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○ローストモンスター:4

 

「……私のと同じ味ですね」

「え……そんな……」

 ジェイクが給仕を呼んで私のお皿を下げるように指示すると、「ちょっと貸して」とルディが手を差し出したので、そのお皿はルディへと渡った。

 それからルディは、ジェイクと同じようにお肉を千切って口にする。

 不思議そうな顔をしていたディオンとライアンもルディの傍へ寄って行き、お皿をぐるりと囲みながら彼らも味見をした。

「辛くないよな。ダルドロマロリンって」

「ぜーんぜん、辛くないよ。ダルドロマロリン」

「辛くないな。ダルドロマロリンは」

 三王子はさっきとほぼ同じ感想を述べた。

 ――ていうか、なんなのその名前連呼は!?

「そのダルドロなんとかは辛いですよ! 凄くっ!」

「もっかい食べてみなよ」

 ルディについとお皿を突き返されて、仕方なく受け取る。お皿はまた私のところに戻って来てしまった。

 イケメン給仕さんが手際良く新しいカトラリをテーブルに揃えてくれたので、フォークを手にしてみたはいいが、なかなか勇気が出ない。

「別のもダメか?」

 ライアンが眉間に皺を寄せる。怪訝な顔というよりは、心配してくれているように見えた。

「まだ、食べてないです」

「だったら、他のも味見してみなよ」

 次にルディがそう提案してくる。

「そうだな、先に違うのを試してみろ」

 ディオンにも同じように促された後、ジェイクが「これはどうですか?」とローストビーフだと思っていたヤツを指差した。

「た、ためしてみます……」

 フォークを突き刺す程度で肉の屑を削ぎ取り、恐る恐るフォークを舐めてみた。

 すると、なんの刺激もない。

 味がするほどの量ではなかったけれど、おいしい気がする。

「……あ、大丈夫です」

「そうですか。では、こっちは?」

 今度はローストチキンっぽいのをジェイクが勧める。

「はい、じゃあ……」

 さっきと同じようにして、ほんの少しだけ欠片を口に入れてみた。

 やっぱり、ちょっとおいしい気がする。

「大丈夫みたいです」

「……なるほど」

 口元へ緩く握った拳を当てたジェイクが、思案しながら私のお皿の中を睨む。

 王子達の方を見ると、三人ともいかにも兄弟といわんばかりに、ぽかんと軽く口を開けた顔でこちらを見つめていた。

「では、ダルドロマロリン、もう一度試してみますか?」

 少し真剣な面持ちのジェイクが目を上げて私を見る。

「でも……さっき本当に辛かったんです」

「うーん、たまたま辛いところ食べちゃったのかもしれませんね?」

 そこで彼はにっこりと微笑んだけれど、『一部だけ辛いところ』があるとか、そっちのが怖い。

 とはいえ、今後の為にもここはきちんと確認しておくべきだろう。

「ちょっとだけ、たべてみます」

 目の前のジェイクや、テーブル向こうにいる王子達、はたまた『宅配便系イケメン給仕さん達』の見守る中、私はさくりとフォークの先だけをダルドロなんとかやらに突き刺し、そうっと舐める。

「――からっ!」

 思わずオジサン級の呻き声ともつかない悲鳴を漏らした。


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