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異世界艦隊 ―軍艦好きな奴が異世界でゼロから艦隊を作ったら―  作者: 紫 和春
本編

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104/115

101海里目 行われる偵察

 クレイル連邦近海。

 今ここで、飛び立とうとしている鋼鉄の鳥がいる。

 RAF-4E、それが鋼鉄の鳥の名前だ。

 こいつは今から、とある任務のために飛び立つのだ。


「そんなところで何をしている」


 龍驤の舷側にあるキャットウォークで黄昏れていたところをオーウェンに見つかる。

 今の決め顔みたいな表情、見られたか?


「いんや、何でもない」

「そうか?なんだかニヤニヤした顔をしていたから、てっきり変な妄想でもしているのかと思ったぞ」


 なんだよ、見てたのかよ。

 俺は少し嫌な顔をする。


「とにかくだ。もうすぐ出発の時間だぞ」

「分かってる。すぐ行くよ」


 そう、さっきの黄昏れの時も考えていたが、いよいよ偵察活動を行うのだ。

 俺は飛行甲板に準備されたRAF-4Eに向かう。

 RAF-4Eは暖機運転を終え、いつでも飛び立てる準備が整っていた。

 そんなRAF-4Eに向かっているとき、俺のもとにトーラス補佐官がやってくる。


「しつこいようだが、本当に行くのか?」

「何度も言ってるじゃないですか。こういうのは勝手が分かる人間が行ったほうがいいんですって」

「だが、わざわざ司令長官自ら行かなくても、隊員ならいくらでもいるだろうに…」

「敵がどのような状況であれ、自分から行くことに意味があるんです。俺の手で、この戦争に終止符を打つという意味でも、大切なことだと考えています」

「まぁ、そこまで言うなら無理に止めはしないが…」

「さてはトーラスさん、飛行機というものをそこまで信用していないですね?」

「そうだな…、確かにその節はある。あんな鉄の塊のようなものが果たして飛べるのか…」

「ちゃんと飛びますから安心してくださいって」


 そういって、俺はRAF-4Eの元に歩いていく。

 RAF-4Eの前部座席には、すでにオーウェンが座って作業をしていた。

 すぐに、俺も後部座席に乗り込み、作業を開始する。

 ヘルメットをかぶり、機体と同期させる。


「ずいぶんと話し込んでみたいだが?」


 ヘルメットに内蔵されている通信機器を使って、オーウェンが話しかけてくる。


「ちょっとした心配性な人がいただけさ。心配はいらないって説得してきたよ」

「そりゃどうもって感じだな」


 俺はコックピットの時計を見る。


「さてそろそろ出発か」

「しっかりつかまってろよ。お前が作ったカタパルトはかなり強力だからな」

「そうなるように作ったんだよ」

「実際自分が体験してないからそんなこと言えるんだ。今に見てろよ」


 お互い無駄口を叩き合いつつ、機体はカタパルトへと接続される。

 調整を終え、いよいよカタパルトが射出されようとしていた。


「各種機器、チェックよし。機体制御、よし」

「航法システム、チェックよし。偵察ポッド、よし」

「全システム、チェック完了。オーウェン、発艦する」


 オーウェンが手で合図すると、カタパルトが勢いよく前進を始める。

 ものすごいGが体にかかり、一瞬気絶しそうになった。

 ガクンと機体を揺らしながら、宙に浮かぶ。


「どうだ、カケル。初めての発艦の気分は?」

「かなりスリリングだな。自分でカタパルト作っておいてびっくりだ」

「自分で作っておいて気絶なんてしたら、何て言うのか楽しみだったのにな」

「それを言うか?」

「まぁ、いい。これから目的地までひとっ飛びだ。ちゃんと仕事はしてくれよ」

「分かってるよ」


 今回の偵察任務は、いくつかの目的地を設定しており、そこを偵察するというものだ。

 これは、すでに防衛連盟が所有していた情報に基づくものや、クレイル連邦に潜伏している乙賀組の情報提供があって設定している。

 そのため、複数箇所を周って偵察する必要があるのだ。

 まず第1目標に、敵の一大海軍基地である。

 ここは戦前から海軍基地として栄えていた場所だ。

 そのため、もしかするとここに海軍戦力が一斉にまとめられている可能性があるということで、偵察の対象になった。


「カケル。そろそろ偵察ポイントだ」

「結構早いな」

「そりゃそうだ。音速に近い速度で突っ走ってるからな」

「とりあえず、偵察ポッドを目標に向ける。機体の操縦は頼むぞ」

「分かってる」


 水平線の向こうに、陸地が見えてきた。

 そのまま上空高くから、敵の海軍基地を偵察する。

 フォーカスを合わせ、シャッターを切った。

 俺はすぐに、写真を確認する。

 この機体には、確認用のモニターがつけられているのだ。

 現れた写真を確認すると、はっきりと海軍基地の全貌が見て取れる。


「よし、成功だ」

「そりゃ良かった。それじゃ次の目的地だ」


 そんなことを繰り返しつつ、偵察を続けていった。

 そうして、最後の偵察ポイントにやってくる。


「最後はクレイル連邦に潜入中の乙賀組からの情報だな」

「しかし、こんな山奥の湖に何があるっていうんだろうな」

「さぁ?だけど、偵察させるくらいには重要なものなんだろうよ」

「とにかくそこに向かおう。燃料もギリギリだ」


 目的地に向かって、RAF-4Eを飛ばす。

 そしてもうすぐで目的地周辺だ。


「偵察準備」

「了解」


 俺は偵察ポッドを操作し、その方向にカメラを向ける。

 そして、湖が見えてきた。

 俺は、そこに浮かんでいたものをカメラ越しに確認する。

 そして驚愕した。


「あれは…!」


 思わずシャッターを連続で切る。

 今回、比較的低空を飛んでいたため、その形をはっきりと目視でも確認した。

 そこにいたのは、まさしく戦艦そのものだったのだ。


「なんでこんな湖に戦艦が?」


 その疑問は、次の瞬間には置き去りにされた。

 なぜなら、オーウェンが急に機体を旋回させ始めたからだ。


「どうしたオーウェン!?」

「機銃による攻撃だ!」


 俺は外を見る。

 すると、戦艦から多数の機銃の光が見えた。

 戦艦の対空機銃が反応しているのだ。


「最高速度で全空域を離脱する!」


 オーウェンはエンジン出力を最大にする。

 エンジンはアフターバーナーを放ち、音速を突破しようとしていた。

 そんな中、いまだ対空機銃はRAF-4Eを狙い続けている。

 しかし、音速を突破して超音速を飛行する航空機には狙いを定めるのは困難らしく、弾丸は機体のはるか後方を通り抜けるのみであった。

 湖を囲んでいる山脈を越え、射線を切る。

 どうにかして逃げ切ることに成功したのだった。


「ふぅ、一時期どうなるかと思った」

「あんなものが存在しているなんて、想像もしてなかったな」

「まったくだよ。とりあえず、帰還しよう」


 そうやって、どうにか「龍驤」に帰還することに成功する。

 ちなみに燃料は増槽をつけていてもかなりギリギリだった。

 その後、RAF-4Eから写真のデータを取り出し、「龍驤」艦内で写真を確認する。


「よし、順番に見ていくぞ」


 連合艦隊司令部とオーウェンとともに、投影機にデータを読み込ませて、それぞれの写真を確認していく。

 まずは最初に撮影された海軍基地である。


「これがクレイル連邦最大の海軍基地か…」

「まだ湾港内部に多数の艦艇がいるようですね」

「そうだな。敵はまだ戦力を温存しているかもしれない」


 そんな感じで偵察していったものを確認していく。

 そして最後に、例の戦艦の画像が出てきた。


「これは…」

「なんとも特徴的な艦影だな」

「この艦影、なんだかどこかで見たことあるようなないような…」


 その艦影を、俺はじっくりと見る。

 すると、あるものに気付いた。


「68…?」


 それは艦首側面に書かれた数字である。

 そしてそれを見た時に、俺は思い出した。


「BB-68、モンタナ級か…!」


 そう、BB-68とは幻の戦艦であるモンタナ級戦艦2番艦「オハイオ」である。

 この艦級も、主砲には16インチ砲を用いている。

 写真をよく見てみると、主砲塔の一部が解体され、主砲が取り出されていることが確認できた。


「クレイル連邦は何らかの方法でモンタナ級を入手し、その主砲を使っていたのか」

「ついでにその技術も吸収していたというわけか」


 この世界でも、日米は対立する運命にあるというのか。

 どちらにせよ、これではっきりとした。


「テラル島に帰還したら、戦力の拡充をしましょう」

「その必要性があることは、この写真が物語っているだろう」


 今後の方針が決定した所で、連合艦隊は防衛連盟に帰還しようとしていた。

本作を読んでいただきありがとうございます。もしよろしければ下にある評価ポイントを入れてくれると助かります。

また、感想やレビューを書いてもらえると作者の励みになります。

次回も読んでいってください。

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