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異世界艦隊 ―軍艦好きな奴が異世界でゼロから艦隊を作ったら―  作者: 紫 和春
本編

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102/115

99海里目 デロイド海防衛戦

 ノコテイ海とフィランスロー海に挟まれた海域、デロイド海。

 北から流れ込むように海流が存在するこの海域で、今一つの大きな艦隊決戦が行われようとしていた。

 クレイル連邦から来たるは、50隻を超える大艦隊。

 迎え撃つは、レイグル王国、ランスエル公国およびヤーピン皇国で構成される即席の連合艦隊。

 まずは、防衛連盟軍レイグル王国領海域警備部隊が偵察を行う。


「こちら『ファンシル』、現在敵は東方戦闘海域内を南下中!」

「了解、敵の針路を転進させる。総員、砲撃準備」


 レイグル王国領海域警備部隊の帆船が戦列を組む。

 舷側に並べられた砲が一斉に敵の先頭方向に向く。

 とはいっても左右に振れる角度は考えているよりも動かない。

 そのため、帆船の舵取りが重要だったりしている。

 今回の砲撃は牽制のための砲撃であるため、照準は甘めでいい。


「砲撃用意…、撃て!」


 舷側が砲撃の煙で充満する。

 飛翔する砲弾が一斉にクレイル連邦の艦隊に襲い掛かる。

 ほとんどの砲弾が至近弾となり、海面から水柱を形成した。

 敵艦隊は、この攻撃を受けて針路を若干レイグル王国艦隊の反対方向に動くようにする。


「敵艦隊、針路を転進!我々から距離を取っています!」

「次弾装填急げ。間髪入れずに敵の針路を逸らし続けるのだ」


 大砲に次の弾丸が装填される。

 そして装填が終わった大砲から砲撃を行う。

 敵艦隊の周辺では、継続して水柱が上がり続けていた。

 それに合わせ、敵艦隊は転進を続ける。

 そしてレイグル王国艦隊は迫るように動き続けていた。


「できる…!我々にもできるぞ…!」


 レイグル王国艦隊は曲がりなにも敵艦隊の戦力と均衡しているとは言えない。

 しかし、それでも戦術的に有利に立っているとレイグル王国艦隊の提督は盲信する。

 その瞬間であった。

 突然、敵艦隊がレイグル王国艦隊の方へ舵を切ってきた。


「なっ!?敵艦隊、こちらに舵を切ってきます!」

「なんだと!?こちらも舵を切れ!距離を一定に保て!」

「しかし提督、そちらは風上になります。あまり舵を切ると、こちらが不利になります」

「しかし、この戦力差で接近されると全艦沈められかねんぞ」

「ですが、我々が風上にいます。敵も、あまりこちらに舵を切ると失速することは重々承知でしょう」


 提督は一つの決断を下そうとしていた。


「お待ちください!」


 そこに、若い士官が口を挟む。


「なんだね?」

「ごく最近、敵艦艇についての報告書の中に、気になる記述があることを思い出しました」

「気になる記述?なんだ、それは」

「最近鹵獲された敵の艦艇を調べた結果、風に頼ることなく目的地に到達することができる推進機のようなものがあると報告されています」

「それがどうかしたのか?」

「もし、その推進機のようなものが敵の艦艇すべてに装備されていたと仮定すると、我々が風上にいたとしても、敵はそんなことは無視して接近してくる可能性があるということです」

「そんなことが可能なのか?」


 提督は近くの参謀に聞く。


「確かにそのような報告は上がってきています。しかし、帆船のような巨大な構造物を簡単に動かすような装置があるとは考えにくいと思います」


 そう参謀が考えを述べたときに、提督の元にある報告が上がってくる。


「ヤーピン皇国の艦隊がまもなく合流します!ランスエル公国の艦隊も、あと数時間で合流できるとのことです!」

「それはいい報告を聞いた。…そういうことだ。もし仮に敵が推進機を装備していても我々の方向には来ないと考えるのが一般的だ。残念ながらその提案には乗れない」

「っ…!…分かりました」


 若い士官は悔しそうに下がった。

 結果として、レイグル王国艦隊は針路を若干修正した状態で砲撃を続けるというものだった。

 しかしその状態になっても、敵艦隊は風に逆らうようにやってくる。

 そして砲撃を加えてきた。

 次第にレイグル王国艦隊に被害が出てくるようになってくる。


「どうして…?どうしてこのようになるんだ…」


 レイグル王国艦隊の提督は混乱するように言う。

 敵艦隊に反撃をしているものの、うまく攻撃ができない様子だ。

 そのうち、偶然なのかレイグル王国艦隊が丁字有利になるような形になっていた。


「今だ!撃ちまくれっ!」


 舷側から一層爆炎がはじける。

 大小様々な砲弾が敵艦隊に向けて放射された。

 しかし、敵艦隊はそんなことは気にも止めず、前進を続けるのみである。

 次の瞬間、先頭の帆船から巨大な砲煙が2つ成形される。

 それから数秒したのち、艦隊中央の帆船の船体が木端微塵にはじけ飛んだ。


「何があった!?」

「分かりません!」


 レイグル王国艦隊は混乱を極め、各艦が散り散りになってしまう。

 そんな中、ヤーピン皇国の艦隊が合流した。

 しかし、ヤーピン皇国艦隊が目にしたのは、一方的に攻撃を受けているレイグル王国艦隊である。


「なんということだ…」


 ヤーピン皇国艦隊の司令長官は、この状況に恐怖の感情を抱いた。

 しかし、今はやらねばならないときである。

 ヤーピン皇国艦隊はレイグル王国艦隊に引き継いで、敵艦隊に攻撃を加え始めた。

 その時、先頭を走っていた帆船からまたも爆炎と衝撃波にも似た爆音が轟く。

 次の瞬間には、射線上にいた帆船数隻が船体を爆発させながら海の藻屑となっていった。

 ランスエル公国の艦隊も合流するものの、形勢を逆転させることはかなわず、最終的にはクレイル連邦艦隊の防衛連盟領域侵入を許してしまう。

 しかし、3国の艦隊はかなりの時間を稼いでくれたおかげで、彼らが間に合った。


「おーおー。派手にやってくれたなぁ」


 連合艦隊である。

 連合艦隊には、すでに3国の残存艦艇から連絡が言っており、敵艦隊の様子や防衛連盟海軍の被害状況を聞かされていた。


「情報によると、敵はとんでもない超兵器の類を持っているとのことだったな」


 駆は得られた情報から、あるものを推察する。


「この超兵器ってのは、例の16インチ砲のことだろうな」


 その考えは当たっていた。

 先頭にいる2隻は、アイオワ級戦艦の主砲を使った改造帆船である。

 そんなことより、さっさと敵艦隊を撃滅することが最優先だと駆は考える。


「艦隊、左砲雷撃戦用意」


 駆は指示を飛ばす。

 「長門」を筆頭に、全艦が左に主砲や魚雷発射管を向ける。

 まずは魚雷攻撃からだ。


「魚雷発射用意。自爆距離20km」


 水平線のかなたに存在する敵の大艦隊を誘い出すべく、駆は魚雷の自爆距離を20kmに設定する。


「魚雷発射」


 駆逐艦や軽巡洋艦から何十本もの魚雷が順次発射される。

 数十分後、魚雷は敵艦隊の中心部に到達する。

 偶然命中した帆船は船体を崩壊させながら沈み、至近弾となった帆船も、喫水線下に穴を開けられる結果になった。

 この魚雷攻撃で、全体の2割にあたる帆船が沈んだ。

 そして同時に、敵艦隊はこちらに接近してくる様子を取っている。


「こっちのことに気が付いたか?ならこっちの攻撃を食らうといい」


 駆は再び攻撃命令を下す。

 今度は砲撃だ。

 「長門」と重巡洋艦による砲撃が敵艦隊を襲う。


「主砲、撃ち方始め」

「うちーかたーはじめ!」

「撃ーっ!」


 主砲から爆音が響き渡る。

 砲弾は数十秒飛翔したのち、敵艦隊に降り注ぐ。

 どこから飛んできたかも分からない砲弾によって、船体に穴を開けられたり、至近弾で水をかぶったりと、その反応は様々だ。

 しかし、先ほどよりも確実にこちらのほうに向いている。

 その距離はもう10kmを切ろうとしていた。


「こちらも接近しよう。このままではジリ貧だ」

「了解した。取り舵10度」

「とーりかーじ」


 こうして2艦隊は次第にその距離を接近させていく。

 そして最終的にその距離を5kmまで近づけていった。

 その時だった。

 先頭の2隻から爆炎が発せられる。

 次の瞬間、艦隊のそばに巨大な水柱が形成された。


「敵の砲撃だ!駆逐艦と軽巡洋艦は下がれ!重巡洋艦はあの2隻を狙え!」


 ここからは接戦であった。

 5kmという距離は艦隊としてはかなり近いところになる。

 そんな距離で砲撃による殴り合いをするというのは、一種の激しさを物語っているだろう。

 激しい殴り合いをした結果、敵艦隊はすべて沈んだ。

 奇跡的にも、連合艦隊で沈んだ艦はいない。

 しかし損傷を負った艦はいる。

 今回の艦隊決戦は、ある意味大海戦とも言えるだろう。


「よし、要救助者を救助しに行くぞ」


 そのまま連合艦隊は救助を待つ軍人のもとに向かう。

 すべての作戦行動が終了するのに、それから1週間以上もかかったのだった。

本作を読んでいただきありがとうございます。もしよろしければ下にある評価ポイントを入れてくれると助かります。

また、感想やレビューを書いてもらえると作者の励みになります。

次回も読んでいってください。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 激しい海戦いいですね アイオワの主砲技術はとこから来たのか。明らかになるのが楽しみです
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