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○契約魔法と召喚魔法:2

「えーと……モンスターと契約っていうのは、ジェイクのオーフェスみたいなのですか?」

「まぁ、そうだな」

 相槌を打ったディオンの隣に、するりと自然にやって来たライアンが並んで私を見る。

「とりあえず、普通の『召喚契約』で問題ない」

「召喚契約……って?」

「ホント、凛音は何にも知らないんだな」

 少し離れた場所からは、ルディのちょっと生意気な声が飛んでくる。

 ルディはいつの間にかオーフェスを抱っこしてヨシヨシと撫でていて、オーフェスもゴロゴロと喉を鳴らして甘えている。

 く、羨ましい……私はスルーされたばかりなのに。

 オーフェスの耳をピコピコ指で弄りながらルディが話を続ける。

「たとえば、オーフェスはジェイクと『使い魔契約』を結んでる。だからいつでもジェイクの傍にいるだろ」

 私がルディの隣に立つジェイクへ視線を移動させると、彼は柔和な表情で口を開いた。

「使い魔契約の場合、常に近い場所にいて貰える分、魔力の消費が大きいんです。私は大した魔法は使えませんが、魔力の持続力が強い方なので」

 ほー、ジェイクの魔力ってそういう感じなんですね。

 魔力って色んな使い方があるんだなー。

「召喚契約っていうのは、必要な時に相手を召喚魔法で呼び出す契約だ」

 軽く腕を組むいつものポーズで、ライアンが続きを説明し始める。

「魔力の強い者は、みんな幾つか契約を結んでる。契約を結んだら常に相手に魔力を吸い取られるけど、使い魔契約より召喚契約の方がその魔力が少なくて済む。まぁ、魔力の消費量は相手にもよるんだけどさ。それに擬態しないモンスターや精霊の場合は、傍になんてそうそう置いておけないだろ」

 精霊……。そういえば、昨晩もそんなこと言ってましたね。

 お~、本当に精霊とかいるんだ~~~~。

「じゃあ、ライアン達にもいるんですか? 契約モンスターとか」

「いるけど、俺はもうモンスターと契約してない。精霊だけ」

「俺もだな」

 ライアンの言葉に被せて、即座にディオンも答える。

「当然、僕もー」

 ルディは尚もオーフェスと遊びながら、向こうで声を上げた。

 そうは言われても私には、モンスターと精霊の区別なんてつかない。だって、精霊を見たこともないんだもん。

 というかそもそも、『なにがどう』とかの根底が分かってないのだ。

「あの、モンスターと精霊ってどう違うんですか?」

「……は? なんでわかんないの?」

 ライアンが毎度の呆れ顔を見せる。

 む~~、なにもまたそんな顔しなくとも~~。

「バカだなー、凛音は。モンスターは、こういうのだろー」

 ルディが両手でオーフェスの脇を抱えて、ブランと上へ持ち上げた。そんな扱いでもオーフェスは『うにゃん』と嬉しそうだ。

 いや、それ……今は猫だから。

 と、オーフェスに気を取られている間に横手で何かが光った。

 ――ヴォン!

 低音のノイズが空気を揺らしたのに気づき、バッとそちらへ身体を反転させる。

「で、こっちが、精霊」

 いつのまにやらディオンの足元の地表に赤い大きな魔法陣がペタリと貼りついていて、その中央には真っ赤な毛並で車サイズの大オオカミがいた。


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