、最初からそのようにしておけばいいものをと言った文句を言われたが。

 さて、「丘陵の嵐」作戦に参加している部隊は、順調に東方戦闘海域を進んでいく。

 そのままクレイル連邦の領海域に進出した。


「おかしい…。敵の気配がしませんね」

「確かにな。ここまで我々に入られているというのに、何にも反応がない」


 俺とトーラス補佐官は訝しげに言う。

 ここまで敵の本隊はおろか、警戒の艦すら見当たらない。


「これは何か策を講じているのかもしれないな」

「しかし、この間の偵察活動では敵の本隊らしきものは軍港にいたじゃないですか」

「確かにそうなんだが…」

「もしかして動かす人がいないとかじゃないですよね?」

「まさか。そんなことがあるはずない」

「でも仮にそうだったとしたら、我々に利があることになりますけどね」


 そんな話をしていると通信を担当している隊員から報告が飛んでくる。


「司令長官!前方の駆逐艦から、艦隊11時方向に正体不明の艦影発見との報告が!」

「…人員削減してたわけじゃないみたいですね」

「そのようだな」

「規模は?」

「現在確認できるだけで20隻ほどとのことです」

「了解した。防衛連盟艦隊は面舵で逃げるように指示。連合艦隊は左翼側の艦船で迎撃に出るように通達。残りの連合艦隊は防衛連盟艦隊に追従せよ」

「了解!」

「我々も行きましょう」

「この艦でか?」

「えぇ、一つ確かめたいことがあるので」


 「大和」は舵を切り、敵艦隊のいる方向に向かう。

 前方では駆逐艦と軽巡洋艦が俺の指示のために一時的に速度を落としている。

 そしてそこに「大和」が合流した。

 その後、あることをして、連合艦隊は再度出発する。

 一方で、クレイル連邦艦隊はこちらの様子に気付いたのか、一気に接近してくる。

 連合艦隊は、そんなことを気にすることなく悠々とクレイル連邦艦隊に接近していく。

 その距離は5kmを切った。

 この距離になると連合艦隊は攻撃をすでに始めているくらいの距離だが、主砲などは一切動かさずに、ただ前進を続けているのみである。

 次第にその距離は縮まっていき、帆船が得意とする距離まで近づいてきた。

 敵艦隊はここぞとばかりに左舷側の主砲を放つ。

 しかし、連合艦隊に命中弾はなく、水柱が立つばかりであった。

 クレイル連邦艦隊は無我夢中で、主砲を撃ち続けていく。

 しかし、そのどれもが命中しているようには見えなかった。

 クレイル連邦の指揮官たちは混乱していた。

 明らかに命中していると思われる弾も通り抜けているように見えるとの報告が入ったからだ。


『これは明らかにおかしい!援護の要請をする!』

『援護の要請って何をするんだ!それがはっきりしないと援護のしようがない!』

『とにかく弾を撃つんだ。そうすればきっと何か変わるはず』

『敵の艦隊が通り過ぎてしまう。反転してあとを追いかけるべきだ』


 敵艦隊の通信を、俺は通信傍受装置で聞いていた。


「いいねぇ、いい感じに混乱してるよ」

「まったく、司令長官も人が悪い」

「人が悪いってなんですか。頭を使ってだましていると言ってほしいものですね」

「調子がいいな、まったく」

「さて、そろそろ反撃に出ますか」


 俺は傍受装置のスピーカーを切って、艦橋に上がる。


「主砲、右砲戦用意」

「主砲旋回!」

「主砲装填よし!」

「主砲、射撃準備完了」

「主砲、一斉射。撃て!」

「撃ーっ!」


 主砲から耳をつんざくような衝撃音が放たれる。

 その砲弾は、敵艦隊から見て「右側」から飛んできた。

 一斉に水柱が立ち上がり、敵艦隊を混乱に陥れていく。


「通信傍受のほうはどうだ?」

「阿鼻絶叫です。指揮系統がどうこうのレベルではありません」

「そりゃそうだろうな。本来いないはずの方向から砲弾が飛んできているからな」

「それもこれも、彼のおかげってわけか」


 そういってトーラス補佐官は艦橋の後ろの方を見る。

 そこには、集中して能力を発揮しているロアンの姿があった。

 そう、敵艦隊が狙っていたのは、ロアンが作り出した幻影の連合艦隊であり、本当の連合艦隊は敵艦隊の反対側でロアンの能力によって隠れていたのだ。


「本当に艦隊まるごと偽ることができるとはな」

「ロアンの能力を見た時に、何かに利用できると思ってたんですよ」

「まったく、司令長官の発想の奇抜さには驚かされるよ」


 トーラス補佐官は関心したように言う。


「しかし、よくロアンのことを説得できたな。彼、あんなに能力は使いたくはないなんて言っていたのに」

「ロアンには俺の仕事を見させていました。それが何らかの影響を受けたんでしょう」


 そんな感じで、俺とトーラス補佐官は遠巻きにロアンのことを見る。

 ロアンはそんな二人の会話など耳に入っていないようで、自身の能力の維持に務めていた。

 だが、もうそろそろいいだろう。

 俺はロアンに近づき、その肩に手を置く。


「ロアン、能力を解除してくれ。任務は立派に果たした」

「はい…」


 幻影の連合艦隊は、霧のごとくその形を崩壊させ、何もなくなった。

 一方で反対側にいた本当の連合艦隊の周囲を、雲のようなものが覆いかぶさり、そして流されていく。

 こうして、まるで連合艦隊が消えたあとに瞬間移動したように見えるだろう。


「ロアン、お疲れ様。ゆっくり休むといいよ」

「分かりました…」


 あれだけの能力を行使したのは初めてなのか、ロアンは疲れ切ったように座り込んだ。


「よし…。全艦、そのまま攻撃を続行せよ」

「了解、主砲装填急げ」


 戦艦から駆逐艦まで、ありとあらゆる主砲や副砲から砲弾が敵艦隊を襲う。

 「大和」の主砲によって、船体が爆発するように崩壊したり、駆逐艦の攻撃によって舷側に穴を開けられ沈没していく帆船たち。

 こうして、ものの1時間もしないうちに敵艦隊の全滅を確認したのだった。


「敵艦隊すべての撃沈を確認!」

「よし、すぐに防衛連盟艦隊と交信。位置情報を取得し、すぐに合流せよ」

「了解」


 こうして半日ほどかけて、防衛連盟艦隊と合流することに成功したのだった。

 そしてさらに数日。

 本隊は、ついにクレイル連邦本土へと到着した。


「二度目の来訪ですね」

「そうだな。今度は反撃の矢を持ってやってきたといったところだな」

「ここから本番ですね」


 なんだか緊張してきたな。

 しかし、そうは言ってられない。

 ここからが本番なのだから。

 まずは、クレイル連邦最大の軍港を攻撃する所から始まる。

 これにはまず戦艦によるアウトレンジ戦法が取られる。

 こうしてじっくり1時間攻撃をしたところで、巡洋艦と駆逐艦による近接砲撃を行う。

 これにより、軍港内にいる帆船を一つ残らず撃沈させるのだ。

 そうして、この軍港は完全に無力化された。


「さぁ、ここからが本題だな」


 まずはいつものように、一型タンカーから陸上部隊を上陸させる。

 今回はこの軍港周辺の砂浜から上陸するのだ。

 この作業を一昼夜行った後、今回の本題に移る。


「うまく行ってくれよ」


 俺は祈るように、前進した。

本作を読んでいただきありがとうございます。もしよろしければ下にある評価ポイントを入れてくれると助かります。

また、感想やレビューを書いてもらえると作者の励みになります。

次回も読んでいってください。

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